千と千尋の神隠しのDVDをコマ送りしたら、新しいモデル地を見つけられたかもしれない。
日本

ジブリ作品「千と千尋の神隠し」のモデル地は、ファンに限らず喧々諤々(けんけんがくがく)。様々な候補地がネットに挙げられていますが、写真を含めて使い回しの記事が出回るなど、不確かな情報が多いのも事実です。

「なぜか?」と言うと明確に答えがわかっていないからではないでしょうか? わかってしまうと「面白くない」という声もありますが、ジブリマニアなら自分で確かめたくなるものです。

バカバカしいことに手間をかけるのもマニアの特徴かもしれません。今回は「千と千尋の神隠し」モデル地探しのキッカケになるようなアニメツーリズムをご紹介します。

「油屋」のモデル地は?


「千と千尋の神隠し」といえば、「油屋」。こちらのモデル地はどこなのでしょうか?

一般的には、愛知県の清洲城や愛媛県の道後温泉本館、長野県の渋温泉金具屋、群馬県の四万温泉積善館本館、江戸東京たてもの園にある銭湯の子宝湯などが挙げられることがあります。

しかし、数え切れないぐらいの情報を見聞きした結果、油屋のモデルに実は「コレ!」というモノが無く、「日光東照宮」「目黒雅叙園」、江戸東京たてもの園にある「武居三省堂」「高橋是清邸」など、日本全国にあるパーツを組み合わせた背景であると筆者は考えています。

そんなふうにして、日頃から「ジブリのDVD鑑賞とトトロの森の散策」を繰り返しているわけですが、「偶然」というか?ある意味「必然」の発見がありました。

ここからは、「千と千尋の神隠し」冒頭シーンのモデル地域を特定するという、ニッチなテーマを掘り下げていきます。ジブリの著作権問題もあり、アニメ画像を貼り付けることができないため、ディープなマニアの下手なイラストを貼り付けながら話を進めます。

DVDのコマ送りで見つけた手がかり!

これからお話することは、まだ誰も気づいていない新発見かもしれません。DVDを何度も繰り返しコマ送りで観たことで発見したことです(真似は勧めません)。

▲新しい土地へ引っ越しする車中で不安そうな表情をしている千尋のイラスト

冒頭、千尋が両親と共に引っ越し先の家にアウディで向かっている1分40秒間のシーンに注目します。「学校のお別れ会でもらった花束が萎れてしまった」と、千尋が母親に訴える場面があります。このモデル地はどこなのでしょうか?

▲移動の車中で会話するシーンのイラスト

ヒントは意外な場面に隠されていました。この瞬間(2~3コマ)をコマ送りにして、車窓に流れる道路標識(国道名、地名)、町並みやカンバンなどを凝視していると……、道路沿いに設置されている4枚続きのカンバンが現れます。

その2枚目で、そば屋の看板と思われる白いカンバンに「増田屋」「0425または0426」と、店名と電話番号らしきものを読み取ることができます。

▲車窓が移り変わる「鳥山」というカンバンの見えるシーンのイラスト

さらに続けて、4枚目に「鳥山」というカンバンを見ることができます。カンバンを拡大してみると小さな文字で「鎌田」と書かれており、囲炉裏焼きで知られる八王子市内の名店「元祖・鎌田鳥山」を彷彿とさせます。

以前ウワサで聞いたのですが、ジブリスタッフに「元祖・鎌田鳥山」の常連さんがいるらしく、レジのそばに該当するシーンのセル画が飾られているそうです。となると、モデル地は「元祖・鎌田鳥山」の周辺?

しかし、描かれている周囲の風景やカンバンの色などが「元祖・鎌田鳥山」の周辺とは異なります。

背景の情報から絞り込むと……モデル地は東京多摩エリア?


たった1分40秒間の冒頭シーンについては、ほとんど注目されることは無く、話題になることもありません。忘れかけていた頃、何気なく過ごしている時間に、モデル地を示す「重要なヒント」を見つけることになるのです。

いつも変わらない狭山丘陵のポタリングに出かけた時のこと……

アニメの世界に溶け込んだような光景に出逢う


アスレチックコースを離れて、自転車道路に戻ってしばらくすると、見覚えのある光景が目に飛び込んできました。

アレっ……?

このカンバン! 「千と千尋の神隠し」DVDを何度もコマ送りして観たシーンに出てきた! 千尋家族が引っ越し先に向かう途中で車窓に写る「鳥山」と書かれた黄色いカンバンに、色も文字デザインや配置もそっくりです。
※「元祖・鎌田鳥山」は白いカンバンしか見たことが無い。

背景に描かれたカンバンだけを見ると、モデル地は多摩湖畔だったということになります。おそらくジブリファンでも、気づいていない人が多いであろう新事実の発見!かもしれませんね。

ジブリマニアなら「貯水池 鳥山」を深堀りするしかない


千と千尋の神隠しのモデル地探しをしているのに、なぜ「貯水池 鳥山」を掘り下げるのか?は後ほど説明するとして、まずは「食を楽しむ」としましょう。

「貯水池 鳥山」は敷地入口のメッセージにあるように、狭山丘陵の大自然に囲まれた、野趣あふれた囲炉裏焼きの「隠れ家」といった感じです。もともとは先代のご主人が「元祖・鎌田鳥山」に影響を受けて造ったようです。現在は、奥さんと息子さんで切り盛りしていて、アットホームな雰囲気を作り出しています。

非現実的な「完全個室の離れ」! 癒しの時間がジブリマニアの右脳を刺激してくれます。敷地の中は、良い距離感に「離れ」が点在しています。

庭園付き料亭のような空間! 千と千尋の神隠しの世界を妄想しながら独り占め。誰に気兼ねすることなく癒しの空間で妄想に更けていると、時間を忘れてしまいそうです。

「鳥」がつくお店だから鶏料理が自慢!「里の思い出」3000円


知らない土地への引っ越しに直面している千尋の気持ちを表しているような「里の思い出」という名前のメニューが気に入ったので、オーダーしてみます。鶏肉串が入っているので、「貯水池 鳥山」の鳥料理を味わえるメニューかと思います。

▲セットメニューの「麦とろセット」960円

ランチメニューにも入っている麦とろご飯も食べてみたいと思っていたので、「麦とろセット」にします。

五感を刺激する「貯水池 鳥山」の囲炉裏焼きで「食を楽しむ」


思っていたよりも素材が大きく、ワクワクしてきました。左から、つくね串・ウズラの玉子串・鶏肉串・皮付き里芋串・きりたんぽ・生シイタケ串・唐辛子串。当たり前のようですが新鮮な素材ばかりです。

さっそく、焼いて頂きましょう……いい感じに焦げ目がつけばOK!

「里の思い出」と「麦とろセット」をオーダーしたのですが、このように囲炉裏焼きと一緒にご飯を食べたい場合は、仲居さんに声を声をかけておくことをオススメします。

自然に囲まれた完全個室の「離れ」ということもあり、利用者に対して干渉せず、過剰なサービスしないというのも、「和のサービス」と思われます。そういう気遣いが、「おもてなし」と言えるかもしれませんね。

赤々と燃える炎を「じぃ~っ」と見ていると、コミカルな動きをするススワタリが見えてくるような気がするのは、ワタシだけでしょうか……。

国道と貯水池「鳥山」の離れの数に共通する「21」という数字


▲背景に描かれている国道21号線の案内標識イラスト

さて、なぜ「貯水池 鳥山を掘り下げてみよう!」と考えたのかを話します。それは、「鳥山」と書かれた黄色いカンバンだけでは、ここがモデル地であると特定できないと思ったからです。ほかの根拠を探します。

まず、「21」という数字。「貯水池 鳥山」は21もの完全個室の「離れ」で囲炉裏焼きが味わえることが特徴です。実は、アニメで描かれている背景の道路案内標識には、「国道21号」の文字が。思い込みかもしれませんが、21という数字が深い関係を示しているのではないでしょうか?

「鳥居と祠(ほこら)と木」の配置! 千尋が迷い込む不思議な世界への入口


▲「鳥居と祠(ほこら)と木」の配置イラスト

もう1つは、「鳥居と祠(ほこら)と木」の配置。千尋家族のクルマは、国道21号線から「とちの木」と書かれた方角へ右折して、丘陵地帯の上にある新しい家に向かって坂を上りますが、父親が通る道を1本間違えてしまうシーンがあります。

アスファルトから舗装されていない道路へ変わる境界線の、「灰色の鳥居と、石造りの祠(ほこら)、緑の葉が少ない茶色い木」の前でクルマがいったん停止して、父親が道を間違えたことに気づきます。この場所こそ、千尋家族が迷い込む「現実の世界と不思議な世界」との境界線だったと考えます。

実は「貯水池 鳥山」の敷地内には、先代の社長さんが造ったとされる、お稲荷様が祀られています。そう、「鳥居と祠(ほこら)と木」の配置がピッタリだと思えたわけです。

3つの根拠がそろった!「貯水池 鳥山」は「千と千尋の神隠し」の背景モデル地?!


こうして、「鳥山」と書かれた黄色いカンバン、21という数字、「鳥居と祠と木」の配置という、3つの根拠が「貯水池 鳥山」に揃っていることを突き止めました。これは偶然といえるのでしょうか?

思い込みが激しいかもしれませんが、ジブリマニアとしては放っておけないスポットではないでしょうか。

アニメツーリズムは始まったばかり


今回は、DVDをコマ送りしてモデル地のヒントを見つけたことから「貯水池 鳥山」に辿り着きました。しかし、「千と千尋の神隠し」に描かれている背景はこれだけでなく、様々な風景を組み合わせてできています。アニメツーリズムは、これで終わりではなく始まったばかりです。

ちなみに背景に描かれていた電話番号をヒントにすると、東大和・立川・八王子・青梅・奥多摩までがモデル地の候補と言えます。ジブリファンが気づいていないパーツ探しが、まだまだ楽しみで仕方ありません。

貯水池 鳥山
東京都東大和市蔵敷1-391
公式HPはこちら

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。

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