無駄に格好良いドイツ語の代表、黒い森ことシュヴァルツヴァルド(Schwarzwald)は、南西ドイツにあります。常緑樹の生い茂る夏でも暗い森は、長らくドイツでもちょっぴり神秘的な異文化を築いていた場所でもありました。そんな一風変わった黒い森のドイツを全身で体験できるのが、「黒い森野外民家博物館」です。
どこかで見覚えがある……?おなじみの藁ぶき屋根
野外博物館のみどころは、なんと言っても本物をそのまま移築して来た建築物。
近代化の波に押され、黒い森地区から姿を消しつつあった中世そのままの民家をダイナミックに移築して出来たのがこの博物館です。
藁ぶき、合掌造りの民家は、国は違えども白川郷の民家ともそっくり。
家畜小屋や作業小屋が大きな屋根の下にセットになった造りも、日本の古民家を思わせるものがあります。民家だけではなく、教会や粉ひき小屋など、昔ながらの村の建物がそのまま移されており、野外博物館の敷地にはメルヘンの世界に迷い込んだような風景が広がっています。
展示コーナーに見え隠れする知られざる異文化
ドイツの民族衣装と言えば、可愛いチェックの柄にセクシーな胸元が特徴の「ディアンドル」。
ですが、黒い森地域の民族衣装の特徴は、大きなボンボンが付いた黒い帽子、「ボレンフート」です。シュヴァルツヴァルド地方のテーマカラーである赤、黒と白を基調にしており、よりシックな感じですね。
未婚者は赤のボンボン、既婚者は黒のボンボンがついた帽子をかぶります。ちなみに帽子は2kgぐらいはあるそうで、なかなか重い。今でもオクトーバーフェストやカーニバルなど、お祭りの時にはよく見かける民族衣装です。
黒い森はグルメにも自信あり
耕作面積が少なく、長らく食糧に乏しい暮らしを送っていた黒い森。しかしそれも過去の話です。
黒い森の名物は、「シュヴァルツヴァルダー・バオホシンケン(黒い森のハム)」。生ハムを燻製し、縁にスパイスをまぶした香ばしいハムです。スモーキーな味わいがビールにぴったり。ドイツではおなじみのハムなので、スーパーでも購入できますが、本場は黒の森のモミの木など、香りの強い木で燻したものが美味しいとされています。また、日本でも人気のある「シュヴァルツヴァルダーキルシュトルテ(黒い森のさくらんぼのケーキ)」もおすすめ。
チョコレート生地のスポンジに生クリームと、さくらんぼリキュールに漬けたさくらんぼが挟まっています。「雪をまとった黒い森の姿」がモデルなのだとか。強めのアルコールを含む大人のケーキです。こちらはスパークリングワインに合いますね。
黒い森の個性的な街たち
ドイツ南西部を覆う黒い森ですが、その中に点在する都市はなかなかに個性的。
町中に水路が走り、大聖堂で有名な「フライブルク」や、温泉とカジノの保養地「バーデン・バーデン」など、見どころが沢山です。
オススメは列車での旅行。その名の通りの森の黒さや、ガイドブックにも載っていない小さな村々、突然現れる古城や教会を車窓から楽しむことも出来ます。
名前に恥じない奥深さのシュヴァルツヴァルド、ぜひお楽しみください。
所在地:Vogtsbauernhof Gutach
開館時間:4月上旬~11月上旬 9:00~18:00、冬期未定
休館日:4月上旬~11月上旬は無休、冬期未定
入館料:7ユーロ
アクセス:バーデン・バーデン駅からREで約50分、ハウザッハ駅Hausach下車、バス6分、または徒歩35分
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