フランスに来たら寄ってほしい、モロッコ直輸入の美容品が並ぶお店。その魅力とは?
フランス

12月になりました。クリスマスのイルミネーションが始まるとすぐに街はどんどん人で溢れます。というのも、フランスでは、クリスマスの贈り物を交わすのは、多くの人にとって、とても大切な習慣。お歳暮の習慣こそないものの、親しい間柄や仕事関係で、ちょっとしたパニエ(と呼ばれる贈答用カゴ)に、美味しいものや石鹸類などを盛り込んで透明包装でラッピングしたものを贈り合ったりします。

いただくのも嬉しいけれど、贈るものを選ぶのも楽しいもの。毎年のことなので、同じ人に同じものを習慣的にというスタイルもある一方で、毎年、趣向を変えるというパターンも。
我が家の場合、時間のない夫に贈り物選びを任せておくと、急ぐあまりに値札も見ないでとんでもないことになる恐れがあるので、私が走り回って写真を撮って”SMSでご提案”するのが恒例になっています。
友人関係には皆に同じものでも差し障りないものの、親族にはそういうわけにもいかない人たちと、同じ方がかえって喜ばれることも。だから、ぎりぎりになって慌てないように、普段から、新しくオープンしたお店を知っておくのは私の仕事。

このお店は、ちょうど夏休みに入って7月、東京に戻っている間にオープンしていたのを、9月の新年度開始早々に知って、今年のパリの親族や女友達へのクリスマスプレゼントはここにしようと決めていたところ。
というのも、ここの美容ケア用品は、フランスでこのお店にしか入っていないんです。

モロッコ直輸入品&サロン・ド・テ『AU PETIT AMANDIER(オ・プティ・アマンディエー)』

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AU PETIT AMANDIER(オ・プティ・アマンディエー 小さなアーモンドの樹(で))というのが、店の名前で、マルセイユの中心地を横切るローマ通りの途中にあります。メトロの2路線両方が交差するカステランという駅から、オベリスクのある広場を背に、港に続くカヌビエール大通りに向かって延びているマルセイユの幹線のひとつ。トラム(ウェイ)と呼ばれる路面電車の走るこの通りの両側は、広めの舗道で路上駐車もない地区で、様々な店や事務所などが連なります。

さて、お店の中に入ってみましょう。こちらがオーナーのMonsieur GUELZIM(グゥェルジム氏)。

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店に入って右側に、美容ケア用品・食品・オリーヴオイル製品、と3つの棚が続きます。左側は、お菓子や銀食器類。すべて、モロッコで厳選を重ねたもの。
そう、よくありがちな、親族や友人知己の製品を扱っているというのではなく、この店の構想を持ち初めて6年間、モロッコ生まれマルセイユ育ちの夫人と一緒に、幾度もモロッコ中を訪ねて、どんどん絞り込んだそうです。

彼自身、ベルギー生まれで、3歳から10歳までしかモロッコで暮らしたことはなく、その後はギリシャのアテネで8年間暮らす中、プロサッカー選手としての将来を嘱望され、本人もそう夢見ていたのを父親が大反対。カナダの大学に送られて、そのままアメリカも合わせて北米で8年暮らした後、2007年にフランスへ。今は7歳になる長男くんは、なんとL’OM(マルセイユのプロサッカーチームで、現在・酒井選手も所属している)のジュニアクラブで活躍中で、「彼がプロを目指すなら反対はしない。自分はとても諦めるのが辛かったから」と。

モロッコ発の美容ケアといえば、世界で注目の高品質アルガンオイル製品!モチロンあります。

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モロッコにいったことのないままの私なものの、地中海に面したここ南仏マルセイユで暮していると、通称ハマムと呼ばれるスチーム式浴兼エステの名店がいくつもあったり、そうしたところで現地直送のオーガニックの美容ケア用品に出会えたりするので、とても身近に感じています。
自然の美容液とも賞賛されるアルガンオイルもモロッコの名産で、肌への効果は、美容面だけでなく、にきびややけどなどにも。髪にもすり込んだりするのは、日本の椿オイルとも少し通じるところがあって、どちらも、おばあちゃんやそのまたおばあちゃんの時代から存在していたという親しみ感じられる存在。
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フランスでなじみの深いサボン・ノワールという黒石鹸を始め、オイル類はすべて自然素材。Bioオーガニック製品もありますし、香料も防腐剤も使われていないし、美容のためだけでなく、にきびややけどに効くものも揃っているので、ちょうどクリスマスの贈り物にも好適品だと思って、先週、改めて空いている朝1番に出かけて、いろいろ教えていただきました。
たとえば、上の写真は、サボテンイチジクという(果物としてお店にも並んでいます)の種素材のオーガニックオイル。美容液と同じ役割の存在です。

……というわけで、大小さまざまなモロッコスタイルのパニエも用意されていて、思い思いの組み合わせが作れます。たとえば、こんな感じ。
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さて、もう1歩店の奥に進んでみましょう。
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雰囲気たっぷりの噴水のあるサロン・ド・テ

こちらは、サロン・ド・テ。平日でも、午後のお茶の時間は満席、土曜日には、入れなくて断らないといけないほどだそうです。(こちらでは、並んで待たせる習慣はないので)
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素敵でしょう? 私はモロッコは知らないので、スペインのアルハンブラ宮殿を連想しました。でも、モザイクや細工飾りはイスラミックの伝統スタイルだけれど、入り口周りや壁に使われている石や色合いは、なんだかちょっと違う感じ?

それもそのはず、でした。なんと18世紀から残るそのままの石の梁や壁を補修して造り替えたそうなんです。
実は、ここはイタリアの伯爵が長らく所有していたもので、南フランス各地では、こんな風に第2次世界大戦の戦火も逃れて今も残るものがあちこちにあることで知られています。

せっかくなら、とことんキレイに健康になりたい!ですよね。それでは、こちらへどうぞ。

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さて、フランスのお店で、こうした螺旋階段につづく階下といえば……『化粧室』が定番ですよね。でも、ここは、違うんです。
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階段は新しく取り付け、床は土台を補強して板張りにしたものの、壁と天井はもともとの18世紀以来のものに塗装しなおしたというこの地下空間は、戦時中、防空壕として使われていたものです。右手奥の扉の向こうは食糧倉庫になっていて、隣3軒の建物が繋がっています。
持ち主だったイタリア人伯爵達や親族だけでなく、すべての人に開放していたそうで、表通りには、「地下壕あります」と誰にでも解るようにしていたそう。懐の広さ、助け合いが当たり前だった当時の様子を想像すると、感じ入るところありますね。

ここを、ヨガのセッションのスペースにしたり、イヴェントなどで、心地よくリラックしてもらえる空間として提供していく予定だそうで、幾つもの大陸を経て来たこのオーナーならではの、今後の展開がとても楽しみなお店です。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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