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至高のワインが作られているドイツ・リューデスハイムの「ヒルデガルド修道院」に行ってみた
ドイツ

フランクフルトから約1時間。ライン川沿いにあるリューデスハイムは、ワインの町として有名です。ビアガーデンならぬワインガーデンが立ち並び、いつも観光客で賑やかです。しかし、その郊外にドイツ一とも讃えられるワインを産出する修道院がひっそり存在している事はあまり知られていません。

知られざる至高のワインを求めに、さっそくワイン畑を登ってみましょう。

 中世最高の賢女の、伝説の地へようこそ


ご紹介するのはエビンゲン大修道院、別名を「聖ヒルデガルド修道院」と言います。もしビオ食材やハーブに興味がある人なら、ヒルデガルドと言う名前には聞き覚えがあるかもしれません。

正式名称はヒルデガルド・フォン・ビンゲン。12世紀に実在した修道女で、薬草学や医学、音楽や詩、様々な分野に長けた超優秀な女性です。中世ヨーロッパの男尊女卑な社会をご想像頂ければ、それにも関わらず名前が残っている、彼女の尋常ではない才能が伝わるのではないでしょうか。

聖、と付くように聖人に認定されており、奇跡の逸話も残っておりますが、マジカルなパワーでスペシャルな治癒を行ったと言うよりは、地に足の着いた医学のプロフェッショナルだったようです。

そんな聖ヒルデガルドの名を冠する現在のエビンゲン大修道院は19世紀に建てられました。案外新しく感じられますが、それまではリューデスハイム対岸のエビンゲンで活動を行っていたのです。エビンゲン側の修道院は廃墟になってしまいましたが、ワイン作りにとっては、現在の場所の方が良かったようですね。

さーて今年のワインのお味は~?


エビンゲン大修道院のワインはビオ(有機)農法で作られています。

修道院のワインなんて古臭い中世のワインが出て来るんじゃ……とは侮るなかれ。国家資格であるワインマイスターの資格を持つ、この道ン十年の修道女の指揮のもと、極上のワインが追及されているのです。

ドイツのライン川周辺で有名高級ワインと言えば、古城ワイナリー「シュロス・ヨハネスベルガー」が有名です。日本では時に10万円を超す極上ワインですが、エビンゲン大修道院のワインはそれに負けず劣らずの賞を受賞しています。

唯一の欠点は常時人手不足で、産出量が少ない事。ほとんどお店に卸していないため、めったに見かけません。試飲も出来ますので、やはり修道院を直接訪れるのがオススメです。

エビンゲン修道院得意のワインは、極甘の「シュペートレーゼ」。受賞したのもこの種のワインで、遅摘みの葡萄を使った、濃厚な甘口白ワインです。

ですが、こっそり修道女に聞いたオススメ、普段呑みにするなら「リースリング」が安心の味わいです。栓を抜いた瞬間から漂う爽やかな葡萄の香り、ほんのり甘みがあるのにスッキリと抜ける無限に呑める味わい。

辛口、半辛口、甘口、スパークリングなど種類も様々ですので、実際に試飲してみてお気に入りを探すのも楽しいものです。シュペートレーゼ以外なら、どのボトルも20ユーロ以下。無限に呑めます。
 
ちなみに、ビオ(有機)ワインの最大の特徴は「悪酔いしないこと」!

味は様々良し悪しありますが、悪酔いしないという一点だけは確実。これは、ビオワインはアルコールの添加を行わないためだと考えられます。多くのワインは、熟成させた後、若干のアルコールを添加します。これは決して悪徳ではなく、味を整える意味もありますので、人類の英知なのです。

これを行わないビオワインは、そもそものアルコール度数が通常のワインより1~3%程低く仕上がります。味を整え難い、と言う点で作り手泣かせなのですが、人工アルコールを添加していない点で肝臓に負担をかけないのでしょう。無限に呑めます。(酔いは訪れます)

酔う前に観光もお忘れなく!


修道院の敷地内は意外にもハイテクで、カードキーがなければ入れません。現在でも文化の担い手である修道院では、様々なセミナーが行われており、実は内部はホテルのような作りになっていたりもします。

古書や音楽、そしてもちろんワインの勉強会が頻繁に開催されているのですが、こちらの修道院のセミナーは非常にレベルが高く厳しい事でも有名。何かしらの専門家でなければ立ち入る事は難しいのです。

しかし、教会はいつでも開放されています。壁画のテーマは「聖ヒルデガルド」の生涯。円天井に描かれたイエス様のモザイク画も迫力があります。毎日行われているミサの時間に立ち会えば、修道女たちのコーラスやオルガンの演奏を聞く事も出来ますよ。

ミサの時間は12世紀から以下の通りで規則正しく行われています。イースターやクリスマスなど、キリスト教の祝日には特別なミサが行われますので、是非HPでご確認下さい。

朝の祈り  平日:7:30~ 日曜日:8:15~
昼の祈り  平日休日 12:00~
夕べの祈り 平日休日 17:30~
エビンゲン大修道院の公式サイトはこちら

エビンゲン大修道院への行き方


エビンゲン大修道院の最寄はリューデスハイム駅です。駅から修道院まではタクシーで10分ほど、おおよそ10ユーロで到着します。

しかし、オススメはなんと言っても徒歩。リューデスハイムの賑やかで楽しい町中を抜けて、エビンゲン修道院に向かう道は絶景スポットの連続です。ワイン畑の中を抜けて行く道は心癒されるもの。ビオ農法で管理されているワイン畑ですから、歩いているだけで健康に良いような気がしてきます。

ここはドイツ人にも大人気の散歩スポットですので、ところどころに自由に腰を下ろしてよいベンチが設けられているのも気が利いています。

なお、エビンゲン修道院にはカフェも併設されており、「疲れた~~今はワインよりビールの気分だな~」という方のため、これもビオ農法で作られたビールが置いてあるのも嬉しいところですね。

リューデスハイム駅から修道院までは、徒歩で向かえば40分~1時間程の道のりです。

今年のワインの、本当のお味は…

9月頃に収穫され、瓶詰め・樽詰めされたワインは、十分なアルコールの熟成を待ち、3月~5月頃から販売されるようになります。

2016年のワインの本当の味が分かるのは、今まさにこの時から。春からはエビンゲン大修道院の売店はフル回転し、土日も購入可能になります。ドイツの白ワインがお好きなら、ここを訪れない手はありません。ワイン畑を登り、至高の味を確かめにお越しください。

浴びる程呑みたい酒を

ドイツには、「ビールの後にワインを呑むのはいいが、ワインの後にビールは呑むな」という諺があります。「悪酔い」は、酒をミックスで呑めば呑むほど起きやすいようです。ですから、自然のアルコール一本筋のビオワインが二日酔いを起こしにくいのも道理なのかも知れません。

世には「ゾンビ」なる名前のカクテルがあるのですが、これはラムやウィスキーを混ぜた甘いカクテルで、名の由来は勿論翌朝の挙動にあります。清らかで健康的な生活なんてやってられないぜ!! という反社会的な衝動が起きた時にはオススメのカクテルですよ。

この記事を書いた人

華酉

華酉ライター/中世マニア

北海道生まれドイツ暮らし。大学では歯学と宗教学を修めた為、いつ中世ヨーロッパに飛ばされても活躍できる逸材です。その特性を活かし、日系企業ドイツ支店のお堅い正社員として貿易に励んでいます。 訪れた国は30ヵ国以上、時の権力者に城を陥落されて北海道に逃げ延びたご先祖様の無念を晴らす為、より強い城を求めて各国を放浪中。いつ剣と弓の時代が訪れても良いように、皆様にも選りすぐりの歴史情報をお届けします。
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