機械遺産に認定されたメリーゴーランドが、としまえんにある
日本

メリーゴーランドは、遊園地のなかでも欠かせない存在と言えるでしょう。老若男女問わず、いつの時代でも惹きつけられるアトラクションですよね。

としまえんには、機械遺産に認定された回転木馬「カルーセルエルドラド」があります。生誕110周年記念で、「カルーセルエルドラド歴史展」が2017年12月31日まで限定公開されています。

今まで歴史の裏に隠されていた謎や、美術品としての価値も高い装飾のトリビアなどを、都市伝説マニアが紐解いていきます。

「こんなストーリーがあったなんて……」と、理解しながら乗るアトラクションは、ひと味もふた味も違ってきます。「カルーセルエルドラド」は、メリーゴーランド好きなら見逃せないアトラクションです!

「カルーセルエルドラド」とは?

「カルーセルエルドラド」の110年の歴史は、「波乱万丈」という言葉がピッタリと言えます。

ドイツの名匠ヒューゴー・ハッセの「世界一豪華な回転木馬を造りたい」という思いから、1907年、移動式の回転木馬としてドイツで制作されました。

第1次世界大戦の影響により1911年にニューヨークのコニーアイランドに渡りました。当時アメリカは好景気だったため、昼は子供で賑わい、夜は紳士淑女の社交場になったそうです。

1960年代になると土地の高騰の煽りを受けて、1964年に遊園地は閉鎖されます。代わりに高層マンションが建てられました。

使わなくなったカルーセルエルドラドは分解されて、いつ復活するかわからない遊園地の倉庫に眠ってしまいます。

年月が経つうちに何度もオーナーが変わり、倉庫にあった回転木馬は売りに出されてしまいます。

当時「何かシンボルになるようなアトラクションが欲しい」と考えていた「としまえん」にもその話が伝わり、当時の1億円ほどの金額で購入することになりました。

ここまでの話だけでも1冊の本ができそうなほど、ドラマチックです。

マイナスからのスタート。そして念願のオープン

1969年4月に横浜港にコンテナが到着。期待に胸を膨らませた「としまえん」でしたが、届いたコンテナを開けてみると……


ゴミ同然のパーツばかりでした。ボロボロなばかりか部品も足りず、組立するための図面も無い状況でした。その年の夏にオープンさせる予定でしたが11月に延期。しかし、それにも間に合いませんでした。

2年間の試行錯誤の末、ついに1971年4月にオープン。図面もパーツも無い状況から作りあげたスタッフの皆さんの熱意にビックリします。ドイツ、アメリカを経て日本でオープンするまでにはこんな波乱万丈な歴史があったんですね。

回転木馬が回る仕組み


手作りで木製の回転木馬は、ガタゴトと動きだす瞬間の音すら心地よいです。

カルーセルエルドラドは、三段の舞台が回転しています。実際に回転のチカラを加えているのは、一番外側を回る下段だけのようです。中段は下段から伝わったチカラで廻り、上段は下段から中段に伝わったチカラで回っているそうです。

現在の運転席は回転舞台の外にありますが、ドイツで製造された当時は、回転舞台の中央にある筒形の部屋にあったそうです。

煌びやかな天井付近の装飾に目が奪われがちですが、ぜひ見てもらいたいポイントが他にもあります。

「カルーセルエルドラド」の見どころは?


そもそも「エルドラド」とは、スペイン語で「黄金郷」を意味します。その名を表すかのような豪華な装飾は、実に見応えがあります。

従来の様式に囚われず、花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせたアールヌーヴォー様式の装飾となっています。ゴンドラや反射鏡をよく見てみると、ヒューゴー・ハッセのイニシャル「HH」マークが刻まれています。

天使や乙女、馬車や馬だけでなく、豚がいるのもドイツ製ならではの感覚なのかもしれません。ドイツでは、豚は「幸福のシンボル」とされている縁起の良い動物らしいですよ。

1つ目のトリビア


手作りなので、よく見てみると1体ずつ微妙に違うんです。真ん中分けの髪型をしている木馬ばかりのなかで、1頭だけ前髪を垂らしているオシャレな馬がいるので見つけてみてください。

2つ目のトリビア


たくさんの天使がいますが、羽がとれたばかりなのか、背中に2つの穴が開いたままの天使がいます。ぜひ見つけてみてください。

写真は、ブドウのつまみ食いをしているヤンチャな天使。

3つ目のトリビア


陸上動物の彫刻がたくさんあるなかで、1匹だけ海洋動物がいるので見つけてみてください。

2つ目と3つ目のトリビアは、ごく一部のスタッフさんしか知らない情報のようでした。他にもまだまだ紹介しきれないトリビアがありますから、気軽にスタッフの方に聞いてみると良いかもしれません。

これからも残していきたい、憩いの回転木馬


公式キャラクターの「カルーセル(豚)」と「エル・ドラド(馬)」

カルーセルエルドラドのスタッフさんによると、LEDの普及に向かっている時代の流れで、回転木馬を彩る温かみのある電球を確保することが今後の課題のようです。

ぜひ「カルーセルエルドラド歴史展」を見てから、実際に回転木馬に乗ってみることをオススメします。きっと不思議な世界が見えてきますよ。

カルーセルエルドラド 歴史展
東京都練馬区向山3-25-1 としまえん
開催日:9/17、10/1・15、11/5・19、12/3・17 全7回
開催時間 11:00~12:00(約1時間)
定員 各日15名程度 ※定員になり次第受付締切
参加費 1,000円(税込)
公式HPはこちら

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。

    チャンネル

    チャンネルをもっと見る