日本人にも人気のベトナム料理ですが、なかでも「フォー」はスーパーでも市販されるほどおなじみですよね。鶏がらのうまみが効いた優しい味わいのスープにライムを絞っていただくと、体の奥底から元気が湧いてくる感じがして私も大好きです。
が、ベトナム料理はそれだけではないんです! 縦長に広がるベトナムは北部、中部、そして南部それぞれに食文化が発達しており、非常に奥が深いのです。
実は 私、ユルワは2015年の夏から10か月間仕事でダナンに滞在しており、その間ダナンっ子や在住邦人の方々から「うまいもの」のあれこれをヒアリング&開拓してきました。そんなわけで今回はベトナム定番料理から、中部でしか味わえないディープなローカルフードまで、ダナンで味わう食の魅力をたっぷりシェアさせていただきますね。
①ミークワン(Mì Quảng)
ダナンへ来たら必ず試していただきたいのが、ミークワンです。ダナンとお隣のクワンナム省の名産とされ、ダナンでは「フォーよりミークワン派」が圧倒的多数なのです。
ミークワンは平らな麺×肉や魚介、トマトを煮込んだ汁が少量入ったぶっかけです。一緒にパリパリの煎餅と山盛りの香草類が出されるので試しに合わせてみると、コッテリ系のスープが香草のおかげでさっぱりした味わいに。お腹が持たれる心配がありません。もちろん香草は生ものですから、心配な方は香草なしで召し上がってくださいね。
トッピングは鶏肉、豚肉、エビなど。2杯およそ25,000ドン(130円ほど)で、茹で卵を加えると5,000ドン(30円)ほどプラスされます。ちなみに私のお気に入りは、ゆで卵とエビ入りのミークワンでした。
【注意】
メニューにMì Quảng ếchというのがあるのですが、それはカエルの肉入りなので、抵抗がある方は避けた方がいいでしょう。
※記事の最後に料理に関するベトナム語の単語リストを乗せたので、注文時のご参考になれば幸いです。
※本文中の価格及び為替レートは2016年12月31日現在のもので、変動する可能性もあります。
Mì Quảng Bà Mua(ミークワン・バームアー)
ユルワのおススメは、ダナン市街地中心部にあるこぎれいなMì Quảng Bà Mua(ミークワン・バームアー)です。他にも支店がありますが、観光客の方に見つけやすいのはTrần Bình Trọng(チャン・ビン・チョン)通り19番地のお店でしょうか。実は私はこちらのお店によく通っていました。看板もわかりやすく、店内も比較的きれいなので観光客にもハードルが低いかと。こちらは人気店で、お昼時にはバイクで訪れるお客さんでいっぱいになります。
住所:19 – 21 Trần Bình Trọng, Quận Hải Châu, Đà Nẵng
②ダナン版バインセオ(bánh xèo)
ダナンでしか味わえないローカル飯第2弾としてご紹介したいのが、バインセオです。ホーチミンを訪れたことがあれば、すでにベトナム版オムレツのバインセオを試された方もいらっしゃるでしょう。でも、ダナンのバインセオはホーチミンのバインセオとは違うんです。
ダナンのバインセオはホーチミンのと比べるとふた回りほど小ぶり。すでに細かく刻まれて出される上に、一緒に青パパイヤやキュウリ、ライスペーパーと出されるので、初めて食べたときは「なんでだろう?」と不思議に思いました。そんな私に、在住歴の長い日本人の方がその食べ方を伝授してくれました。
バインセオと野菜をライスペーパーで包んで、自家製の秘伝のタレにつけて頬張るのがダナン流なのだとか。どんなものかと試したのですが、これが何と絶妙な味わい!
Bánh xèo bà Dưỡng(バインセオ・バーユオン)
ダナンでバインセオが食べられるのはホアンユー通りの路地奥にあるお店なのですが、ここはバインセオのお店が3軒連なる有名スポット。ダナンご当地バインセオを食そうと、ダナンっ子だけでなく、ダナン市外からも観光客が訪れる人気のお店なのです。お昼や夕飯時には席を見つけるのが難しいほど込み合うのですが、地元民に交じってバインセオを頬張ると「ディープなベト飯体験してるな~」と軽く快感がこみ上げてきたりして(笑)。そんなわけで、是非とも体験していただきたい世界です!
住所:K280/, 23 Hoàng Diệu(ホアンユー通り)23番地の路地の奥k280番
※分かりにくいので、お店の名前をタクシーの運転手さんに見せると連れて行ってくれますよ。
③ブンティットヌーン(Bún Thịt Nướng)
ベトナムでは実はフォーよりブン(ビーフン)の方が親しまれているそうです。ビーフンは日本でもメジャーになってきているので、観光客にとってもチャレンジしやすいですよね。そんなブン料理でユルワが声を大にしておススメしたいのが、炭火焼の焼き肉をのっけたブンティットヌーンです。
ブンティットヌーンは甘辛いソースと焼き肉を絡めていただく汁なしのブン料理。ブンはビーフン、ティットは肉、ヌーンは焼くという意味で、そのまんまですね(笑)。しかし侮るなかれ、このたれがそれぞれのお店の特徴を出していて絶妙な味わいとなり、ブンと絡めるとコッテリ系がさっぱりと中和されるのです。たいてい店先では炭火でお肉を焼いているので、香ばしい肉の香りに誘われてしまいます。
ダナンっ子の友達や同僚に教えてもらったおいしいお店を2軒ご紹介します。どちらも中心部にあり、ドラゴン橋からも徒歩圏内です。
Kim Anh(キム・アイン)
Kim Anh(キム・アイン)の住所:Hoàng Diệu(ホアン・ユー)通り125番地
Bún Thịt Nướng Phú Hồng(ブンティットヌーン・フーホン)
Bún Thịt Nướng Phú Hồng(ブンティットヌーン・フーホン)の住所: Yên Bái通り19番地
④コムガー(Cơm Gà)
「麺類もいいけれど、ご飯ものはないの?」という声が聞こえてきそうなので、ここでベトナム版チキンライスをご紹介したいと思います。チキンライスはシンガポールが有名ですが、ダナンでもおいしいチキンライスが食べられるんです。ベトナム語でチキンライスは「コムガー」といいます。
コムガーは鶏肉の料理によって色々な種類があるのですが、ユルワ的おススメは、チキンとご飯をピリ辛のタレで混ぜ合わせたこちらのコムガー・セー(Cơm Gà Xe)です。
A Hải(アー・ハイ)
こちらはダナンで大人気のコムガー店。お昼休みになると店先にはバイクがズラ~っと並ぶほど。よく同僚と食べに来ていました。コムガーは全て火が通っているので、安心していただけると思いますよ。
住所:Thái Phiên(タイ・フィエン)通り100番地
⑤コム・ビンヤン(Cơm bình dân)で食べるプレートランチ
街歩きのエネルギー補給にがっつり食べたい方におススメのご飯ものをもうひと品ご紹介させてください。
お昼時になると街中のあちらこちらに「Cơm」の看板が突如出没します。Cơmというのはベトナム語で「ご飯」という意味なのですが、中でもCơm bình dân(コム・ビンヤン)は大衆食堂のこと。もちろんハノイにもホーチミンにも、ベトナム中どこにでもありますが、ダナンのコム・ビンヤンはハノイ・ホーチミンより比較的安くローカルの味が楽しめる貴重な存在だったりします。
さて、利用方法ですが、まず店先のケースに並んだおかずを2~3品指せば、あとは店員さんがご飯に載せて自家製スープと一緒にテーブルまで持ってきてくれます。プレートとスープのセットで25,000~35,000ドン(130~180円)と、本当にお得なローカル飯なんです。地元っ子に交じって、街歩きのエネルギー補給をしちゃってください。
テイクアウトもOKなので、お弁当にしてもいいですね。
道端にCơmまたはCơm bình dânの看板が出ているところを探してみてくださいね。
⑥ブンチャーカー(Bún Chả Cá)
海を臨むダナンでは新鮮な魚介類がいただけるのですが、ほかにも海の幸を使ったローカル飯があるんですよ。ベトナム版魚介類のすり身(さつま揚げ)をふんだんに乗せたブンチャーカーはダナンっ子に人気のひと品。シーフードと併せてダナンでしか味わえないご当地メニューとして観光客にもおすすめです。
いっしょに出される山盛りの香草をお好みで載せていただくと、濃厚なだしのスープがさっぱりした食感に。
住所: 63 Lê Hồng Phong(レー・ホンフォン)通り63番地
⑦フォー(Phở 75)
「それでもやっぱりフォーが食べたい」という気持ち、わかります。雨季の肌寒い時期や、夏でもエアコンで体が冷えてしまったときは私もよくフォーのお店へ駆け込んだものです。もちろんダナンでもおいしいフォーをいただくことができますからご安心を。
元々フォーは冬は寒さが厳しい北部の名産品。フォーはハノイでこそ食べるべきなんていう人もいるようです。定番はやはり日本でもすっかり市民権を得た鶏肉のフォー(Phở gà フォー・ガー)でしょうか。
実はユルワがダナンに降り立って最初に食べたのがフォー・ガーでした。もちろん、すごくおいしかったですよ。ですから正直言うと「あの店のフォーはおいしい」という地元っ子の発言が理解できなかったんです。フォーは基本的にどこもおいしいものですから。
しかし、Phở 75の存在を知った時、ユルワは「おいしいフォー」という言葉の意味を理解したのです。まず、スープの香りからして他と違っていました。だしのコクも濃厚。なるほど、地元っ子が「フォーならPhở 75」と言うのに納得でした。
こちらのお店は観光客なれしていることから英語のメニューもありますし、店主のおじさんは簡単な英語もできるので敷居が低いと思います。ダナンでフォーを食べるなら、断然Phở 75をおススメします。
住所: Ngô Gia Tự(ンゴー・ザー・トゥー)通り91番地
⑧インドチャイナフードコート(INDOCHINA FOOD COURT)
ダナンでローカルフードに挑戦したいけど、衛生面が心配な方におススメなのが、ダナン中心部にあるショッピングモール「インドチャイナ」3階のフードコート。
ダナン名物ドラゴン橋を望むガラス張りの店内には、ベトナム料理はもちろん、タイ料理、日本料理、韓国料理、ピザなどのファーストフードが勢ぞろい。また、メニューをよく見ると、ディープなローカルフードもかなり揃っていたりするので、清潔感を望む&ローカルフードが食べたい観光客におススメのスポットです。
こちらでは入り口であらかじめお金をチャージして、カードをもらい、各店舗でそのカードで精算するシステム。ひとり1食分なら飲み物込みで10万ドン(500円)ほどで十分です。
住所:Bạch Đằng(バックダン)通り74番地、3階
いかがでしたか?
ダナンはまだまだ英語が話せる人が多くないのと、ご紹介したローカルフードのお店は現地人が多く集まることからベトナム語のやり取りが必要になることも。
でも、だからと言ってせっかくのローカルグルメに触れられる機会をあきらめてしまうのは残念なことですよね。「ライターのひとこと」欄に、ローカル食堂で使える単語をまとめてみたので、指さし会話にお使いいただけたら幸いです。
それでは、ダナンを訪れる皆様がローカルフードを存分に楽しまれることをお祈りしてます。