伝統的な織物で有名な京都の西陣。今でも古い町家が残りいたるところに歴史を感じる落ち着いた地域です。今回ご紹介するのはこの西陣地区にある「首途八幡宮」。知る人ぞ知る穴場の小さな神社ですがその歴史は大変興味深く旅好きの方はぜひ訪れていただきたい場所です。
首途・・・なんて読む?

「首途」と書いて「かどで」と読みます。「門出」と書く方が馴染みのある方が多いと思いますが、どちらも旅などのために家を出る、新しい事を始めるなどの意味合いがあります。
もともとは平安京の皇居や官庁があった大内裏の北東にあたる鬼門を守っていたため「内野八幡宮」と呼ばれていました。

一の鳥居をくぐると参道が続きます。春の時期は白と赤の両方の花をつける源平花桃がきれいに咲き誇ることでも有名です。昔はもっと境内が広く、池や築山などがあり自然を楽しむ人々の姿はまるで絵巻物に書かれるほど華やかなものだったそうです。

参道の途中には「源義経奥州首途之地」という石碑があります。1174年3月3日の夜明けに16歳の源義経が鞍馬山からこの地に参拝し奥州平泉の藤原秀衡のもとへ旅立ちました。かつてここには奥州で算出される金を扱う商売をしていた金売吉次(かねうりきちじ)のお屋敷があり奥州に赴く際、吉次の助けを得たのでここで道中の安全を祈願し出発したと言われています。この由緒によりそれ以来「首途八幡宮」と呼ばれるようになり、今でも3月2日、3日は「義経首途祭(よしつねかどでさい)」が行われています。
主祭神は八幡神

主祭神は弓矢の神として崇拝され武運の神としても知られている八幡神。応神天皇、神功皇后、比売神の三神をさすことが多く源氏の氏神としても信仰されていました。

二の鳥居をくぐると左側が八幡宮、右が弁財天をお祀りする弁天社となります。

左の階段を上ると八幡宮の本殿となります。
社殿は応仁の乱や天明の大火などで消失していまい地元の方々により再建されたものになりますが今でも旅行の安全祈願、新しい生活や新たな「かどで」を祈願する参拝者の方が訪れています。

八幡神のお使いである鳩。手水舎や門などに鳩の装飾を見つけることができます。
お守りにも鳩が描かれ鳩の形をした旅行安全、交通安全のステッカーもあります。
旅の安全や、留学、新しい生活を始めるという方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
●首途八幡宮
京都市上京区智恵光院通今出川上ル桜井町102-1