「千と千尋の神隠し」油屋の下にある海原電鉄のトンネルのモデル、ついに見つけた!?
日本

「千と千尋の神隠し」に描かれている油屋のモデル探しに励む人は多いですが、海原電鉄が走る光景からモデル地探しする人はほとんど見かけません。地味だから? マニアック過ぎるから?

今回、海原電鉄が走る光景からモデル地探しすることで、これまでジブリファンの誰も気づかなかった、「油屋の下にある海原電鉄のトンネル」を、とうとう見つけたかもしれません。

千と千尋の神隠しの世界で走っている海原電鉄

初めて「千と千尋の神隠し」を見た時に、空想の世界が描かれているとはわかっていても、独特のキャラクターに惹きつけられたのではないでしょうか?

「魔女のような湯婆婆」をはじめとして、油屋で一緒に働く「白い龍のハク」「クモのような釜爺」「白狐のようなリン」「石炭のススワタリ」など、カエルやナメクジのスタッフが油屋では働いています。

お客さんの「八百万の神々」たちも加わることによって、この世の世界では無く、妖艶な雰囲気すら感じる光景が描かれています。「千と千尋の神隠し」のような世界が現代社会に存在するものなのでしょうか?

1年以上の年月をかけてモデル地探しをした結果、東京郊外にある「奥多摩・八王子・狭山丘陵」の範囲に絞り込むことができました。

▲石灰石を運ぶ無人トロッコ

奥多摩にある日原鍾乳洞の近くには無人のトロッコなどが走り、八王子には背景画を描いていたスタッフが目撃されていることもあって似ている風景があります。

しかし奥多摩にも八王子にも、モデル地となる決定的な証拠を見つけることができませんでした。モデル地候補は「狭山丘陵」しか残っていないことになり、多摩川沿いを下流に進みながら、焦りを感じずにはいられません。

現実の世界にはモデル地は存在しないのか?という不安ともに、「千と千尋の神隠し」という不思議な世界で描かれている、「海原電鉄」の危うさを感じるようになります。

廃線マニアしか知らない「東京水道」に導かれて……


▲材料運搬のため走るトラックと木製トロッコ

多摩川沿いに探索している時にふと、多摩川から狭山丘陵に向けて鉄道が走っていたことを思い出しました。現在では使われていない名称の「東京水道」は、多摩川の羽村取水堰から水を引き込み、首都圏の水瓶となる多摩湖を建造するための水路造りから始まりました。

水路や多摩湖の堰堤(えんてい)工事に必要な材料を運搬するために、トラックに牽引された木製トロッコが走っていた道が、のちに「軽便鉄道(けいべんてつどう)羽村・山口線」に姿を変えていきます。

▲「軽便鉄道羽村・山口線」(東京水道)の横田トンネル

狭山丘陵に鉄道を敷設される際、水路となる5つのトンネルが掘られました。やがて導水管に水が流れるようになると、トロッコ列車の役目は終わり、暗渠(フタがされて見えなくなる)導水路に変わってしまいます。

▲現在の横田トンネル

「東京水道」という名称は忘れ去られて、自転車道として周辺住民に親しまれています。

▲多摩湖に一番近い「幻のトンネル」

湖を建造するためだけに活躍していた軽便鉄道は、歴史の裏側で消えてしまいました。※Googleマップでは表示されない道ですが、国土地理院地図では「東京水道」の名称で点線表示されています。

横田トンネル

Googleマップに表示されない道を進むと……


▲多摩湖と狭山湖の湖畔沿いに走っていた当時の「おとぎ電車」(掬水亭展示写真より)

「東京水道」に導かれた水路は封鎖されたトンネルを最後にして辿ることはできませんが、国土地理院地図で確認しながら進むと多摩湖と狭山湖に辿り着きます。1984年まで、狭山湖畔から西武園遊園地までの多摩湖畔沿いに、遊具のような「おとぎ電車」が走っていました。

現在では路線距離が短くなってしまいましたが、多摩湖畔沿いにレールの無い新交通システムの西武鉄道山口線「レオライナー」が走っています。

千尋が海だと思っている海は……海では無い証拠


▲多摩湖畔にある洋風デザインの旅館「掬水亭」

前々から疑問に思っていることがありました。千尋だけではなくアニメ鑑賞している側も、宮崎駿監督の描いた背景に騙されているのではないか?ということです。

何気なくスルーしているかもしれない背景ですが、千尋が海だと思っているものが、海では無い証拠として描かれているシーンに気づきます。

▲千尋を追いかけて水の中へ飛び込んでえずくカオナシ

湯婆婆の魔法にかけられたあとなので、千尋ではなくセンとして描かれている場面です。海原電鉄に乗る前のシーンを思い出してみてください。

カオナシがセンを追いかけながら泳いでいる途中で、「オエッ」とえずき、アオガエルを吐き出します。気を失っていたアオガエルが正気を取り戻して泳ぎ去る、何気ないシーンです。

▲カオナシに飲み込まれていたアオガエル

カエルは海水では生きていられない動物で、海水の浸透圧に耐えられず、ナメクジのように死んでしまうはずです。アオカエルが元気に泳げる環境を考えれば、海水ではなく真水ということになり、背景から考えれば「湖」と考えるべきでしょう。

海原電鉄が走るモデル地? 3つのポイント


海原電鉄が最初に登場したシーンを覚えているでしょうか? 千尋が湯屋の前にある橋(弁天橋)から下を覗き込んだ時、トンネルから出てくる海原電鉄を目撃します。

海原電鉄が走っている光景を探し出せれば、油屋のモデル地を探し出したことになるのではないでしょうか? 海原電鉄が走るモデル地としてどのような場所を走っているのか、特徴になるポイントを整理してみましょう。

ポイント①「海原電鉄は、湯屋の前にある弁天橋の下を走っている」という条件……

中国割烹旅館「掬水亭」の前の橋から下を覗くと、西武鉄道山口線「レオライナー」が走り抜けるトンネルが見えるという事実。

ポイント②「海原電鉄は、海のような水辺を走っている」という条件……

西武鉄道山口線「レオライナー」は、多摩湖畔沿いに西武遊園地駅と西武球場前駅の間を走っている路線で、多摩湖に沈む夕陽の光景が酷似している事実。

▲出展:西武鉄道株式会社

ポイント③「海原鉄道は、本線では無く、本線から分かれた支線が環状線になっている路線で、パンタグラフの無い単線」という設定……

海原電鉄が走るモデル地を特定する3つのポイントのうち、特に③のポイントは難易度の高い条件です。路線図を見てわかるように、西武鉄道の池袋線や新宿線などの本線から分かれる支線の一部です。

「海原電鉄」の設定にあるように、西武鉄道山口線「レオライナー」は支線のため乗り継ぎしますが、西武鉄道だけでぐるっと1周できる珍しい路線になっています。

海原電鉄のトンネルがある場所こそ、油屋のモデル地ではないかと考えます。「千と千尋の神隠し」のなかで、海原電鉄が走る背景にある3つの条件が揃う場所こそ、油屋のモデル地ではないでしょうか。

狭山丘陵の豊かな森に囲まれた多摩湖畔にある、中国割烹旅館「掬水亭」と西武鉄道山口線「レオライナー」は、海原電鉄のモデル地としての3つ条件が揃っていることがわかりました。

外見からだけではなかなか気づくことはできませんが、不思議な世界を描いた本当の「千と千尋の神隠し」の背景モデルなのかもしれません。海原鉄道を想像しながら、西武鉄道山口線「レオライナー」に乗って、西武鉄道の路線をを1周してみよっかな……。

中国割烹旅館 掬水亭
埼玉県所沢市山口2942
公式HPはこちら

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。

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