23区にはそれぞれ区の歴史博物館があります。名称は区によってさまざまです。たとえば、めぐろ歴史資料館、豊島区郷土資料館などありますが、今回、紹介するのは新宿区四谷にある新宿区立歴史博物館です。この博物館は新宿区内から収集した、歴史・文化に関わる資料を収集・保管する郷土史博物館で、常設展示のほか、特別展も年に数回されています。
行き方
新宿区立歴史博物館は、丸ノ内線四谷三丁目駅と四ツ谷駅の中間に位置します。ここでは四谷三丁目からの行き方を紹介します。博物館自体は靖国通りから入ったところにあり、逆方向からと考えていただければいいかと思います。四谷三丁目駅4番出口から出てまっすぐ四ツ谷駅方面に5分ほど行ったところにファミリーマートがあり、その先の角に新宿区立歴史博物館と四谷税務署への表示があります。
新宿の歴史
新宿歴史博物館は新宿の歴史を歩きながら体感できる施設です。
縄文時代から近現代までの展示がありますが、面白いのは江戸時代以降です。
これは内藤新宿の街の雰囲気をジオラマで再現したもの。新宿という街は内藤家の下屋敷が新宿御苑にあって、また中山道の宿場町などで発展したその街の佇まいがよくわかる展示です。
これは内藤新宿にあった商家を再現したものです。
大正末期から昭和の初頭にかけては新宿はまだまだ郊外というイメージだったようです。文化住宅という存在がまさに象徴しています。
文化住宅というとイメージがわきにくいですが、和洋折衷の住宅です。そんな住宅を再現したコーナーもあります。新宿区落合には落合文化村と呼ばれた高級住宅地がありました。前に林芙美子記念館を紹介しました(『小さな博物館・美術館 ~林芙美子記念館~』)が、彼女の住んでいた建物もこの文化住宅仕様でした。まだまだのどかな雰囲気を新宿は持っていたようです。
ちなみに文化住宅は最近は少なくなってきましたが、今でも散歩していると見かけることができる住宅のカタチです。
昭和の新宿
今の新宿駅が発展していったのは、やはり関東大震災と無縁ではないようです。昭和に入ってから急激に発展していきます。
今は新宿駅というと地下鉄と私鉄のターミナル駅ですが、大正昭和にかけては、いま丸の内線が走っているルートなどを都電(路面電車)が走っていました。青梅街道を新宿から荻窪を走る都電もあったそうです。まさにターミナル駅・新宿だったわけです。
館内には都電の実物と電停、電車の停留所が再現されています。後ろの方にはその頃の路線図が貼ってありました。
この後は今の新宿につながる展示があります。新宿伊勢丹の向かいに映画館、それも大手の映画館が並んでいたりする写真の展示や、歌舞伎町の賑わいの写真を見ていると、新宿という街が歓楽街として発展したというのがよくわかります。最近は東横キッズという言葉を聞きますが、人を呼び込む街の活力、昭和の歌舞伎町の流れが活き続けているんだな、そんな印象です。
ちなみに、展示を出たところには、古い小田急ロマンスカーの運転席と座席が展示してありました。
これからの新宿
新宿の都市開発は、1970年代の西新宿が淀橋浄水場跡地の再開発で都内の高層ビル建築の先駆けとなりましたが、1991年の都庁移転の後はバブル期含めて時が止まった感じでした。しかし、小田急百貨店跡地、スバルビル跡地、と再開発の波が押し寄せています。スタジオアルタの跡地も再開発に入ります。
いま新宿駅西口から東口が見渡せるこの風景も、歴史の貴重な資料といえるようになるのかもしれないですね。
ちなみに2階には資料室もあり、貴重な新宿に関係する資料を見ることもできます。ぜひ、一度訪ねてみてはいかがでしょうか。
東京都新宿区四谷三栄町12−16
電話:03-3359-5036