築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム
日本

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)

石川県金沢市にある笠市町は、かつて金沢城下の一部として賑わいを見せた歴史あるエリア。浅野川にもほど近く、穏やかな町並みが続いています。周囲には古くからの家屋や店舗が残り、川や山の自然とも調和する静かな街です。
そんな風情ある笠市町で、築100年超の古民家をリノベーションし、イタリアンのエッセンスを加えた魅力的な空間と体験を提供している「angolo caffe(アンゴロカフェ)」をご紹介します!

漁網づくりの街に現れた、イタリアンカフェ

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


金沢の歴史ある町並みに佇む「angolo caffe」は、築100年以上の元魚網店の建物をリノベーションしたカフェです。かつて川沿いのこの一帯は漁業の拠点として栄え、現在でも漁網やゴルフ場のネットなどを作り続ける店舗も残っています。

その一角にあった古い魚網店の建物が、カフェのオーナーが「イタリアのカフェ文化を地元に取り入れたい」という想いで息を吹き返しました。イタリアで暮らした経験を持つオーナーが、イタリアンテイストと日本の古き良き町家の風情を調和させた空間を作り上げています。

angolo(アンゴロ)はイタリア語で「角」を意味する言葉。「街角にあるコーヒー屋さんのように、いつでも気軽に立ち寄れる場所でありたい」とオーナーが名付けた名前には、カフェに対する温かい願いが込められています。
イタリアの人々は、朝行きつけのカフェで一杯のコーヒーを楽しみ、バリスタと会話を交わしながら一日が始まるそうで、カフェはいわば「日々のスイッチ」のような存在なんだとか。angolo caffeも、日々の色々なシーンでふと思い出してもらえるような街角のコーヒー店を目指しているのだそうです。素敵な由来ですね!

歴史と異国の趣が共存する店内

店内に足を踏み入れると、古民家の素朴な温かみがそのまま活かされた、落ち着いた雰囲気が漂います。壁や窓枠など、昔ながらの木造の要素を残しながらも、その中にイタリアの小物やコーヒーマシンもちらほら。日本の町家にイタリアの風合いが違和感なく馴染む空間のバランス感にセンスを感じます。

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)
築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)
築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


カウンター席を選んで腰を下ろしました。雨のしとしととした音が古い窓を通して柔らかく響き、外の通りの景色が目の前に広がります。
落ち着いた店内でいただくコーヒーやデザートの時間。雨音とともに心地よいひとときでした。カフェの奥には、夜のみ営業する別のレストランも併設されているのだとか。昼と夜で異なる雰囲気が楽しめそうです。

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


ここからは今回いただいたメニューをご紹介していきますね!

コク深いエスプレッソの「フラットホワイト」

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


まずは、イタリアのエスプレッソマシーン「マルゾッコ」で抽出されたこだわりのエスプレッソを使った「フラットホワイト」。ラテアートが美しい!
エスプレッソの深いコクと香りが際立つコーヒーで、ミルクの口当たりは滑らか、ふんわり。ほんのりとした甘さがエスプレッソの風味を引き立てていました。
甘さは控えめなので、シンプルにエスプレッソとミルクの味わいを楽しみたい方におすすめ。スイーツとも食事系のフードとも相性が良さそうでした。

季節の味覚が楽しいスイーツたち

今回は季節感を楽しめるスイーツを2ついただきました。

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


一つ目は「黒蜜姫のパンナコッタ」。「黒蜜姫」という品種の小ぶりないちじくは、石川県産の黒いちじくなんだそう。繊細な甘さと柔らかな食感が印象的でした。

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


パンナコッタ自体は単体で食べるとしっかりとした甘みを感じますが、酸味の効いたいちじくのソースが添えられており、一緒にいただくとパンナコッタの濃厚で滑らかな甘さと絶妙なバランスに。
トッピングされたアーモンドチュイールはパリッとした食感とアーモンドの豊かな香りで、パンナコッタの味わいをさらに奥深いものにしてくれていました。

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


もうひとつの季節のデザートは「マロンクリームのボンボローネ」。ボンボローネはイタリアの揚げドーナツのことなんだそう。これまた絶品でした。

栗をふんだんに使ったマロンクリームは、ラム酒の香りがほんのりと漂い、甘さの中に大人の風味を感じます。ドーナツの生地はふわふわと軽いけれどしっとりした食感で、クリームや栗の風味が生地にしっかりと馴染んでいました。
トッピングされた栗は甘くてほっこりした印象。秋らしい味覚を存分に味わえました。

2つも食べられるかしら…という心配もありましたが、思いがけずペロリ。
ゆったりとした空間で味わうにはぴったりのスイーツたちでした。

日本の伝統的な町屋で味わう、イタリアの温もり

築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)
築100年超の町家で味わう、イタリアンテイストのカフェタイム_angolo caffe(アンゴロカフェ)


歴史を感じさせる場所で、異国の味覚と香りを楽しむひととき。angolo caffeは、金沢ならではの伝統的な町家の趣とイタリアのカフェ文化の温かみを感じられる、心をほっとさせられる場所でした。カフェタイムを過ごしながら、金沢とイタリア、それぞれの文化に浸るひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか。

angolo caffe

石川県金沢市笠市町10-1

この記事を書いた人

mei

mei建築家/カフェ研究家

建築家でありカフェ研究家。街歩きが趣味で、ひとりでもホッとできるような居心地の良いカフェを求め歩いています。 デザイナーの視点で、空間からメニューまで幅広く観察します。

    チャンネル

    チャンネルをもっと見る