ドイツ東部の観光地として圧倒的な人気を誇るドレスデン。歴史と文化が息づくこの町には、季節を問わず多くの人が訪れます。
町の見どころは何といっても旧市街の美しい街並みです。バロック様式の重厚な建物がいくつも並び、その迫力と積み重ねてきた歴史の重みは訪れる者を感動させます。
これらの建築は18世紀前半、ドレスデンが最も繫栄したと言われているアウグスト強王(フリードリヒ・アウグスト)の時代に大半が建設されました。
ドレスデンの中心部は第二次世界大戦の際、そのほとんどが破壊されました。しかしその後は復興・再建が進み、現在では工業都市や観光地として賑わいを見せています。
そんなドレスデンの旧市街にある美しい建築を、見どころと共に紹介します。
ツヴィンガー宮殿
アウグスト強王が築いたツヴィンガー宮殿は、当時としては珍しく石を積み上げて作られました。ちなみに18世紀初頭のドレスデンでは木造建築が主流だったみたいです。
宮殿内部は博物館になっており、歴代のザクセン王が集めてきた貴重な品々を見学することができます。
なかでも陶磁器コレクションは世界でも類を見ないほどで、皆さんも知っているマイセンや日本の有田焼をはじめとした各国の陶磁器が展示されています。
君主の行列
ドレスデンの町は第二次大戦中の大空襲でほぼ壊滅状態だったと紹介しましたが、そんな中奇跡的に残ったのが「君主の行列」です。高さ8メートル、全長100メートルの壁には、35人の歴代ザクセン君主が描かれています。
この壁には約2万5000枚ものマイセン磁器タイルがはめ込まれていますよ。
そして近くで見るとかなり大きくて迫力があります。壁の前に立っている人と比べてみれば、この画がどれほど大きいのかお分かりいただけるかと思います。
35人の歴代君主の中から、お気に入りの1人を探してみてください。
フラウエンキルヒェ(聖母教会)
ドレスデンのシンボルとも言えるフラウエンキルヒェ。今ではその美しい姿を誇っていますが、こちらも第二次大戦中の空襲で破壊されました。
と言っても、ここに直接爆弾が落とされたのではなく、爆撃による炎が中にこもり、それが原因で空襲後に建物が崩れ落ちてしまったのです。
その後は「戦争の傷跡」として瓦礫の山が残されていましたが、1994年になって遂に再建が始まりました。再建の際には本来の形が忠実に再現されたほか、瓦礫となっていたオリジナルの資材も使われました。
教会をよく見ると所々に黒いパーツが見えるのは、それが理由です。
旧カトリック宮廷教会
屋根の上に78体の聖人像が飾られている旧カトリック宮廷教会。聖人像は3メートルもの高さがあります。
教会の地下にある墓にはアウグスト1世の心臓が保管されており、ガイドツアーで見学することが出来ます。教会の入り口は少しわかりにくいですが、よく見ていると人が入っていく扉があるので、そこが入り口です。
重厚感がある建物はそれだけでも美しいですが、ここは夜のライトアップをぜひ見て頂きたいです。昼間とはまた違った、この世の物とは思えないような幻想的な風景が広がります。
ドイツの旧市街といえばどちらかと言うと可愛らしいイメージですが、重厚な雰囲気の漂うドレスデンの旧市街にも違った良さがあります。また昼と夜でその雰囲気も大きく変わるので、そのコントラストも楽しんでみてください。