台湾旅行で一度は訪れたい場所が、台北きってのレトロタウン「大稲埕」。
かつて対外貿易で栄えた台湾で最も歴史ある地区で、古いバロック建築やレンガ造りの建物など、古き良き時代の町並みが残っています。
近年では、歴史ある建物を改装したリノベーションスポットも人気に。
新旧が交わる独特の風景と空気に魅了される、大稲埕を歩いてみましょう。
台北のレトロタウン「大稲埕」
台北西部、淡水河に沿って広がる「大稲埕(ダーダオチェン)」は、台北で最も歴史ある地区。
18世紀末、淡水港が開かれたことによって、大稲埕は商業の要所として繁栄します。1885年以降には外国人居住区が設けられ、洋館や領事館などが建てられました。
日本統治時代には、茶葉などの乾物や、漢方薬、布地などを扱う問屋街として発展。
目抜き通りの迪化街には、その当時のにぎわいを伝える濃厚な下町の雰囲気が漂っています。
発展著しい台北にあって、大稲埕は今も昔ながらの街並みを残すレトロタウン。華やかなバロック建築や、中華風と西洋風の折衷様式をもつ赤レンガ建築など、このエリアならではのフォトジェニックな風景が広がっています。
それに加え、リノベーションスポットとしても注目を浴びている近年の大稲埕。歴史ある建物を改装したショップやカフェが次々と誕生しており、新旧が融合した独特の雰囲気に虜になる人が続出中です。
小藝埕
大稲埕におけるリノベーションスポットの先駆け的存在が、2011年にオープンした「小藝埕」。
バロック調のクラシカルな歴史的建造物に、カフェや雑貨など複数の店舗が入居するショップの集合体です。
かつてこの建物は台湾初の西洋薬局だったため、ファサードには「屈臣氏大藥房」とその英語名である「A S WATSON & Co」の文字が刻まれています。
小藝埕の2~3階にあるおしゃれ空間が、紅茶専門店「ASW Tea House」。
ヨーロッパの図書館を思わせる優雅な空間は、下町情緒あふれる外の通りとは文字通りの別世界です。
「台湾で紅茶?」と思われるかもしれませんが、台湾は紅茶の産地。
ASW Tea Houseでは、台湾各地の紅茶とともに台湾素材を使用したお菓子が楽しめます。
台湾のお茶といえば、烏龍茶のイメージが強いですが、ここで台湾紅茶の魅力に開眼してはいかがでしょうか。
永楽市場
小さな建物が多いこの界隈で、ランドマーク的存在となっているのが「永楽市場」。
台湾最大規模を誇る布市場で、館内には100軒以上の布問屋がひしめき合います。
伝統的な花柄プリントの布地の購入や、クッションなどのオーダーメイドができるほか、花柄のバッグやポーチ、エプロンなどの完成品も手に入ります。
問屋街だけあって値段も手ごろ。
伝統的な花柄のきんちゃくは、生地が二重になったしっかりとしたつくりで180元。
永康街あたりのおしゃれな雑貨ショップで買えば、倍の値段でもおかしくありません。
印花楽
伝統的なテキスタイルが手に入る永楽市場に対し、モダンにアレンジされたテキスタイル製品が手に入るお店が「印花楽」。
東京にも店舗を構えるMIT(Made in Taiwan)の代表選手ですが、本店はここなんです。
印花楽は高校時代の友人だった女性3人が2008年に立ち上げたテキスタイル&ハンドクラフト雑貨のブランドで、店内には台湾の文化や自然をモチーフにしたオリジナルファブリックを使った雑貨がずらり。
カラフルながら、伝統布に比べると優しい色使いが特徴で、見ているだけでほっこりとした気持ちになれます。
PCケースやブックカバー、靴下、エコバッグなど、日常生活に採り入れやすいアイテムが見つかりますよ。
台北霞海城隍廟
恋愛パワースポットとして台北女子の絶大な支持を集めているのが、1856年建立の「台北霞海城隍廟」。
敷地面積46坪の小さな廟ですが、良縁や恋愛成就を願う女性たちがひっきりなしに訪れています。
彼女たちのお目当ては、写真中央の「月下老人」。
左手に婚姻簿、右手に杖を持った小さな老人の姿をしたこの神様は、台湾では男女を婚姻に導く恋愛の神様として広く信仰されています。
もともと、この廟に月下老人はいかなったそうですが、1971年に参拝者から寄付され、その後お参りをした人々の恋愛成就にご利益があったことから「縁結びのパワースポット」として人気を集めるようになりました。
大稲埕埠頭
大稲埕を散策するなら、しばしメインストリートから外れて、貿易港としての名残を感じさせる埠頭にも足を運んでみましょう。
18世紀末に淡水港が開かれ対外貿易が始まったのを機に、各国の貿易商はこの周辺に会社を設立しました。
かつては、ここから茶葉が外国へと輸出され、大稲埕の繁栄を支えていたといいます。
現在は、往時の埠頭としての役割はなくなりましたが、独特のノスタルジックな雰囲気は健在。市民たちの憩いの場として親しまれています。
富自山中
ドライフルーツを台湾土産にするなら、ぜひ大稲埕で入手を。
乾物問屋が多数軒を連ねる迪化街では、台湾で手に入るありとあらゆるドライフルーツが売られています。値段や質も千差万別なので、どの店で買ったらいいのか迷ってしまうことでしょう。
問屋街の北のほうにある「富自山中」は、地元の人にも人気の乾物屋さん。
店内には、台湾産フルーツの自然な風味を大切にしたドライフルーツが勢ぞろいしていて、特に人気のマンゴーとパイナップルは、砂糖を添加しているものと添加していないもの、両方から選べます。
日本語が話せるスタッフもいるので、日本語で相談しながら買い物をすることができますよ。
「富自山中」のレトロかわいいステッカーが貼られたパッケージもおしゃれで、お土産にもぴったり。
マンゴーもパイナップルも、砂糖なしでもじゅうぶん甘く、噛めば噛むほどフルーツ本来のおいしさが口のなかいっぱいに広がります。
保安捌肆Café
保安捌肆Caféは、大稻埕の東側にあるリノベーションカフェ。
日本統治時代に教育を受け、原住民としては台湾で初めての医師となった謝唐人氏が開いた外科医院を改装したカフェで、ダークな木の風合いを大切にした店内には、落ち着いた空間が広がっています。
下町の活気みなぎる大稲埕にあって、ここだけ時間がゆっくりと流れているかのよう。
ハンドドリップコーヒーや、ラテ、モカ、各種お茶やジュースと、ティラミスなどのスイーツが楽しめます。
シックなムードの店内ですが、お手洗いは「急診室」と表示され、その前には白衣を着たガイコツの人形が置いてあるなど、遊び心もたっぷり。
クリエイティビティに富んだ「大稲埕イズム」が肌で感じられます。
新旧が交わる独特の風景に加え、カフェにショッピングと、台北の街歩きの楽しさがぎゅっと詰まった大稲埕。一度行けばあなたもきっとハマってしまうはずです。