過ぎた時間はお金じゃ買えない。パリジェンヌのスキンケア事情を垣間見る
フランス

“フランス女性は、何歳になっても女性でいることを忘れない”と聞いたことありませんか?

確かにその通りかもと思わせられる部分もあるものの、正確には、”フランスの女性は何歳になっても自分でいることを忘れない”-ような気がします。

何歳だからこうあるべき、とか、出産したから仕方がない、とは考えない。

子どもを産んでも孫を持つようになっても、ミニスカートや明るい色を身につけることを臆さないフランス女性。現大統領夫人がそうなことでも知られるようになりましたよね。

セクシーにだとか若く見せる服装やメイクで『創る』のではなく、カラダの『ケア』を大切にする人がとても目立ちます。年齢を重ねたり、妊娠出産で変化する体型への手入れを欠かしません。

30歳を迎える頃からは、アンチエイジングのサプリや世代ごとの基礎化粧品のラインが揃っているフランス。それは、若く見せ続けるためのものではなくて、加齢とともに起こりうるダメージを抑える予防ケアとして支持されているものなんです。

たとえば、子どもの頃から虫歯にならないようにと朝晩歯磨きするみたいに、ごくごく自然な感覚で。

フランス女性は素顔が多い? いいえ、よく見て聞いてみると……

パリジェンヌのおしゃれは、洗練されていてまとめ髪やすっぴんで……というイメージもありませんか?

確かにそういう人もいるけれど、ティーンでもきっちりメイクしていたりします。そのままフルメイクへの道を歩む子もいれば、ナチュラルメイク志向になる子も。何歳だからこういう外見であるべき、というのがないんです。

服装や持ち物に流行はあるんですけど、全国的に、というのは存在しません。地方によって気候もライフスタイルも違いますし、地域や環境が異なれば、同じフランス暮らしでもそれぞれのフランスが存在しているので。

それでも、基本的に共通しているのは、若い時には自由になるお金がそうないこと。私の周りに限って言えば、大学生のときには親元を離れて暮らす例が多く、メイクやファッションに宛てられるお金が限られてくるからこそ、ミニマムな物でおしゃれをするという昔ながらの工夫が受け継がれているみたいです。

でも、どんな人でもスキンケアは欠かしていないよう。服や持ち物は後からでも手に入るけれど、過ぎた時間はお金で買えるものではないから。虫歯予防みたいなものと書きましたけど、日々のちょっとひと手間で(SFのパラレルワールドみたいに)未来が変わってくるわけですよね。

だから、無防備にそのままにはしていないで、パリでなら乾燥対策を、南仏でなら日焼け対策(もしくは、キレイに日焼けするために日焼けサロンやサプリを利用する人も)を心掛けている人が目立ちます。

私自身は、南仏マルセイユで暮らすようになって、口コミで教わった保湿と日焼け対策を1年中しています。(美白ではなく予防だけですけど)

最初は知らなくて、みんな素顔のままでマスカラ程度なのかと思っていたら、なんとちゃんと『塗って』いるんです。だからこそ、肌に透明感が出るんですね。この話はまた改めて。

30代になるとアンチエイジングのケア用品やメイクベースが充実しているフランス。

キレイに歳を重ねるスタンスについて、(しつこいようですが)『歯磨きと同じ』というのは、日々感じている印象です。

どんなに気をつけていても防げない変化はあるものの、そうしないのとでは大きく差が出てきます。時を重ねれば重ねるほど。ウォーキングやスキンケアの習慣を持つ人も目立つんですが、翌日のためでなく、10年後、20年後のためと捉えているんです。

皺や白髪は歳を重ねたら自然に受け入れるものとしてゆったり構えているのも聞きますが、それは、あくまで外交上のセリフ(建前)的なもので、本音では、やっぱり作りたくないもの。シミ・皺を気にしない女性なんて、やっぱりいませんよね。

スキンケア用品をちょっとした贈り物としてやクリスマスに、というのはフランスではとてもポピュラーで、私も、いただいたものを使っているうちに、肌の状態がいつも安定していることに気づかされて、習慣になりました。天候や季節で変わるのが当たり前と思っていたんですけど、そうではないんですね。

最初の頃は香りを統一しようと思って、トワレと同じ香りのボディクリームにしたりしていたんですが、この頃は、香水は日によって違うものを使うようになっているので、保湿クリームは無香料のものを使うようになりました。たとえば、クラランスのこちら。日本にも、入っていると思います。

左のトリートメントオイルは使ったことがないんですけど、今、とても売れている製品です。というのもフランスでは、飽食続きの年末年始後は数キロ太る人も珍しくなく、ダイエットする人も目立つ時期だから。

だから、できれば20代から。そして、ダイエットで気をつけたい、肌の伸び縮み。

ダイエットをするときに気をつけなければならないのが、痩せることによる肌面積のギャップ。つまり、脂肪が落ちていく肌をそのままにしていると、張っていた風船の空気が抜けていくように縮みができてしまうわけです。

急なダイエットをすると老けるとも言われるのは、このことから。だから、そうしたことにはまだまだ無関心でいられるはずのティーンエイジャーでも、手足肌へのケアはすでに始めていたりします。

すべすべのはりのある肌を保ちながら体重を落とすのには、保湿クリームが不可欠。そして、最もその効果を思い知らされたのが、よく知られているフランスの習慣ーお腹の肌ケアをキッチリし続けたお陰で、妊娠線が出来なかったこと!

妊娠したってビキニも着る。ドクターも適度な紫外線は推奨しているフランス。

妊娠してしばらくしたら、戌の日に腹帯というのをすると噂では聞いていたはずなのに、フランスでは(神社にお参りするわけでもないですしね)そういう習慣どころか、腹帯が存在していなかったんです。

ガードルという名ばかりのものはあるんですけど、ゆるゆるしたもの。夏場にはそれさえ使わずに、お腹が見え隠れしている服装の人も。もっとびっくりさせられたのは、自分が妊娠するよりも前に、臨月の女友達に浜辺へ誘われた時。なんと、ビキニだったんです。しかも、パンパンのお腹がすべすべ!だったこと。

「そんな格好で平気なの?」と驚く私に、「保湿は来る前に塗ったから、あとは日焼け止めを塗るだけ。ちゃんとドクター推薦の、赤ちゃんでも大丈夫な50指数のものだから大丈夫」……話のポイントずれてますよね。

でも、このやり取りでおわかりいただけるように、フランスの女性は、構えることなく妊娠期間を愉しんでいるんです。「これはしない方がいい」ではなくて、「これを(いつも通りに続けて)するにはどうしたらいいか」という視点なんですね。

妊娠線はゼッタイ作らない、がフレンチスタイル。

そんなわけで、妊娠することは自分らしく居続けるためのなんのハンディにもならないようです。妊娠してもいつものように……だけどひと手間加えるのが、上でもちらりと書いた、お腹の肌ケア。

フランスでは不文律、というのか、あえて広告も宣伝もされていないけれど、誰もが知っている「妊娠線を作らない」ケア。基本的に、妊娠3ヶ月目から産後3ヶ月過ぎるまでは、お腹の保湿がとても重要なんです。

そもそも妊娠線とは、どんどん膨らむお腹に伴い肌の表面にできてしまう筋のことで、妊婦なら仕方のない、避けられないものと一般的に思われていますが、フランスでは、きちんと保湿を怠らなければ予防できるものとされています。

私の妊娠出産は日本でもフランスでもなく南米アルゼンチンだったので、3つの国の人たちが、それぞれの気配りをしてくれたんですけど、フランス人たちの第一声が皆「保湿クリーム、手に入る?」だったんです。(ちょうど、現地では経済恐慌でいろんな物資が途切れていたので)

夫も同僚女性達に言われたほど。結果、フランス出張者や来訪者のお陰で必要数を上回るほど受け取れたので、思う存分使えたんですが、実際のところ、半信半疑でした。

でも、(お見せするのは控えますけど)お腹は見事にキレイに膨らんで、出産後3ヶ月を迎えるまでには体重もすとんと落ちたのにしぼんでしまうことなく、すっきりへこみました。

この写真は、この冬限定発売中のTrousse Maternité 妊娠中または出産後の女性のためのセット。保湿クリームとトリートメントオイルのレギュラーサイズだけの値段で、以下のものがついてきます。

・肌に輝きを与えてすべすべにするクリーム
・唇に立体的効果と潤いを与えるナチュラルピンクの液体ルージュ
・ベビーケア用品を入れられる布製かごとドゥドゥ(フランスの乳幼児が持ち歩くぬいぐるみ)
・そして、専門医が書いたケアやカラダのことに関する冊子

ちょっと素敵でしょう? ……クラランスの宣伝みたいになっちゃいましたけど、こういう習慣が広まってくれたらいいな、と思って。

妊娠・出産も子育ても期間限定・一期一会。

以来15年、妊娠前と同じ43kgのままです。出産時には、なんと13kgも増えていたんですけど(……スイカどころか、バランスボールみたいなお腹抱えていました)。

子どもが成長して、すっかり手がかからなくなってきたこの頃、朝晩、お腹に話しかけながら、ゆっくり時計回りになでるようにクリームを塗っていて、どんどん中からの反応が返ってくるようになった日々を思い出すと、昨日のことのようで、遠い昔のことのようで、懐かしく愛しいです。

妊娠線を作らないというためだけではなく、母子のコミュニケーションの始まりの素敵な時間を重ねていくことで、妊娠を辛いと感じないで、いい思い出になっています。このケア習慣が広まってくれたら……そんな気持ちを込めて綴りました。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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