日本人の中ではまだまだマイナーな旅行先であるポーランド。しかしこの国にも数多くの美しい街並みや自然の織りなす風景があります。今回はその中から、世界遺産にも登録されているクラクフの旧市街をご紹介。かつては東ヨーロッパを支配したポーランド王国に残る、中世の雰囲気をお伝えできれば幸いです。
クラクフはどんな街?
ポーランド南部にあるクラクフは、17世紀まではポーランドの首都でもありました。14世紀から16世紀にかけてこの街は最盛期をむかえ、文化、芸術、そして経済の中心地として栄えたのです。
第二次世界大戦中にポーランドはロシアやドイツから侵攻を受け、首都ワルシャワをはじめとする多くの都市が破壊されました。しかしクラクフは奇跡的にもこの戦禍を逃れたのです。
ぐるりと城壁に囲まれている旧市街では、中世から続く美しい街並みや歴史的な建造物がいまでも残されています。城壁の一部にはこの様なアートな空間もあり、芸術や文化の街として栄えたクラクフの新たな一面をのぞかせています。
中世から存在する中央広場
旧市街の中心となるのが中央広場です。200メートル四方のこの広場は、中世から続く歴史のある場所であり、その大きさもヨーロッパ最大級です。更にここには、この町の最盛期に繊維をはじめとする様々な貿易品の取引が行われた「織物会館」、旧市庁舎塔、そして聖マリア教会といったこの町の歴史と深いつながりのある建物が集まっています。
広場を囲んでいる建物にはカフェなどが入っているので、テラス席に座って美しい広場の風景を眺めながらティータイムや食事を楽しむことができます。
夕暮れ時の広場は、広場全体がオレンジ色に染まり、幻想的でありながらどことなく哀愁が漂います。まるで戦争に翻弄されたポーランドの歴史を物語っているかのようです。
歴代ポーランド王の居城であったヴァヴェル城
かつては東ヨーロッパの地域を支配していたポーランド王国。その王宮であったのが旧市街の南、小高い丘の上に立っているヴァヴェル城です。
敷地内には王宮や大聖堂といった様々な建物が集まっています。大聖堂は歴代ポーランド王の戴冠式が行われてきた場所で、歴史的にも宗教的にも非常に重要な場所です。大聖堂の地下には、彼らが眠る墓もあります。
王宮では美術品や装飾品が展示されています。東ヨーロッパを支配するほどの強大な権力を有していたポーランド王国、その王家の生活がどんなものであったのか垣間見ることができますよ。
戦禍を逃れたクラクフには、中世から続く歴史ある街並みが残り、これぞヨーロッパという雰囲気が漂っています。観光地でありながらもどこか落ち着ていて、初めてのポーランドへ行くという方にもぴったりの場所ではないでしょうか。