「朝までハシゴの旅」をコソボでやってみた。
コソボ

わたしは酒が飲めない。

にもかかわらず、今回コソボで「朝までハシゴの旅」をやってみました。

何その無茶ぶりは!とパソコンの前で同情して下さったみなさん、すみません。実は「やってみた」というか、ここでは毎日がハシゴの旅状態。日常生活をレポートすると、それが勝手にハシゴの旅のようになってしまうんです。

なぬ! そんな呑兵衛に優しい国があるの!?と前のめりになったそこのあなた、まぁそう慌てずに、とりあえずこの続きは晩酌を用意してから読み始めてはいかがでしょう。

ウォーミングアップ

用意はできましたか? こちらもちょうど今夜の準備が整ったところです。

どーん!
peja
えぇ、外に飲みに行くにはまだ少し時間が早いとのことで、先に集まった友人とまずはこうやっておうちで体を温めているところです。

これですか? コソボではどこにでも売っているビールです。2リットル入って2ユーロなんです。破格の値段設定ですよね。
my beer 2
▲飲めないわたしはこうやって参戦

ハシゴの旅のようにその日の予算が決まっているか、ですか? コソボのハシゴの旅には予算という概念がありません。あ、早くもルール違反でごめんなさい。

予算どころか、そもそもの元手になるお金すら十分にありませんから。でもこうやって(ほぼ)毎日飲むんですよ。ロックだろう~?

え、支払いはどうするのかって? それは町に出たらわかります。ということで、夜も更けてきたのでそろそろ飲みに出かけましょうか。

友を探して1軒目

cafe bar1
▲こういったカフェが夜にはバーに変身して……

▲こうなる

プリズレンの中心地にはバーが軒を連ねています。この時点では行く店はまだ決まっていません。


まずは町をさらっと流すことから。これは、今夜自分の友人たちがどの店で飲んでいるかを知るための重要な儀式のようです。

基本、ここの人たちは待ち合わせなんて野暮なことはしないですね。一通り自分のテリトリーをパトロールし、友人・知人を見つけたら何食わぬ顔でドッキングするスタイルです。

猫みたいですか? はっはっは。彼らが飲むのはミルクではなく酒ですけどね。


あ! 早速第一村人、友人を発見。
friends
ども~。

そうです、こうやって友人数人で飲むと、最終的に自分が持っている以上に飲んでも、その日持ち合わせがある人が多めに払ってくれるんです。もちろん、自分に持ち合わせがある時は逆のことをします。

大抵毎日同じようなメンバー構成で飲むから、このやり方がうまく機能しているとも言えますが、それと同時に、コソボではあまり「自分のもの」と「他人のもの」を区別しない、という文化も大きな役割を果たしていると思います。

例えば、テーブルの上に置かれた煙草は「みんなのもの」=「その場のもの」。別に一言を声かけずとも、そこにあれば吸っていいんです。

むしろ、いちいち吸っていいか聞く方がよそよそしい、それどころか「それ、わたしの煙草なんだけど」なんて言おうもんなら、「なんて自分勝手で心の狭い人間だ」と思われるのがオチです。

なので、何気なくテーブルに置いた煙草が他の人に吸われてもびっくりしないでくださいね。

もちろんここには割り勘というケチケチした文化もありません。損得勘定に敏感な人にとっては多少、居心地が悪いかもしれませんね。
beer
beer2
飲み屋では瓶ビールを飲むのが主流です。

銘柄は国産のPeja(ぺヤ)かお隣モンテネグロ産のNikšićko(ニクシチコ)及びマケドニア産のSkopsko(スコプスコ)が人気のようです。

その理由は安いから。バーで飲んで1本1ユーロ。最近はクラフトビールを置く店も増えてきていますよ。

議論が燃え上がる2軒目

1軒目と2軒目の違いですか? 立地だけです。

コソボの飲み屋は基本バーなので、居酒屋のように食べ物もないですし。飲む酒も先ほどと全く同じビールです。しかし一晩で最低でも2~3軒は移動します。

なぜかって? ずっと座って飲んでいるとお尻が痛くなるからですよ。
te kinezi 2
drinking people2
コソボ人は飲んでいる時、ほとんど動きません。特に、政治の話題はみんなの大好物で、何時間でも座ったまま同じ場所で大弁論大会が繰り広げられます。
te kinezi
酔っぱらっているので全員の自己中さに拍車がかかり、1人が演説をぶっているところを別の人が割り込んで持論を披露するのは当たり前。この収拾困難なカオスはなかなかの見ものです。

これを毎晩やるのですから、いっそのこと政治家になればいいのにと言うと、「いやぁ政治家になれるほど嘘がうまくないから」という返事。なるほどね。

収拾がつかない3軒目

最後はライブ演奏がある店にやって来ました。
beer and raki
あ、こちらはこの店から合流した友人です。

どうやらこの友人は、無念にも家で飲んでくるというウォーミングアップができなかったため、ビールと同時にバルカンの蒸留酒・ラキア(Rakija アルコール度数50%)も飲んで、みんなの酔い具合に追いつこうと必死のようです。

ラキアにはいろんな味があり、今夜友人が飲んでいるのはグレープ味。他にはサクランボ、リンゴ、ナシ等があります。
raki
▲市販のラキア。透き通っていて水みたいに見える(グレープ味)

ちなみに「コソボの家庭でラキアを作らないうちがあったらそいつらはモグリだよ」と言われるほど、どの家でも自家製のラキアを毎年作ります。(まぁコソボにモグることほど人生を無駄にすることはないのでそもそも誰もモグらないと思いますが)

これは販売目的ではなく(自家製ラキアの販売は禁止)あくまでも一家でガブ飲みするためです。

ただ、誰もが「自家製ラキアの方が市販のより美味しい」と口を揃えて言うので、コソボに来てもし機会があれば、ぜひ家庭で作られたラキアを試してみてください。


あれ!?
sing
歌ってる?!

気づけば酔っぱらった友人がマイクを握っていました。曲をリクエストするのももどかしく、自ら歌ってしまうという力技……。

そこから店内がエンドレスカラオケ大会に発展したのは言うまでもありません。

困ったことに、ここには始発時間という気の利いたものがなく(全員歩いて飲みに来る)、今夜の区切りがつかないんですね。しかもほとんどの人が無職なので、誰も次の日のことなんて考えちゃいません。

この時ほど斉藤和義の「歩いて帰ろう」を歌いたかったことはないですね。


このようにコソボのハシゴの旅は、朝が来ても前日と翌日をハシゴして、まだまだ続いていくのでした。

▼参考までにコソボのバーの様子を載せておきます。意外とイケてるんですよ。

スプライトのポジション

冒頭でも述べた通り、わたしはお酒が飲めません。そんなわたしがお酒の席飲んでいるもの、それは「スプライト」です。

ある日いつものように友人と飲みに出かけた際、珍しく友人の妹も合流しました。わたしがスプライトを注文するのを聞いて彼女は、「は!? スプライト!??」と、まるでスプライトがただならぬ飲み物であるかのような驚きを見せました。ここでは全員が狂ったように酒を飲むので、アルコールの入っていない液体を飲む人間がいるということが信じられなかったのでしょう。

その後も町で出くわす度、「今日もスプライト飲んでる?」がわたしたちの間のあいさつになりました。

ちなみに他所ではお酒を勧められた時、面倒くさいので「あの……イスラム教徒なんです……」と嘘か冗談かわからないギリギリの答えでその場をしのいでいるのですが、コソボでそれを言うと、「ははは~なーに問題ないって。僕らもイスラム教徒だけど毎日浴びるように酒飲んでるよ」と、そうだった、コソボのアルバニア人ってリアルに半分以上がイスラム教徒だけどみんな酒を飲むため、ここではこの言い訳は全く通用いたしません。
スプライトのポジション

飲めないくせにポーズだけはいっちょまえ

この記事を書いた人

y s

y sコソボ定点観察人

バルカン半島好きが高じて2015年夏よりコソボを拠点に生活中。でも実際はラブ&ヘイト。過去6年間で中央アジア、ロシア、キューバ、イスラエル、バルト三国などにも訪問。ステイタスは I'm busy with being lazy。 コソボ(とバルカン半島)の魅力の啓蒙!なんて大義名分を掲げた結果、ただの個人趣味全開になったウェブサイト・「ほんとうは楽しいコソボ」をひっそりと展開中。

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