• 不思議なキャラがお出迎えする、平昌オリンピックの「平昌」を散策する | TRIP'S(トリップス)

    不思議なキャラがお出迎えする、平昌オリンピックの「平昌」を散策する
    韓国

    オリンピックたけなわですが、競技の周辺部をマニアックにご紹介したいと思います。

    オリンピック開催都市ってどんなところ?

    平昌(ピョンチャン)オリンピックは韓国の東北部・江原道(カンウォンド)の平昌(ピョンチャン)郡と江陵(カンヌン)市で行われています。

    今までのオリンピックは主要都市がオリンピック名となり、競技の一部が周辺の町で行われるスタイルでしたが、今回大会開催都市となっている平昌(ピョンチャン)は韓国の中でも知名度の低いいわゆる”田舎町”。メイン会場となる都市より周辺都市である江陵(カンヌン)市のほうが大きい、そんな大会です。

    どんなところかをイメージするために、1998年の長野オリンピックと比較しながら見てみたいと思います。スケートなどの”都市”競技を開催した長野市と江陵(カンヌン)市を『都市』として、スキー種目をメインとして行った白馬村と平昌(ピョンチャン)郡の大関嶺面を『スキー場』として比較してみたいと思います。


    こうして見てみると、長野オリンピックより少しずつ規模の小さい地方自治体が今回のオリンピックを仕切っている様子がわかるかと思います。

    江陵(カンヌン)市ってこんなところ

    朝鮮半島南部の地形は、東側に背骨のように山があります。その山脈のせいで、交通網も山脈を避けるように北西のソウルから中央を通って南東部の釜山とその周辺(慶州・浦項・蔚山などの諸都市)と西南穀倉地帯の都市(光州、木浦、麗水など)へと延びています。

    距離的には、プサン半分の距離なのに所要時間はプサンまでの数倍。ソウルっ子の頭の中では長年「江原道=とっても遠い」という図式が成り立っていました。

    江原道の日本海沿岸地域は、長く漁業の町として知られていました。束草(ソクチョ)市、江陵(カンヌン)市、東海(トンへ)市は海遊びに行くところであり、イカのおいしい町であり、釣りの名所です。

    2007年にソウル・ヤンヤン高速道路が開通したことによって、これらの都市はソウルから2~3時間ほどで行ける場所になったのでした。

    江陵は海沿いというだけあって、気候は穏やか。ソウルよりもむしろ暖かいなどともいわれます。山越の時に見えていた雪も、江陵に近づくにつれて見かけなくなります。

    2月の江陵に近い田園地域です。雪がありません。

    平昌(ピョンチャン)ってこんなところ

    山脈ど真ん中の平昌郡。大関嶺(デグァンリョン)は風力発電所があり、そのふもとは牧場が広がっています。風力発電所ができるくらい、1年を通して風の強い場所です。この風が今回のスキー競技のあだになっていますね。

    あだといえば、気温の低さ。江原道は気温が低いことでも知られています。その上、今年は大寒波。ソウルに20年くらい住んでいる人たちでも大騒ぎしている寒さです。

    ちなみに長野オリンピックの時は、天候が大荒れに荒れて競技ができず、日程が大幅に狂ったというエピソードがあったらしいです。外での競技はそんな難しさがありますね。

    日本では、寒い=雪が多いというイメージですが、からからに乾燥した韓国では必ずしもそうではありません。韓国一寒い江原道でも、車窓の景色はこんな感じ。

    雪がないわけではないのですが、あまりにも乾燥しているので、雪の粒が小さいんです。さらに、その雪すらめったに降りません。

    一度降ると1週間でも10日でも1か月でも溶けずに残っていることはありますが、そんな感じなので、人工雪で整備したスキー場以外では、何かのタイミングでドカ雪が降ったりしなければこんな感じ。

    オリンピック観戦、こんなところに注目

    せっかく来るのだから120%楽しみましょう。ここでは、韓国の「おもてなし」を見ていきたいと思います。

    速いし便利なktx

    韓国の高速鉄道ktxがオリンピックに合わせて開通しました。開通したのは2017年12月末。なんかギリギリ間に合った感があります。

    チケットは「コレイルトーク(코레일톡)」というアプリから購入できます。大会に合わせて日本語でも表示されるようになったので、韓国語が読めなくてもここから予約ができます。

    このように、購入時点で席も指定できます。当日は、時間までに駅に行って列車に乗り込むだけ。

    そうそうktxですが、改札がありません。ただその時間に行って指定の席に座っていれば、目的地まで連れて行ってもらえます。一応、購入した時のこの画面だけ念のため保存しておくことをお勧めします。

    ktxは路線によって車体が違うらしく、江陵行きのは新しい車体。車内ではWi-Fiが無料提供。電源もあって充電もできます。
    座席の下のほう、電源があるのが見えるでしょうか。

    車内はこんな感じ。オリンピック期間中だけあって、乗客はほとんどが外国人でしたが……。車内では大きな声で話さないようにと注意を促されていることもあり、車内はとても静かで快適でした。

    駅も快適


    もともとあった「江陵駅」を解体し、少し位置をずらして新築された現在の「江陵駅」は円柱形の駅舎です。

    列車をおりてエスカレーターで1階の出口に出ると、広い待合室があります。到着予定の列車と出発予定の列車の情報が、韓国語とアルファベット表記でそれぞれ掲示されています。

    駅舎の中には、ktxインフォメーションや、お客様相談窓口、ロッカー、トイレ、軽食屋、カフェ(カフェベネという大手チェーン)、コンビニなどがあります。

    トイレは広く、個室もたくさんあって人が多くてもあまり並ばずにスムーズに利用できます。多目的トイレもしっかり完備。手洗いコーナーには、乾燥機やごみ箱も使いやすく収められています。

    「韓国では、使ったトイレットペーパーをごみ箱に捨てるんでしょ?」

    いいえ。現在コレイル(韓国鉄道)では、使用済みのトイレットペーパーは便器に流してくださいキャンペーンをやっています。日本でのやり方と同じなので、ストレスの元が1つ減りましたね。

    出先のトイレは清潔さなども含めて不安ですが、江陵駅のトイレは、非常に快適でした。利用客が心地よく利用できるような心遣いを感じました。

    おもてなしに癖あり?

    大会を盛り上げる……ためでしょう。大会マスコットのスホランとバンダビが駅の出口2か所の両方におかれていました。

    観光客が最も降りるであろう出口(シャトルバス乗り場に近いほうの出口)。右がスホラン、左がバンダビです。スホランがオリンピックの、バンダビがパラリンピックのキャラクターです。

    しかし、たくさんの人が通る出口の前のわりに寂しい……。

    と思ったら、表にもいました。こちらは「ここで写真を撮って」といわんばかりのスポットになっていました。

    暗くなるとこんな感じに。五輪が光ります。

    スケートリンク、ホッケー場、カーリング場までは送迎のための無料シャトルバスも出ていますが、1キロ程度なので歩こうと思えば歩けます。江陵市も歩くことを勧めてくれてはいます。

    これを見て、欧米系の若いお客さんたち、結構歩くことを選択していました。しかし……

    途中で、指定コースが山越えだと知って苦笑。健康のために歩いてみることにしました……(いつの間にか、周りには観光客が全く見当たらなくなってしまいました)。

    道中、不思議な風船のようなキャラクターが、

    急な坂道でゼイゼイ言っている歩行者を応援するかのように設置されていました。

    何とか一山超えて、会場へ。なんだか、とてもワイルドなおもてなしを体験した気分です。

    送迎バスがまさかの……

    無料送迎シャトルバスが江陵駅前から会場まで2種類走っています。ただし、駅からシャトルバス乗り場まで道路わたって10分くらいかかります。臨時バス停にはポランティアの人たちがたくさん配置されていて案内をしてくれます。

    そして乗ったシャトルバスは……

    まるで走るクラブ。テンション上がりますね。

    なお、ボランティアさんの多言語備えは立派でした。たくさんの外国人に対応するためか韓国語が通じない方もいます。会場で、指定された席が友人とはかなり離れてしまっていたため、ショートカットして友人の席まで行く方法を尋ねようと、真後ろにいたボランティアさんに声をかけたところ……

    どう見ても韓国人や東アジア人に見えない会場整理の係員さん。「?」という表情のあとで、流ちょうな英語でいろいろ教えてくれました。どうやらオリンピック会場には、結構な数の韓国語が通じない人もスタッフで入っているようです。

    ちなみに友人が助けを求めたのはほぼ中国語オンリーの方。周りにほかのボランティアさんがいなかったので、意思の疎通にかなり四苦八苦したようです。ということは、日本語オンリーっていう人も会場のどこかにいるのかもしれません。

    手作りのおもてなし?

    もともとは別の用途に使っていたバスを流用したような無料送迎シャトルバスでしたが、駅の周りではもう1つ、地元の人の手作り感が満載の施設を見つけました。

    江陵駅前に作られた「2018江陵食品館」。テントに大量につけられた電飾が、高校の文化祭?という感じがしないでもない施設です。せっかくなので中を覗いてみましょう。

    大量にやってくる他地域・他国からのお客さんにこの地域の食文化を紹介する施設……のはずなのですが。想像していたよりずっと、文化祭っぽい。何とも言えない素朴さというか、素人っぽさを感じます。

    地元のおばちゃんが作っている、村のお祭りの屋台っぽさを感じます。

    素朴さといえば、タクシーのドライバーさんに、駅周辺でおいしい店を知らないかと聞いてみたところ「ないよ」と即答されました。少し南に下って町のほうに行けばそこそこあるそうですが。

    会場のある駅の北側エリアだと、徒歩の山越えコースの基点のところにそば料理の店があってそこがいいとのことです。ちなみにこのドライバーさん、私の前に日本人のグループ客を乗せていたらしいのですが……

    「せっかく外国からのお客さんが来るからと思って何十年ぶりかで日本語を勉強しなおした。張り切って日本語でしゃべってたら、メーター入れ忘れてしまって気づいたのが目的地直前だったから基本料金だけもらうことになっちゃった。帰りのタクシーの値段が行きと相当違ってしまってあのお客さんいやな思いするんじゃないか」って心配していましたよ。

    そんな、飾り気のない素朴なおじちゃん・おばちゃんが支えている大会なんだなと思いました。

    大会観覧の方への注意点

    失敗しないための注意点をいくつかあげたいと思います。

    余裕をもったスケジュールを

    駅から送迎バス乗り場まで地味に10分。送迎バスの降り場から会場の入場口まで5分。入場時にセキュリティーチェック。会場内の徒歩移動。競技施設に入るときのセキュリティチェック。

    意外と罠が潜んでいます。ぎりぎりに行くと思ってもいなかったところに時間をとられて大切なシーンを見逃してしまう可能性も。

    食糧難民になる可能性が……

    何をおいても食にこだわる韓国らしくなく、食へのインフラ整備がいまいちな気がしました。

    江陵駅前はあのテントの食品館以外、食堂・レストラン的なものはほぼ皆無。シャトルバス下り場周辺にも店の姿が見当たりません。会場の中には食堂街もあるようなのですが、競技と競技の間にそれを見つけ出すことがむずかしい場合もあります。

    そこかしこに軽食のテントはあるのですが、ホットドッグ(約500円)、トッポッキ(約500円)、ソーセージ(約350円)、韓国おでん(約400円)など、食事というほどのボリュームがありません。

    そのうえ、一度会場から出てしまうと再入場ができないことになっています。なので、「中で探せばいいや」で探しきれなかった場合、何も食べられません。かといって、入る直前にその周辺で何か食べようとしてもほとんどありません。

    南門周辺は公的な施設の建物の中にある可能性がありますが、それ以外は皆無。北門周辺は門から10分程度歩いたところに韓国食ビュッフェ(1人前約700円)とスンドュブチゲの店がある程度でした。

    アイスアリーナ(北門)周辺には何もありません。交差点にカフェが1軒。そのカフェから撮影。

    カード決済はまさかのVISAだけ

    カード社会の韓国ではほぼすべてのものがカードで買えます。そのため現金を持ち歩いていないソウルっ子も多いです。

    が、この会場内、VISA以外のカードが使えません。マスターも、JCBもその他の会社のもダメです。VISAカードとともに現金をしっかり準備していくことをお勧めします。

    運が悪いと水を没収

    会場に入る際にセキュリティチェックを受けます。空港で飛行機に乗る前に受けるようなものです。手荷物の検査もあります。不思議だったのですが、同行者の1人が、カバンの中に入れていたペットボトルのお茶で引っかかってしまいました。

    同じようなペットボトルの水を持ち歩いていても引っかからなかった人もいたので、このあたり、なんか納得いきません。が、ご注意ください。

    素朴なおもてなしを楽しもう!

    韓国一素朴な江原道。突如として大量の外国人客に追われてあたふたしているようにも見えますが、完璧とはいえなくても素朴で飾り気のないおもてなしがそこにはあります。

    華やかなイベントと素朴なおもてなしのギャップ。それがこの平昌オリンピックの最大の魅力なのかもしれません。

    平昌

    ついでに足を延ばして

    オリンピックは一過性ですが、素朴なおもてなしはこの地がはぐくんできた文化。江陵駅から10分。シャトルバス乗り場の向かいに、郷校という昔の学校の施設が残されています。その隣には現在の学校が。

    海水浴場やその近くのカフェ通り、オリンピック関連施設とともに、この地域をはぐくんできた学びの場にもぜひ足を運んでみていただきたいなと思いました。
    ついでに足を延ばして

    この記事を書いた人

    エナ

    エナライター / エナツアー主催

    横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの町歩きが大好きなネイリスト。ソウルの博物館、市場が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。

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