「としまえん」は練馬にあるのにどうして「豊島園」なの?数々の都市伝説を検証してみた
日本

東京都の練馬区に「としまえん」という遊園地があります。東京に住んでいる子供にとって、身近な存在でもあり、パラダイスのような世界です。
「アトラクションがたくさんある遊園地」という印象が強いですが、実は「としまえん」には、歴史と共に数々のウワサと共に伝播する都市伝説が存在します。その秘密に迫ります。

年月が経っても色あせない「としまえんの都市伝説」


一般的に遊園地と言えば、絶叫系のアトラクションで「ドキドキ、ハラハラ」するイメージですが、「としまえん」は背中がゾクゾクするような余韻のあるアトラクションに特徴があります。
遊園地を訪れる人の目線で、としまえんに2つの顔があるとすれば、コークスクリューのように派手で刺激的なモノが表の顔で、回転木馬のように知られざる歴史をひっそりと持つモノが裏の顔と言えるかもしれません。
裏の顔になるアトラクションにこそ、都市伝説が生まれているように思えます。

主な都市伝説としては、「としまえん」という名称の謎、本当の火の玉が現れる「お化け屋敷」、鬼門の位置にある閉鎖されたアトラクションなどです。30年以上も前から噂されているにも関わらず、まったく色あせません。謎が謎を呼ぶような状態です。

そもそも、なぜ「としまえん」?


ほとんどの場合、アトラクション目的で訪れるとしまえんですが、都市伝説を確かめる目的になれば、視点が変わってきます。そもそも、練馬区にあるのだから「ねりまえん」という名称で良いはずなのに、なぜ「としまえん」という名称になったのでしょうか?

西武鉄道の盲腸線にある「豊島園」駅の名称は漢字表記なのに、なぜ遊園地の「としまえん」の名称はひらがな表記になっているのでしょうか?
一見どうでも良いことのように思えますが、何か理由があるはず……と、謎はウワサとなり都市伝説が生まれます。

謎を解くカギになる「練馬城跡」


「としまえん」の名称の謎を解くには、歴史をさかのぼる必要があります。
豊島園駅からすぐ見える正門ゲートの左側にある花壇からは、夏に賑わいを見せる「ウォータースライダー」が見えます。このアトラクションは、練馬城があった地形を生かして造られました。

▲フリュームライド越しに見る練馬城跡(矢の山)
としまえんが開園した当時(1926年)の地名は、東京府北豊島郡上練馬村でした。当時の財界人で藤田好三郎氏が所有していた土地を、東京市民に運動と園芸を広く奨励するために公開したのが始まりです。
そして、かつて豊島一族が治めていた練馬城があり、豊島左近太夫景村の居城跡だったことから、「豊島園」と命名されました。都市伝説の謎のひとつ、練馬区にあるのに「としまえん」という名称の謎が解けました。
「フライングパイレーツ」から「フリュームライド」越しに見ると、「ウォータースライダー」のある場所は、練馬城のあった「矢の山」の起伏を利用したものだということがよくわかります。

▲古城の喫茶跡
また、「ウォータースライダー」に目を奪われがちですが、園内にはジブリアニメ「天空の城ラピュタ」に描かれる城の塔のようなモノがあります。年間パスポートの販売をする「木馬の会事務所」です。
こちらは開園当初からあった「古城の喫茶」という食堂の跡です。「としまえん」には、古くからの建物が残っているので、どこか懐かしい雰囲気があるのかもしれませんね。

偶然では無さそう? 鬼門の場所にあるミステリースポット


出展:としまえん
古い豊島園全景図を見ると、右下部分が鬼門の位置にあたります。都市伝説を掘り下げるためには、さきほど練馬城跡までさかのぼったように、背景にある歴史も欠かすことができません。

としまえんの正門から見た鬼門の位置には、ミステリースポットがあります。数々の逸話から取り壊されてしまったモノも数多くあり、現存するアトラクションの謎解きは、ガチで怖すぎる検証なのかもしれません。
よりリアルさを追求するために、トロッコに乗って移動する「ミステリーゾーン」のようなアトラクションは検証しません。やっぱり自分の足で進んで、(ビビッて)立ち止まれるような検証をしたいと思います。決して「M」ではありませんから……。

アトラクション都市伝説の1つめ「お化け屋敷」


都市伝説の1つめの「お化け屋敷」です。本物の火の玉に追いかけられたという数多くの体験談があります。新聞にも取り上げられた時代もあり、本当の火の玉が出るという噂は、30年以上も前から続いています。

全国各地にある「お化け屋敷」のほとんどが「ビックリさせる系」のモノです。来客を絶妙なタイミングで驚かせるものです。冷めた言い方かもしれませんが、怖がらせているのではなく、ビックリさせているだけに過ぎません……と、自分に言い聞かせているんですけどね。
そんな「ビックリ系お化け屋敷」とは違い、としまえんの「お化け屋敷」はマジでヤバいという独特の雰囲気があります。自分で歩かなければ、逃げられない真っ暗闇の中、勘だけで進みます。古典的な雰囲気は、「不安にさせる」「怖がらせる」という質の違うモノで、恐怖心が増幅するアトラクションです。

ちなみに屋敷内は、センサーで動き出す全自動の仕組みになっているので、スタッフは1人もいません。目の前や背後に誰もいないのに、タイミングがズレて動き出したら、ご用心! ……目に見えない存在が周りでイタズラしているかもしれません。

カラダに触れるような仕掛けがひとつも無いうえに、「火の玉が飛んで来る」ことも、「通路に小さな女の子がうずくまっている」こともありません。
誰もいないはずなのに肩を触られたという経験談が多数あるアトラクションなので、不思議な体験をしたとすれば、未知の世界の存在を認めるしかないでしょう。
ジブリアニメ「ハウルの動く城」に登場する、カルシファーのような火の玉だったら歓迎したいところですが……。

アトラクション都市伝説の2つめ「ミラーハウス」


2つめの都市伝説のアトラクションは、鏡の迷路になっているミラーハウスです。薄暗い室内にある140枚以上の鏡の反射で錯覚を起こす仕組みになっているのですが、どちらに進んで良いのやら……アタタタタッ。まんまとハマってしまい、たびたび顔をぶつけてしまいます。

鏡のエリアから抜け出し、壁が見えるとホッとするのも束の間。いろんな仕掛けが……アタタタタッと、方向感覚がグチャグチャです。ミラーハウスの中には、「秘密の鏡の部屋」があると言われていますが……

そんな部屋はアトラクションの内容にありません。また、「少女に睨まれて追いかけ廻される」というウワサがあります。

方向感覚を失っている鏡ばかりの部屋で、果たして少女から逃げ切れるのか……、逃げ回っているうちに異世界に入っていくという都市伝説があります。光と影と気配が乱反射するミラーハウスは……恐怖です。ケガをしないように逃げ回りましょう。

アトラクション都市伝説の3つめ「閉鎖された西洋お化け館」


人気のない鬼門のエリアにある、カラフルな壁の古い洋館が3つめの場所です。ウォークスルー型の西洋お化け館として使われていましたが、1990年代の小学生に間で奇妙なウワサが広まったアトラクションでした。

「従業員が犠牲になった殺人事件があった」「殺人のあった2Fの部屋に残る血が拭き取れない」「幽霊のようなモノを目撃した」などのウワサが流れて、奇妙なできごとも相次いだことから、アトラクションの継続が困難になってしまい、永久に封印されてしまった。

その後、幾度となく解体しようとしたが、そのたびに作業員の事故死などにより計画は頓挫しているという都市伝説があります。

1990年代にとしまえんで遊んでいた世代にとっては、非常に良く知られたウワサです。とはいえ公式な事件記録は無いため、「事実無根の都市伝説」と言えるでしょう。現在では、事業用施設として利用され、従業員の出入りなどもあり、封鎖されているわけでは無さそうです。

番外編:もしかすると「としまえん」の結界かもしれないマーキング


益々面白さに気づいた「鬼門エリア」を後にして、豊島園駅前で奇妙なモノを見つけました。路上の消火器の下にブラさがっているモノ……

いったい何の意味があるのでしょう。

少し離れた自動販売機横にもありますね。

もしかすると、「としまえん」を守るために結界を張っているのかもしれませんね。「としまえん」、恐るべし……!

としまえん
東京都練馬区向山3-25-1
公式HPはこちら

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。

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