もんじゃで有名な東京の下町・月島。町を歩けば、粉もんを焼く香ばしい香りに食欲がそそられます。そんな月島が、最近マンガ・アニメ好きの聖地巡礼地として注目を集めています。「引きこもりでオタクのエルフがなんと神社のご神体!」というユニークな設定の『江戸前エルフ』の舞台がこの月島なのです!
月島・築地エリアのパワースポットがヒントになっていると耳にして、パワースポット専門ライターの筆者が現地を訪れてみたところ、龍神スポットも発見。総じてレベルの高い聖地だと判明しました! というわけで今回は、アニメの舞台築地~月島エリアのパワースポット巡りと、お約束のもんじゃのオススメまでしっかりお伝えしますね。
東京の下町が聖地に!?

築地~月島の歴史
今回ご紹介の築地~月島は言わずと知れた歴史ある下町です。築地は江戸時代に徳川家康が大阪の佃村(現在の大阪市西淀川区)の漁師たちを移住させたことから、現在に至るまで漁業とは切っても切れない土地となりました。近年では豊洲に移転したとはいえ長きにわたって築地魚市場が江戸っ子の胃袋を支えてきたのです。

そんな築地の延長線で明治時代に誕生したのが埋め立て地・月島。当初は築地と絡めて「築島」と表記していたのだとか。月島は佃煮で有名ですが、これも彼らのルーツ佃村に由来します。隅田川を挟んだこのウォーターフロント地帯は、現代的ではありながらも下町情緒を残しており、国内外の観光客からも根強い人気を誇っています。
ついにサブカルの聖地に!
そんな下町が近年アニメ・マンガの舞台となり、新たなファン層を獲得中なのです! その理由は、月島を舞台にしたマンガ・アニメ『江戸前エルフ』(作者:樋󠄀口彰彦、マンガ2019年~、アニメ2023年)。作品ファンの聖地巡礼先として脚光を浴びているのだとか。
月島に鎮座する400年以上の歴史を持つ「高耳神社」。ご祭神は何とオタク趣味の引きこもり&ぐーたら生活を送るエルフのエルダ。そんなエルダに仕える15代目巫女の女子高生・小糸との日常を描いた下町コメディ。歴史小話も織り込まれているので、歴史好きの方にもオススメです。
ちなみにエルフはこんなイメージです。

月島の街並みが忠実に描かれているので、原作かアニメ(または両方)をチェックしてから現地を歩くと楽しさが倍増しますね。
原作のモデル?築地の最強厄除けスポット―波除神社

作中に登場する「高耳神社」はもちろん架空の神社ですが、
「築地の波除神社とそっくり!」
「高耳神社のモデルは波除神社!?」
とネットでも話題になりました。
作者にも問い合わせが多かったようで、2023年3月の作者が自身のX(旧Twitter)で「神社好きの人に高耳神社のモデルは築地の波除神社? と問われたのですが、特定のモデルの神社はありませんでございます。拝殿が神明造で似てるもんね。月島のどこかにある神社、ということでひとつ。」と説明がありました。

これは実物を拝んで確かめよう、というわけで波除神社に足を運んでみました!
外国人観光客でごった返す築地場外市場の先。隅田川を背景に小規模ながらも貫禄のあるお姿が印象的です。確かに正面が高耳神社と似ている感じがします。作中の神社の方が横に広がりがあるので違いはその部分でしょうか。

そんな波除神社ですが、とても神秘的な逸話が残されています。時は17世紀、埋め立てを行うも激しい波に襲われ頓挫していた当時の人々は、ある夜海面を光る物体を発見します。それはなんとお稲荷さんのご神体。社殿を創建して拝み始めたところ、波風が収まり埋め立て工事も無事完了・・・というのが神社のご由緒です。この由来あっての社名・波除神社、ご利益も災難除け・厄除け・商売繁盛・工事安全のご利益で現在でも崇敬されています。

波除神社では境内の左右に鎮座する獅子頭が必見ポイント。社殿に向かって右側に鎮座するのが「厄除け天井大獅子」で、ぐるりと一周できるようになっています。

その向かい側には「お歯黒獅子」が鎮座しており、こちらは市杵島姫命を祀った弁財天社なのです。獅子の頭の宝珠の中に、ご神像が収められているそう。

筆者は導かれるように脇のご神木の後にひっそり鎮座する蛇石を発見。ヘビは弁財天ともつながりが深いので、その関係でしょうか。神社の公式HPはおろか、ネットで調べてもどこにも情報がないのでますます気になりますね・・・
●波除神社
東京都中央区築地 6-20-37
月島の龍神スポット―住吉神社

次は物語の舞台・月島へ移動しましょう。朱塗りの佃小橋、隅田川沿いの景色など作中にも登場する景色を目の当たりにするとちょっとした感動を覚えるものですね。改めて聖地巡礼の醍醐味を実感した筆者でした。

そんな月島で見つけた龍神スポットが、住吉神社摂社の龍神社です。

住吉神社はいわゆる住吉三神を祀った神社を指します。海で誕生した神様ということもあり、海に関するご利益(航海の安全・大漁・商売繁盛)で知られています。
●ご祭神:住吉三神
底筒男命(そこつつのおのみこと)
中筒男命(なかつつのおのみこと)
表筒男命(うわつつのおのみこと)

このエリアが徳川家康とゆかりある、大阪佃の人々の移住先だと冒頭で書きましたが、その大阪佃にある田蓑神社(住吉三神を祀る)から分霊されたのが、この住吉神社なのです。
徳川家康とのご縁からか、東照御親命(あずまてるみおやのみこと)という神名で、家康も祀られています。ちなみに「江戸前エルフ」の中でも、主人公のエルフが「徳川家康君」と君付けで呼ぶ場面があり、長命のエルフと歴史上人物との絡みが表現されていて面白かったです。(気になる方は原作・アニメをチェックしてくださいね!)

主祭神の住吉三神にお参りをしたら、いよいよ龍神様にごあいさつ。住吉神社境内の龍神社に向かいましょう。
●ご祭神
龍姫大神(たつひめのおおかみ)豊玉姫神の別名
於迦美大神(おがみのおおかみ)
竜王弁財天

1822年に創建されたこちらの龍神社では、元々別の場所にあった二柱の龍神と併せて、合計三柱祀られています。社伝によると、最初は龍姫大神のみ祀られていたそうです。別の社で祀っていた於迦美大神(=龍神)の化身白蛇が住民の夢枕に現れ、「住吉神社の境内に祀ってほしい」とお告げをしたことから龍姫大神と於迦美大神が合祀されました。

竜王弁財天も元々は日本橋の白木屋の守り神でしたが、個人が祀るにはご神徳のレベルが高すぎるため、最終的に住吉神社に合祀される形に。龍神と弁財天の合計三柱を祀る、最強龍神スポットが完成したというわけです。江戸時代から現在に至るまで参拝者に開運出世・金運上昇・商売繁盛・学業成就・芸能達者・病気平癒と、オールマイティなご利益を授けてくださっています。

都会の神社の例に漏れず、コンパクトな境内ではありますが手入れが行き届いており、町の方々から愛され大事にされ続けていることが感じられる神社でした。
●住吉神社
東京都中央区佃1-1-14
原作の主人公御用達のもんじゃはここで食べられる!

築地~月島での聖地巡礼にはやはりご当地の名物もんじゃ焼きは外せませんよね! 地下鉄月島駅7番出口を出るとすぐに「月島もんじゃストリート」が広がっています。
メインの西仲通りを中心に、文字通りもんじゃのお店が並んでいるので、どのお店に入るか迷ってしまいます。

今回は『江戸前エルフ』にも登場する有名店「路地裏もんじゃもん吉」に決定。残念ながら筆者が訪問した日は路地の店舗はお休みだったので、画像の西仲通り沿いの西仲店にお邪魔しました。

メニューも豊富でついつい欲張りたくなるところですが、ここはやはり作中にも出てくる「明太もちチーズもんじゃ」をオーダー。親切な店員さんの見事な手さばきで、あっという間にできあがり!おいしくいただきました。
●路地裏もんじゃもん吉
東京都中央区月島3-8-10
【結論】新旧のバランスの良い月島界隈は本物のパワースポットだった

築地~月島界隈は、下町とは言いながらも良いあんばいで新旧が共存する素敵な街並みでした。水辺の地形をうまく活かして整備された公園では、良い気の巡りを感じましたし、川辺に建ち並ぶ高層ビルが大都市・東京を象徴するようでもあり、また他方では昔ながらの佃煮のお店など下町らしさも健在。
そんな土地の神社だからでしょうか、水とつながりの深い龍神や海の神様のエネルギーが漂っているように思いました。おかげで心身共に元気になれたので、ぜひ下町のパワースポットへお越しください!
*最後に補足情報です。佃煮のお店の多くが、お支払いは現金のみということなので、お賽銭分と併せて現金のご用意もお忘れなく!