旭川市民である僕にとって北海道といえばまず美瑛なんですが、もうひとつ忘れてはならない場所があります。世界遺産知床。日本最大のヒグマ生息地であり、太古からの自然がそのまま残っています。その秘境を求め、世界各国から観光客が訪れています。
ぼくはさまざまな風景を求め、休日になればひとりで遠征に出かける大のカメラ好きです。今回もその一環で、知床へ旅に出たわけでございました。本来の目的である野生動物の撮影は散々な結果になってしまいましたが、思わぬ収穫というか、風景でひさびさに感動した場所があります。
そこが、夕暮れ時に訪れるフレペの滝です。
観光情報はインターネットで、という時代になって久しいですが、今回もインターネットで調べますと、ウトロ側では夕陽台からの夕景が非常に美しいらしいです。
ただし、今回は野生動物のみを求めての遠征。夕陽台という選択肢は捨て、エゾシカが現れるというフレペの滝へ行くことにしました。
知床自然センター奥から散策路へ
この時はまだ、陽が暮れる前に散策路から抜け出そう、の一心で歩を進めるのみでした。
往路は下り坂のため疲労感はありません。
ここはヒグマの生息地。熊鈴を鳴らしながら、一応超望遠レンズを片手に歩きます。
歩き始めて10分程度でしょうか。ひらけた場所に出ました。
オレンジ色に染まった草木の美しさ。思わずシャッターを切ります。
頭上には鳥の群れ。残念ながらその他野生動物が散策中に姿を現すことはありませんでした……。
ついに辿り着く
目の前にひろがったのは、まさしく絶景でした。夕陽に照らされる断崖が神々しい。
断崖の右端、ちょうど影になっている部分に滝があるわけですが、ここは滝を撮りに来る場所ではないと思います。風景に限って言えば、知床の雄大な自然を広角レンズで切り取る場所です。したがってNDフィルタ(シャッタースピードを遅くするカメラのオプション)は必要ありません。
夕景を求め道内のさまざまな場所へ撮りに出かけましたが、フレペの滝のような夕景を今まで見たことはありません。
唯一無二であるからこそ感動が何倍にも膨れ上がり、思わず感嘆の声をひとり漏らしてしまうほどです。
ただただ夕景に圧倒されるばかり。何度もシャッターをきります。
ちなみに、ここに居たのは僕含めてたったの3人。こんな絶景が広がっているのに、夕陽スポットとしてマイナーなのは本当にもったいない。
太陽が徐々に地平線へ近づいていきます。街灯がないので、暗くなってしまうと、とんでもなく危険な場所になります。
故に、少人数の場合はマジックアワーの撮影はやめておいたほうが無難です。
期待していた野生動物には会えなかったものの……
想定外の絶景に出会うことができました。
知床のポテンシャルを垣間見れた有意義な時間だったと思います。
ホテル宿泊ならちょうど夕飯の時間帯かもしれません。海鮮物に舌鼓を打つのもいいですが、一生の思い出に残る夕陽もありかもしれませんね。
ちなみに復路はわりかし息があがります。多少歩行スピードが落ちることも考えて、早めに知床自然センターへ向かいましょう。
翌朝もエゾシカを目的に訪れましたが、やはり野生動物の影なし……。運がないというか何というか。
このときも断崖の絶景を拝みましたが、やはり夕景に勝るものは何ひとつありませんでした。
知床自然センターから片道徒歩20分
同センターにトイレ・駐車場
※ただしトイレは17:30まで利用可