「猫寺」があるというので行ってきた
日本

眼鏡で有名な福井県鯖江市のお隣に越前市があります。そこは越前和紙で有名な街ですが、昨今の猫ブームに乗り、猫寺と呼ばれているお寺が注目されています。この猫寺の正式な名前は「御誕生寺」と言い、誰もが体験したことのある、尊い体験に基づいた名前のお寺さんです。山号は萬象山。曹洞宗のお寺さんです。

たくさんの猫に会えるかも?という期待に胸を膨らませ、訪れてみました。

猫町は北越地方にあるという……。


萩原朔太郎の「猫町」という本には、方向音痴な主人公が北越地方のKという温泉地で滞留しているとき、散策に出かけ思惟に耽っていたら迷子になって、気が付いたら周りには猫、猫、猫、猫。そこは人間の住む世界ではなく猫の住む町のようだった、という一節がある。

猫町があると言われる場所は北越地方。新潟県辺りのようですが、少し南下した福井県にあってもいいのではないか? もしかしたら、猫寺が猫町となっているのではないか?と憶測してみたり。

とまあ、真偽のほどはともかく、猫、猫、猫、猫といった猫わらわら状態のお寺と期待して、福井県にある「御誕生寺」、通称猫寺に行ってみたのです。

猫わらわら……?


猫がわらわら……と期待してみましたが、意外と猫がいない。訪れた日は4月に入ったばかりのちょっと肌寒い日でした。そのせいなのか、猫はなかなか参拝者に姿を現してくれません。ちょっと、看板に偽りありじゃないか。と憤慨していると……

遂にモフモフ発見。モフモフ故に寒さに強いのでしょうか。猫寺に来て初めて見た猫です。

よく探してみると、お寺の出入り口の坂の横の茂みに猫が。この猫団子2匹のすぐそばに、また1匹と丸くなっていました。まだまだ寒いのでしょう。


参拝者の休憩所。何気に入ってみると……。

参拝者向けの一言ノートや猫のアルバムがありました。雪と戯れる猫の写真を見ていると、隣で何か蠢く気配を感じました。休憩所に設けられた椅子の上に、猫ちぐらがありその中を覗いてみるとなんと、猫がいるではありませんか。

もそもそとなんとも可愛らしいしぐさ。


他にも墓地に隠れていたり、裏山から鳴き声をあげながら降りてくる、茶トラの猫がいたりしました。気が付くと、お寺の無料駐車場には人懐っこい猫が、堂々と歩き、車のボンネットで日向ぼっこしていました。

御誕生寺が猫寺となったわけ


それは十数年前、ここのご住職がお寺の建設中に、境内に捨てられていた猫を保護したことに始まります。それがきっかけとなり捨てられた猫を引き取っているうちに、御誕生寺が猫寺と言われるようになったのです。今ではお寺の容量が一杯でもう猫の引き取りをしてないそうです。

いつも来ている男性にお話を伺うと、猫を引き取りたい場合は、御誕生寺主催の譲渡会を行ったりしているそうです。つまりは要相談です。

猫すてんといて


猫を保護して猫寺となった御誕生寺ですが、猫の医療費が大変で、檀家さんや参拝者の寄付によって賄っています。

養生中のため、写真を撮るのを控えました。保護された猫は手厚くケアされています。

善意で成り立っているため、中にはその善意につけ込む人間もいます。やっぱり、境内に猫を捨てていく人もいるようで、人間の身勝手さに腹が立ちます。

今では観光スポット


午後2時過ぎぐらいになると、1台の観光バスがやってくるではありませんか。なんでもミステリーツアーで関西から来たようです。

猫の餌の時間は午前7時と午後3時半。その時間帯を狙うと、一列に並んでご飯を食べる猫が見れるそうです。今回は時間のこともあり、午後3時半までいられませんでした。

医療費を寄付しました。


猫を助けていたら、猫寺になってしまった御誕生寺。猫ブームに乗り、手軽に猫に会えるお寺となって観光スポットにもなっていますが、猫助けがも根本にあります。猫好きの端くれとして、ささやかながら医療費を寄付してきました。

一口1,000円から医療費を寄付することができます。寺務所の他にも、屋外に募金箱がありますが、猫に会いたかったので直接寺務所に寄付しました。クシャ、ぶわっとした表情が何とも言えない猫が受付にいました。

猫には全員名前があり、首輪に名前が書いてあります。この子は確かゴンザレスさん。体を表した名をしています。

おわりに


今回、結構寒くて、猫たちが寺務所をはじめ、建物に入ろうとしている姿をよく見ました。頭のいい子は日あたりが良く、人間が来ない苔の生した岩の上で寝ていたりと、午睡を邪魔されない所を探し出していました。

暖かくなってきた今頃は、たぶん、猫、猫、猫、猫。猫町状態。猫わらわらだと思います。また行きたいです。

御誕生時
〒915-0043 福井県越前市庄田町32-1-1
山門といったものがなく、いつ来ても大丈夫ですが、夜は控えてほしいとのことです

この記事を書いた人

千津

千津ライター

幼いころは何者にでもなれると思っていたのに、成人しても特に何者にもなれず、外に探すようになりました。特に目的もなくふらふらと出かけるのが基本で、旅行も付き合いで行くという主体性のなさ。そんなことを積み重ねて、自分に厚みを出そうと思っています。

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