デンマークの交流食事会を三重県尾鷲で体験! おわせむかい農園の“アブサロン”
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デンマークの交流食事会を三重県尾鷲で体験! おわせむかい農園の“アブサロン”

三重県尾鷲市の観光農園で行われているデンマークの交流食事会 “アブサロン” 。「デンマークの交流文化をなぜ尾鷲の農園で?」という疑問を持ちつつ、参加する機会をいただいたので、いざ潜入! 地元の方から地域おこし協力隊、地域外の方々まで、様々な参加者にお話を聞いてきました!

三重県尾鷲市にある「おわせむかい農園」

尾鷲(おわせ)市は紀伊半島の東部に位置する、三方を山に囲まれ一方は熊野灘に面した自然豊かな場所で、新鮮な魚や尾鷲ヒノキ、甘夏の栽培、雨の多い土地としても知られています。面積の約90%以上が山林だそうで、海のすぐそばに山があるというのも特徴。

海から少し坂を上るとすぐにアブサロンの会場「おわせむかい農園」に到着。おわせむかい農園は、少子高齢化で耕作放棄地となっていたみかん畑を活用してブルーベリーなどを育てている観光農園です。ブルーベリーの他にも、“漁師の刺身唐辛子” と呼ばれるこの地だけの伝統野菜「虎の尾」の栽培にも取り組んでいます。

デンマークのアブサロンって何?

アブサロンというのは、誰もが分け隔てなく参加できるデンマークのコミュニティスペースのことで、食事会も行われています。

おわせむかい農園でアブサロンを開催するようになったのは、農園のメンバーがデンマークを視察で訪れた時に、国籍や性別、年齢を問わず、誰でも(一人でも)一緒にテーブルを囲んで食事ができるという交流文化に共感したのがきっかけだったそうです。

尾鷲の豊かな食材が並ぶテーブル

アブサロンでは座席は決まっておらず、どこでも好きな場所に座ってOK。「はじめまして」の方々と、大皿料理を囲んで食事を楽しみます。

デンマークの交流食事会を三重県尾鷲で体験! おわせむかい農園の“アブサロン”


私のように地域外からの参加者もいますが地元の方も多く、多種多様な輪ができて、あちらこちらで話が弾んでいます。

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私のテーブルでは地元の方が「尾鷲の新鮮な刺身にはコレが合う!」と、農園で作られている虎の尾醤油を手渡してくれました。ピリリと辛味があって脂の乗ったカツオやブリによく合う!

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他にも、虎の尾を入れたオリジナルの玉子焼きや、尾鷲の特産品・甘夏を使ったサラダなど、尾鷲の自然の豊かさを食を通して感じられる内容に大満足! 地域の方々とその地の食材を囲んで食事できる機会なんて、観光で訪れても簡単に体験できるものではありません。

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こんなダイナミックなお料理も。マグロ尾の身ステーキです。炭火で焼かれ、焼き上がったアツアツを農園の社長さん自ら各テーブルにサーブしてくれましたよ。

それぞれ、アブサロンをどう思っているのか

初めて尾鷲を訪れた地域外の私ですが、とにかく地元の方々が初めて会ったとは思えないように自然に接してくれるのが心地よい。「なんだか懐かしい雰囲気だな」と記憶を辿ると、昭和の頃の親戚の集まりに参加しているような、みんな遠縁の叔父さん叔母さん、従妹、姪っ子甥っ子に思える感じ。

自由な食事会なので、座席移動もOK。せっかくなので地域内外、色んな参加者に話を聞いてみました。

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大きなテーブルにみかん箱を椅子代わりにした即席会場内を渡り歩いていると、みかん箱に書かれた屋号を指し示し「このみかん箱、おじさんのみかん農園のものです」という方を発見! 今ではもうみかん農園はされていないそうですが、おじさんのみかん農園だった土地がおわせむかい農園の一部として今も地域の役に立っていることは嬉しいとお話ししてくれました。

地域おこし協力隊も多く参加されていて、「この地に来たばかりでも、沢山の地元の方と繋がれる場」と、地域おこし協力隊ならではの目線も。台湾からの地域おこし協力隊員もいて、まさにアブサロンの「国籍問わず…」です。ちなみに「年齢問わず」というところでは、近所の小学生たちの姿も。

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後半は子どもたちと一緒に焚火でベイクドマシュマロ。煙で涙を浮かべる子ども。近くでビール片手に見守る大人と「火の風下に立つな」、「カザシモってなに?」といった会話も。昔はこうやって生活の知恵を学んでいったな…と懐かしく思い出しました。こういう文化が受け継がれる尾鷲は素敵だな。ふと空を見上げると澄んだ夜空に満天の星!

第10回目はデンマークからニールセン北村朋子さんをご招待

今回の第10回目のアブサロンは、農園メンバーが視察時にデンマークで知り合った、デンマークと日本を繋ぐ文化翻訳家のニールセン北村朋子さんを招待したスペシャルな回でした。テーブルには尾鷲の食材を使ったスモーブロー(デンマークの伝統料理)も用意され、尾鷲とデンマークの食の交流も。

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持続可能な社会や教育、再生可能エネルギーに造詣の深いニールセンさんの周りには、話を聞こうと、自然と沢山の参加者が集まっていました。

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農園には「むむむ。」という多世代が集まる交流施設があって、特に小学生たちは学校が終わると自然とここに集まります。このことに関してニールセンさんは、「日々の生活の中にある当たり前のことが、防災にも役立っていると感じる。子どもたちはここでの沢遊びで水のある場所を知り、太陽光で電気ができるということを学んでいく。何か災害が起こった時に集まれる場所が、特別な場所ではなく生活の一部として存在しているのは素晴らしい」と、地域の魅力、おわせむかい農園の取り組みについて語ってくれました。

キャンプ場minore

農園から坂を上ると、尾鷲港を見渡せる小高い場所にあるキャンプ場「minore(ミノレ)」があります。地域外から参加した何組かは、この日の晩はminoreに宿泊するのだとか。尾鷲湾を見渡せる絶景キャンプ場ですが、お天気に恵まれれば吸い込まれるような星空にも出会えます。

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「毎晩開催しているものではありませんが、タイミングが合えばキャンプの宿泊者にも夕食の選択肢のひとつとしてアブサロンに参加していただけたら」と、農園の方がおっしゃっていました。地域内外の参加者と楽しい時間を過ごし、満天の星空に感動した後だったので、そういう利用方法を提案されると「それはいいかも!」と速攻で心動かされました。アブサロンやキャンプ場に興味を持った人は、是非おわせむかい農園のホームページ、フェイスブック、インスタグラムをチェックしてみてくださいね。



おわせむかい農園

おわせむかい農園・Facebook

おわせむかい農園・Instagram

三重県尾鷲市南浦向井空谷4488-1

この記事を書いた人

ヒイラギ

ヒイラギトラベルライター

国内中心に飛び回るトラベルライターです。心に残る風景、注目のグルメ・イベントを中心にお伝えします。

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