2月のお祭りといえばカーニバル。世界的に有名なリオデジャネイロやヴェネチアのカーニバルのほか、世界各地でその土地の特徴を生かした様々なカーニバルが開催されます。
ドイツのカーニバル
そんなカーニバルはドイツでも重要なお祭りのひとつ。中でも有名なのがケルンやマインツ、デュッセルドルフといったマイン川流域の地域で開催されるカーニバル。これらは「ドイツ3大カーニバル」とも呼ばれ、仮装した人々のパレードやそれを見に来る見物客による、文字通りの「どんちゃん騒ぎ」が繰り広げられます。
一方でドイツ南西部の黒い森では、そんな楽しいお祭り騒ぎのカーニバルとはひと味違った、独特な雰囲気の漂うカーニバルが繰り広げられます。
黒い森地方ではカーニバルを「ファスナハト」や「ファスネット」などと呼び、まるで能面のような木製のお面を被った愚者たちが町の中を練り歩くのです。
伝統色の濃い黒い森のカーニバル
黒い森の西に位置する町フィリンゲン・シュヴェニンゲンで繰り広げられるファスナハトの特徴は、体中に大きな鈴をつけた愚者。薄ら笑いを浮かべている様なそのお面はちょっと不気味。小さなお子さんならすぐ泣きだしてしまいそうです。
そして彼らが体を揺らすと、ぶら下がっている鈴が「ジャンジャン」とこれまた独特な音を鳴らすのです。
愚者たちは「ホーホホホ……」と笑っている様な掛け声をかけながら町を練り歩きます。よく見るとお面の顔も微妙に違い、若い顔つきの面やおじいさん風の面まで様々。知り合いが見ればどれが誰なのか分かりそうですね。
フィリンゲンから北東へ進んだ場所あるロットヴァイルという町には、さらに怖い顔つきの面を被った愚者たちが。フィリンゲンの愚者たちの面は割とのっぺりしたのに比べ、こちらはだいぶ濃い顔つきだと思いませんか?
牙まであって鬼そのものの形相をした者がいると思えば、傘を差した貴婦人の様な者もいます。
黒い森と一言に言っても、町ごとにファスナハトの雰囲気が異なるのが面白いところ。様々な町を訪れてファスナハトを見比べるのも楽しそうですね。
町の公式HPはこちら
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どうしても生で見られなければ博物館へ
ファスナハトが開催されるのは2月。この時期にどうしてもドイツへ行けない、しかし雰囲気だけでも触れてみたい、という方はファスナハトの衣装が展示されている博物館へ行ってみましょう。
例えば黒い森の町ハスラッハにある「黒い森民族衣装博物館」では、様々な民族衣装に混じってファスナハトの衣装が展示されています。この博物館の便利なところは、どの衣装がどの町のものか示されている点。
またドイツ最大の滝で有名なトリベルクにある「黒い森博物館」でも、一堂に会した愚者たちを見る事ができます。古くから伝わる伝統行事とはいえ、この画は何だかとてもシュールだなと感じた筆者です。手前のキツネや奥にいる鳥の様なものまで、まだまだ謎だらけなのです。
黒い森で開催される独特な雰囲気のカーニバル。この時期ドイツに来られる方は、ぜひ黒い森にも足を伸ばしてみてください。