ゴールデンウィークの予定は決まりましたか?
今回は、最近私が訪れた展示会の中で特に面白かった2つの展示会をご紹介。展示会マニアの視点で、絶対に外せないポイントや見どころなどをレポートします!!
「アスリート展」
1つ目は、現在六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の企画展「アスリート展」です。
日々の積み重ねや試行錯誤を繰り返し、自己の限界を乗り越えていく「アスリート」。自身と向き合いながら努力を重ねることで生まれる超人的でダイナミックなパフォーマンスや目標に向かって真摯に取り組むその姿には、たくさんの人々がテレビの前で心を打たれますよね。
そんな世界中のアスリートにスポットを当てた展示会というのは、私も初めての経験でした! さっそく見どころも含めて、展示の一部をご紹介します。
アスリートの凄さを肌で感じる事ができる
皆さんは世界記録を間近で見たことありますか?
本展では、アスリートが「実際どのくらいの速さで走っているのか」、「競技中どこに視線を向けているか」などを知ることができます。また、アスリートが活躍する上で欠かせないスパイクやユニフォームのスポーツギア(道具)の展示もされていました。
「驚異の部屋」
アスリートの超人的な身体能力を、ギャラリー全体を用いて表現。アスリート自身の動きをもとに制作した実寸大のプロジェクション映像により、壁一面に世界記録の実際の速さや高さが映し出されます。「こんなに速く走ってるの! こんなに高く飛んでるの!!」ってびっくりしました!
「アスリートダイナミズム」
アスリートの「動き」を3次元のモーションキャプチャーデータから抽出し可視化したアニメーション。アスリートの身体が描き出す残像、軌跡の美しさやダイナミックな動きを感じることができます。
目の前にタッチパネルを操作すれば、前後左右の方向から動きをチェックすることができますよ。
「身体拡張のギア」
素晴らしい記録を出すのは、肉体の他にギア(道具)も重要になってきます。「身体拡張をする道具」をテーマのもと、様々なスポーツギアとともに、選手を支える技術者や開発者へのインタビュー映像も見られます。
見るだけじゃない、自分の身体もチェックできる体験型の展示会
本展は、展示を楽しみながら自分の身体の状態を知ることができる体験型の展示会でもあります! 様々な種類のプチ競技が用意されていて、アスリートとの比較や自分の中に潜んだ新たな身体能力が明らかになるかも!?
上の写真は「アスリートの眼」と題した展示。剣道を例に、体験者が対戦相手をどのように見ているのかを視覚化し、アスリートの視覚と比較できます。
アスリートの眼が競技中に何をどのように捉え、次の行動に移しているのか。一見日常生活とは無縁のように見えるアスリートの眼は、きっと私達の暮らしにも新しい意識を芽生えさせてくれるでしょう。
「身体コントロール(グレーディング・タイミング・スペーシング)」
さらに奥へ進むと、実際に自分の身体を動かして体験できるスペースがあり、アスリートがどのように「力の調整」「タイミング」「空間や距離の把握」をコントロールしているのかを自身の身体を通して知ることができるます。
普段あまり意識しない身体の感覚に意識を向けてみて下さい。
「バランス コントロール」
自分自身のバランスを理解することで、重心の偏りなどを再度意識するよう気づかせてくれます。私は比較的良いと思われるバランス感覚でした(笑)。
こちらは「スペーシングコントロール」と題して、ハンドルを持ちながら目の前のモニターに表示された距離に合うように移動します。移動したら右のディスプレイに実際移動した距離が映るので、自分の空間把握能力がどの程度かを知ることができます。
その他にも、綱を引っ張り力の調整を測ってみたり、ディスプレイに合わせてタイミングよくジャンプして自分のリズム感をチェックできるコーナーなどがありますよ。
「無意識という”もっとも身近な他人”との対話」
キーボードを使って、普段無意識で行うような動きの過程を細部の運動や感覚に分解して表示します。何も考えず適当に打っていても、実際の脳は「Aを打とう」「Bが打ちやすいからBにしよう」などの思考が働いているみたいですよ!! 人間の身体って考えれば考えるほど不思議ですよね?
「タイムプレッシャー」
やはり競技する上で避けては通れないのは「プレッシャー」ですよね? アスリートは本番で練習通り、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮すべく様々なプレッシャーと闘っています。
ここでは、ボールをスプーンですくって9つの穴に入れるというゲームを行い、自分のプレッシャー度を測定します。皆さんはプレッシャーに強い方ですか?
いつもと違う視点からアスリートを見つめることができる
会場内には、普段目することができない視点から、アスリートの姿や動きを表現した写真や、日々の鍛錬の中で鍛え上げた肉体そのものを写し出した写真も展示されています。美しくも神秘性もありアート写真のような作品ばかりで、また違った感情が込み上げてきました!
アスリートの躍動する身体を映像や写真で紹介する他、体感型の展示を通して、自分の身体や心理をコントロールする知恵など、アスリートをかたちづくる様々な側面を垣間見ることができる展示会となっています。
また、ゴールデンウィーク中は様々な関連イベントもあり、「卓球大会」や「為末 大と”走る”を学ぶ」と題したワークショップ、ディレクターの緒方壽人さん、菅 俊一さんによる「ギャラリーツアー」などが開催される予定です。
ぜひ本展を通して、さらなる高みに挑み続ける「アスリート」の鼓動を体感してみてください!
「片山正通的百科全書」
2つ目にオススメしたい展示会はこちら。新宿区初台にある東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「片山正通的百科全書 Life is hard… Let’s go shopping.」。世界的に支持されている片山正通さんが手掛ける「ずっと見ていたい、ずっと見ていられる」展示会です!
片山正通(かたやままさみち)とは?
世界的から注目を集めるインテリアデザイナーで、私も片山さんのファンの一人です! “片山正通教授の「遊ぶ」ように「仕事」をしよう”という本もオススメ! ぜひ手にとってみてください!
片山さんが作り出す空間は訪れる人の潜在意識に触れることを常に意識し、その環境を創造することを強みとしています。現在までに、国内外のユニクロの旗艦店やピエール・エルメ・パリ 青山など、数々のプロジェクトを手がけています。
また、武蔵野美術大学(空間演出デザイン学科)教授でもあり、自信がプロデュースしている様々なジャンルのトップクリエイターをゲストに、対談形式で行われる特別講義「instigator」も人気を博しています。
それでは、こちらも見どころも含めて、会場内の一部をご紹介します。
全てが貴重で初めて見る作品ばかり!隅々までチェック!
片山さんはコレクターとしての側面もあり、代表を務めるワンダーウォール株式会社のオフィスには買い集めた書籍やCD、現代アート、家具、植物などの膨大なコレクションが展示されています。
この展示会の最大の見どころは、世界的に有名な片山さんだからこそ手に入る作品や、独特のセンスで私達が普通なら見逃してしまう作品など、殆どが貴重なものばかり。ぜひ隅から隅まで見て欲しいです!
また、会場である東京オペラシティアートギャラリーの空間を構成し、自身のコレクションをディスプレイしていて、そこから片山さんのクリエイティビティーを直に体験できたり本質を探ることができます。
会場内はROOM1~ROOM15に区分された構成となっていて、まずは片山さんが通うオフィスではアートやオブジェが実際どのように展示されているのかを、映像と模型を使って紹介。
今回はそのオフィスにある展示品を持ち込んでいるので、展示期間中はオフィスの中はスッカラカンとのこと!!
入り口から膨大な書籍とCDがずら~っと並んでいます! 数え切れないその膨大な数に圧倒されると共に、片山さんのルーツを知ることもできます。
奥にいるのはもしかして!?
片山さんはこんなのも持っているんですね~。でも、これはまだまだ序の口ですよ!
国内外問わず、様々なアーティストの作品がピックアップされています。
えっ!!!!? 恐る恐る近づいてみると、
2頭いました! 等身大のシロクマの剥製です。これは7年前に、あるプロジェクトのためにアンティーク家具を探しに行った神奈川県のウェアハウスで発見したそうです。
シロクマだけじゃなかった!!
この少女の彫刻は、大竹利絵子さんという若手作家の作品。写真では分かりづらいですが、高さ2メートル超えでとてつもなく大きいです!
色んな種類の作品が一度に見れるジャンルレスな展示会!
この展示会は色んな種類の展示が一度に見れるという点もポイントです! よくある展示会だと、絵画なら絵画だけ、彫刻なら彫刻だけ、あるいは特定のキャラクターだけなど作品数は多くてもジャンルとして1つにまとめている展示会が殆どですよね?
でも、この展示会はジャンルレス! 作品ひとつひとつの個性が際立っているので、決して飽きることなく展示を楽しめます。
90年代から裏腹系のストリートファッションに影響を与えたKAWS(カウズ)。これだけあるなら1体欲しい!
「ランドスケープ」と題した自然風景の写真も。
片山さんは24歳の時に、会社を辞めて約2ヶ月間世界旅行にへ行きました。そこで、それぞれの街の自然の力や歴史の長さを前に自分がいかにちっぽけな存在かを思い知らされたそうです。
部屋が変わると、アンティークの骨董品やオブジェや、
パリなどの海外で購入した温かみのある家具も。
会場内は撮影可能、たくさん撮って自分のアルバムに保存しよう!
最近、展示会によっては撮影不可やほんの一部しか撮影ができない展示会が少なくありません。
でも、会場内はたった1ヶ所を除いてほぼ全ての作品が撮影可能となっています。思わずビビッときた作品はどんどん撮影しちゃいましょう! SNS映えすること間違いなしですよ。
片山さんがモデルになっている作品もいくつかあります。
終盤になると、1960、70年代にかけて世界的に行われた前衛美術ムーブメントのコンセプチュアルアートが並んでいます。
コンセプチュアルアートの代名詞ともいえる河原温の「日付絵画」を筆頭に、ライアン・ガンダー、サイモン・フジワラなど、21世紀の今日にコンセプチュアルな作品を発表する作家たちの作品が含まれています。
ライアン・ガンダーは片山さんがアートにハマるきっかけとなった特別な存在。
会場内はセンスの塊! 様々なジャンルや時代のものが対象となっていて、殆どが今まで見たことない希少なものやセンスが感じられる作品ばかり。もう、思わずため息が出てしまうくらいです……。
美術館の展示というよりも、まるで街をショッピングしているかのようなワクワクする空間! 街に繰り出し、色んなお店をウインドーショッピングしているような感覚で「あれも欲しい!これも欲しい!」となってしまいます。お子さん達と一緒に訪れても、きっと喜んでもらえる展示会ですよ。
ゴールデンウィーク中に東京観光へ来る方はぜひタイムスケジュールの一部に、都内にお住まいの方は遠出もいいですが、1日くらい近場でアート巡りでもしてみませんか?