放火あり砲撃あり、本格的な海賊の野外劇が見たいならドイツへ。
ドイツ

パイレーツと言えばカリビアンかな、という昨今、中世ドイツにも大変格好良い海賊が存在していた事をご存じでしょうか。その名もクラウス・シュテルテベーカー。

14世紀にバルト海で活躍していた海賊です。ちなみにドイツ制作の「パイレーツ・オブ・バルト」という映画もあり、日本語版も出ています。

ドイツの夏のリゾート地・リューゲン島では、毎年6月から9月まで毎日、このシュテルテベーカーさんの野外劇を開催しているのです。

航海あり砲撃あり放火ありの大迫力の野外劇、ドイツ人なら老若男女大好きなシュテルテベーカーさんの活躍を早速追ってみましょう!

シュテルテベッカーさんって何者?


日本ではほぼ無名のクラウス・シュテルテベーカーさん。彼は14世紀、バルト海が一大商業ネットワーク「ハンザ同盟」で賑わっていた頃の海賊です。

荒くれ者ながら義賊的な側面を持ち、裕福な商人から奪った財産を貧しい人々に分け与えていたとか。また、ハンザ同盟がデンマークとの戦争によって海路を封鎖された際には、海賊船でありながら物資の補給に協力したとかとか。

そんな彼も遂には捕われ、仲間たちと共に斬首される事が決まるのですが……一列に並べられた仲間たちを前に、彼はなんと「斬られた首を持って歩いた距離だけ、仲間の命を助けてくれ」と言い出し、斬首後、12mも首を持って仲間たちの前を歩いたそうです。もはや聖人級の伝説ですね。

これで助命された仲間は十数人に及ぶとかとかとか。格好良いですね! これだけ伝説が盛り盛りされればみんな好きになっちゃうのも仕方ないですよね。実在していた事は確かで、今もハンブルクの博物館には彼の頭蓋骨が保管されています。

セットが燃える! 人が落ちる! 大迫力の劇

さあ、皆大好きシュテルテベーカーさんの劇の時間です。リューゲン島では、6月~9月までの3か月間に渡り、毎年毎日この劇を上演しています。

そのため、セットは大変に本格的。舞台の前には海が広がり、実際の船を浮かべて上演します。2017年の劇の内容は、と言うと、

海賊として、ハンブルクの町を元気よく荒らしまわるシュテルテベーカーさん。市長たちはてんやわんやですが、町人の皆さんには温かく受け入れられています。

一方、舞台の右側はシュテルテベーカーさんの本拠地であるマリエンハーフェン村。シュテルテベーカーさんと恋仲のエリザベートさんが暮らしています。そう、2017年のテーマは「愛」なのです。

しかしエリザベートのお母さんは、娘と結婚したけりゃ海賊から足を洗え、と中々2人の仲を認めてくれません。

花を持ってもじもじしている青い服の男性がシュテルテベッカーさん、そのお隣がエリザベート(兄)、エリザベート、右端でアァン?みたいな顔をしているのがお母さんです。

そんな中、エリザベートさんに恋をし、求婚して来たのはハンブルクの若き市長! 恋敵が海賊と知り、シュテルテベーカーさんの討伐を誓います。

と言う訳で、ハンブルクの若き市長さんはマリエンハーフェンを襲ったりします。白兵戦、砲撃戦ともに大迫力です! 燃え上がる塔からは人が吹っ飛んだりも。

色々あって捕えられてしまったシュテルテベーカーさん。斬首されます。今年は首を持って仲間を救うシーンはありませんでした。テーマはエリザベートさんとの愛ですからね。

そう、シュテルテベーカーさんの処刑を目の当たりにし、悲嘆に暮れるエリザベートさんのお腹には彼の子が……

劇の最後にはパーッと花火を上げて華やかなクライマックスです! 花火は劇場と同じ湾から打ち上げているため、大変な迫力。

何より、先ほどまで争っていた出演者の皆さんが並んで花火を見上げている背中に癒されます。

話が変わる! 来年も楽しみな変更要素

シュテルテベーカーさんには逸話が多いので、劇の内容は毎年変更になります。ちなみに2016年のテーマは友情、パンフレットによればシュテルテベーカーさんの右腕である海賊との熱い友情の物語だったそうです。

大がかりなセットも毎年変わり、お話の舞台も更新されているようです。来年も楽しみになってしまいますね!

演劇が行われるのはリューゲン島、「ラルスヴィーク(Ralswiek)」。この時期、リューゲン島に滞在しているドイツ人はみんなこの劇を見に行くと言った感すらあり、リューゲン島内の主要な町からはバスが出ています。

演劇の終了時間はおおよそ22時頃~22時30分頃ですが、こまめにバスが行き交うのでご安心ください。もちろん終演時刻にはタクシーも控えております。また、期間中は多くの屋台が出現し、飲み食いやお土産の購入にも困りません。

チケットの予約は公式サイトから可能です。特に週末の公演は混み合いますので、早めの予約がオススメです。

シュテルテベーカー 野外劇
Am Bodden 100, 18528 Ralswiek, ドイツ
公式HPはこちら

まだまだ楽しいリューゲン島


リューゲン島はドイツの夏のリゾート地。湘南のような麗しの海岸線や、フォトジェネリックな白い砂浜を満喫できます。その上ドイツでは貴重な魚料理まで堪能できるのです。

南国リゾートとは一風変わった、ドイツ人が愛する高級リゾート地、ヨーロッパの夏に是非お試しくださいね。

宿泊するなら、ホテルが多く、どこへ行くにもアクセスの良い「ビンツ(Binz)」もしくは「ゼリン(Sellin)」が人気ですよ。

ビンツ

リューゲン島への行き方

リューゲン島はドイツの北東にあり、ドイツ本島とは橋で繋がっています。

シュテルテベーカーさんが処刑されたハンブルクからは新幹線で4時間~4時間30分程度。直通便もありますが、ハンザ同盟都市で、劇にも市長たちが登場するロストックやシュトラーズンドで1回乗り換えを挟むコースもあります。

リューゲン島はかつて東ドイツでしたので、ドイツの首都ベルリンから向かっても4時間程度です。

リューゲン島

だらだらしたい人のススメ

信じがたい事に、多くのドイツ人は3週間の夏休みを取ります。今まで、夏のバカンス先としてはトルコやモロッコがメジャーだったのですが、昨今の情勢から流石に旅先に選ぶ人は減ってしまったようです。

そんな理由からただでさえ人気だったのに、更に人気急上昇中のリューゲン島。海は水温が低い為、心を無にしなければ泳げない上に、クラゲが出るのですが、暑すぎず寒くなく、魚料理は美味しく、地ビールシュテルテベーカーは美味とあって、白い砂浜でだらっとしたい人には最適です。

この記事を書いた人

華酉

華酉ライター/中世マニア

北海道生まれドイツ暮らし。大学では歯学と宗教学を修めた為、いつ中世ヨーロッパに飛ばされても活躍できる逸材です。その特性を活かし、日系企業ドイツ支店のお堅い正社員として貿易に励んでいます。
訪れた国は30ヵ国以上、時の権力者に城を陥落されて北海道に逃げ延びたご先祖様の無念を晴らす為、より強い城を求めて各国を放浪中。いつ剣と弓の時代が訪れても良いように、皆様にも選りすぐりの歴史情報をお届けします。

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