世界最大の美術館ともいわれるパリのルーブル美術館。もともと王宮として増改築され、全てを歩くと16kmになり一つの作品を3秒づつ鑑賞しても3か月はかかるとか!
そんなルーブル美術館に10回以上行っている添乗員が、効率よく鑑賞するルートをご紹介します。
建物はコの字になっています
ルーブル美術館はドゥノン、リシュリュー、シュリーの3つの部分からなっており、あの有名な「モナリザ」はドゥノン翼にあります。ルーブル美術館を訪れるほとんどの方の目的がこの「モナリザ」でいつも混雑しています。この混雑で疲れてしまい、他の名作を見ずして帰ってしまうということが多いので今回はあえて「モナリザ」を最後に見るというルートでご案内します。
リシュリュー翼から入ります
エスカレーターを上がりリシュリュー翼から入場しましょう。
中に入るとまず開放的な空間が広がります。ガラス張りの天井と真っ白な空間。そこに展示してあるのは主に18~19世紀のフランス彫刻。
目指すは2階です。エレベーター、もしくはエスカレーターで向かいます。
さぁ、2階に着きました。左側の部分を時計回りに進んでいきましょう。まずは837番のお部屋にあるフェルメールの作品を見に行きます。
私的にはこの作品はぜひ見てほしい!
フェルメールの「天文学者」。
本当はこの隣に「レースを編む女」の作品もありますが、今回は残念ながら出張中……フェルメールの作品は世界でも30数点しかなく、どの作品もとても小さいのが特徴。窓から差し込む光の柔らかさ、物語性を感じる絵が私は大好きです。「モナリザ」以上にルーブルの至宝ともいえる作品。
さて次はお部屋番号844のあるレンブラントの作品「ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴」。
続いてお部屋番号855にあるルーベンスの作品。彼は52歳の時になんと16歳のエレーヌと2度目の結婚をしましたが、彼女がそのエレーヌ。豊満な肉体美と若さを感じることができます。
801番の大きなお部屋「ルーベンスのギャラリー」に来ました。ズラッと大きさの揃った全24枚の絵は、「マリー・ド・メディシス」というフランス王妃の生涯をテーマに描かれた連作です。椅子に座りじっくり鑑賞できます。
ルーベンスらしい華やかなタッチとダイナミックさが感じられる作品の数々。王妃は神格化され、彼女の生涯を描いた壮麗な一大絵巻のようになっています。
先ほど上がってきたエスカレータの広場を通り過ぎ宗教画を見ながら隣のシュリー翼をめざします。
シュリー翼につきました! 左の縦の列を下に進んでいきます。まずは903番のお部屋へ。
この部屋は印象派の作品が展示してあります。こちらは印象派の代表でもあるモネの作品。
こちらはルノワールの「読書する少女」。印象派の作品は輪郭がないのでぼんやりした感じになりますが、それが絵全体の柔らかさを醸し出すんですね。鑑賞後は階段で1階に下ります。
古代ギリシャ・ローマ美術の間を通りいよいよ本丸ドゥノン翼へ。
途中のアポロンのギャラリーなどは今年の12月まで修復中だそうです。703番のお部屋に来るとあの有名な「サモトラケのニケ」の彫刻が階段の上に展示されています。
この辺りからは人が多く混雑し始めます。彫刻を見た後は奥に見えているお部屋へ。「モナリザ」のお部屋を案内するパネルが置かれているのでその方向に進んでいきます。
大きなホールに出ました。お部屋番号でいうと710、712番です。ここにはレオナルド・ダ・ビンチ、ラファエロの作品があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」。
こちらは「洗礼者ヨハネ」これもレオナルド・ダ・ヴィンチの作品。この微笑みとポーズが印象的ですね。さていよいよ「モナリザ」と対面です。
お部屋番号711番。入った瞬間アレ??何かが違う……そうなんです。今ルーブルは改装中で回りの壁の絵は全て撤収されていました……しかし、この奥の人だかりの中にあの名作があります。
また会うことができました! 「モナリザ」です! 何度見ても飽きない作品ですね。
モナリザの鑑賞後はまた先ほどの大きなホールに戻ります。とても小さい作品ですが、ルーブルの隠れた至宝といわれるラファエロの「悪魔を退治する聖ミカエル」も見逃さずに!
こちらもラファエロの作品「美しき女庭師(聖母子と幼児聖ヨハネ)」。聖母マリアはラファエロの得意とする分野。洗礼者ヨハネとキリストと聖母マリアの黄金の三角形の構図と柔らかいまなざしが特徴的な絵です。
この階最後の絵はお部屋番号700にあるドラクロワの「民衆を導く自由の女神」。今までの作品が小さかったので迫力を感じます。
階段を降りて0階へ。階段の脇にはカフェmollienがあります。ちょっと疲れたらここで休憩もできますね。
階段を降りるとヨーロッパ彫刻の間に出ます。ここにも傑作がありますよ
こちらはミケランジェロの「瀕死の奴隷」。このねじれの構図と筋肉の表現が素晴らしいですね。
こちらはアントニオ・カノーヴァ「アモルの接吻で蘇るプシュケ」。このドラマチックな構図、見入ってしまいますね。
階段を降りて1階へ進み出口へ向かいます。
お疲れ様でした! ドゥノン翼から出る形になります。何度も訪れているルーブル美術館ですが、なんといっても作品数が多く、人も多いので目的を絞らないと疲れてしまいます。今回のようにリシュリュー翼から入りコの字型に一筆書きで回るルートが一番疲れない回り方だと思います。「モナリザ」だけではない隠れた至宝を見つけながら鑑賞を楽しみましょう!