5ヶ月限定の書店「EDIT TOKYO」に潜入。まるで統一感がない本棚が放つ「本屋体験」とは?
日本

本屋

『サッカーと人種主義』『私とは何か』『日本昭和ラブホテル大全』『インフォメーション情報技術の人類史』。さて、何の本棚でしょう?
と、問いかけている私も、実は明確な答えを知らない。店を訪れたお客が棚を眺めて、首をかしげる不思議な本屋が期間限定でオープンした。
本屋の名前は「EDIT TOKYO」。「東京」を軸に、本とイベントを再編集する、というコンセプトの書店だ。正直、このコンセプトを聞いても、イマイチぴんとこない。全容を確かめるべく、単身、東京の一等地銀座に飛び込んでみた。

砂漠のオアシスの如く、銀座の街に突然現れた本屋。

本屋
半世紀前に建てられたのが信じ難いほど、モダンなソニービルにお目当ての本屋がある。やたらとボタンの大きいエレベーターに面食らいながら、ビルの6階へ。こんなところに、果たして本屋があるのか心配になってきた。
扉が開いた先にそれらしきものが見つからず、焦ってキョロキョロしていると、不要なものはすべて取り去ってしまったような看板を発見。入店前(といっても、どこからがお店なのかもイマイチはっきりしないが)から、既に別世界の雰囲気だ。
本屋
細い階段の踊り場で陳列されているのは本……ではなく、雑貨や絵画。店内に流れるジャズと、白一色の壁も相まって、誰かの個展に来たような気分になる。
本屋
階段の脇のスペースは小さなホールになっていて、毎日のように著名人によるトークイベントが行われる。が、この日はお休み。う~ん、残念。次ぎ来るときは、事前にスケジュールをチェックしよう。
本屋
店内を見渡してみて、最近流行りのお洒落書店か? と思いきや、何やら感じる違和感。それもそのはず、本棚の高さがバラバラなのである。高さどころか、棚の幅、引出しの有無までまるで統一感がない。よく見ると本棚には、小さな札がついていて、納得。つまり売り物の本を並べてある本棚自体が、立派な売り物なのだ。
ふと横を見ると、男性がしゃがんだ体勢で本をパラパラ読んでいる。普通の本屋でこれをやればひんしゅくを買うが、この本屋では当たり前の光景。だって、膝より低い位置まで本が陳列されていて、しゃがまないことには本が取れないんだから。蔦屋書店で手が届かないほど高い位置の本を見たことはあったが、こんなに低い位置なのは初めて。まだまだ知らないものも沢山あるんだ、と痛感。
本屋
「江戸川乱歩」の字が目に入り、足を止める。ははーん、さては推理小説の棚だなと横に目をやると『古典を読んでみましょう』なる本を発見。一瞬でさっきの閃きは消えてしまった。
上の棚に目をやると、あろうことか太宰治の文庫本が横積みにされていた。まるで整理を怠った本棚のようで、芸人の又吉が見たら怒ってしまいそうだ。
edit tokyo
こちらは編集者やライター、写真家など業界関係者が選者を勤めた「東京の三冊」の棚。東京散歩の本が選定される理由はなんとなく想像がつくけど、プロレス小説やヌード写真集、はたまた『サピエンス全史』まで選定されているのは一体どいういう風の吹き回しなのか。『有限性の後で 偶然性の必然性についての試論』なんてもはや意味不明だ。
推薦文がないことを考えると、本棚を目にする私自身が試されているような気分になる。

結局、EDIT TOKYOとはどういう本屋なのか?

本屋
とどのつまり、EDIT TOKYOとは何なのか。他の本屋とはどう違うのか。簡単にまとめてみた。
 
①店内のあらゆる物が、売り物(本棚で使用されているブックエンドでさえ、商品だった)
②型破りな陳列方法
③親切なコーナー分けはなされておらず、何らかの意図によって本が並べられている
 
①~②はいいとして、③を濁したままにすると「おいおい、何のための記事だ!」と突っ込まれそうなので、私なりの解釈を簡単に記しておきたい。
EDIT TOKYOに並べられた本は、ジャンルもバラバラ、文庫本・単行本・新書・雑誌・写真集・ムックなど形態もバラバラだ。タイトルに東京の名が入った本もそんなにない。まるで統一感がなく、カオスな品揃え。しかし、実はこのカオスな品揃えこそが、無数の人で溢れる混沌とした「東京」の姿を映しているのではないだろうか。あくまでも、私個人の感想であるが、EDIT TOKYOからは確かに「東京」を感じさせた。
「これが本屋? 意味わからないけど、面白いね!」なんて言っていた、若いカップルがいたけれど、おそらくその感覚に狂いはない。みなさんもぜひEDIT TOKYOで、新しい「本屋体験」してみてはいかがだろうか?

EDIT TOKYO
東京都中央区銀座5-3-1 ソニービル6F

お洒落過ぎない、ポスト「リアル書店」。

インターネット書店の最大手Amazonがシェアを伸ばす一方で、巷では新しいタイプの「リアル書店」が増え、雑誌等で特集が組まれている。
今回訪れたEDIT TOKYOはその究極形であったように感じる。本棚ごとにコーナーが設けられているわけでもなく、売れ筋の本が平積みにされているわけでもない。ここでは、本を「探す」というよりは、本を「見つける」という行為に近い。でもそのおかげで、いつもなら絶対に手にしないような本と巡り合える。私がつい立ち読みしてしまった『「立ち入り禁止」をゆく』なんて本は、その最たる例だろう。
EDIT TOKYOの良いところは「綺麗過ぎ」ないところ。流行りのお洒落書店ではまずお目にかかれない、下世話な見出しの週刊誌もきちんと置かれている。そんな所に私は妙な親しみを覚えてしまった。

この記事を書いた人

NORIMAKI

NORIMAKI

東京都在住の大学生。中高6年間を函館で過ごす。大学生らしく音楽漬けの日々を送るものの、趣味はお散歩と商店街巡り。サークルでフリーペーパーも作ってます。

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