台北の小さくてディープな「寧夏(ニンシャー)夜市」は台湾人からも大人気
台湾

中山駅や雙連駅から歩いて行ける所にある寧夏夜市は、観光客にも台湾人にも人気の夜市です。理由は、なんといっても美味しいものがたくさん食べられるから。そうした理由から、夜市の規模自体はそんなに大きくないにもかかわらず、いつもたくさんの人でごった返しています。
この小さな夜市が、どうしてこんなに人を惹きつけるのか? 今回はそんな寧夏夜市の、ちょっとディープで魅力的なお店の数々をご紹介いたします。

寧夏夜市で行列に並ぶ

1.阿婆飯糰


寧夏夜市の名物といえば、夜市に入るちょっと手前にあるふたつの大行列。行列のひとつは、阿婆飯糰の屋台、もうひとつは頼鶏蛋蚵仔煎のお店へと続いています。

阿婆飯糰の「飯糰(ファントゥアン)」とは、台湾風のおにぎりのこと。

屋台にはホカホカの白いご飯が置いてあって、お店の方がその場でおにぎりを握ってくれます。中の具材は台湾風の切り干し大根、肉鬆(台湾ふうのふりかけのようなもの)、そして油條(揚げパン)! 台湾では結構スタンダードなおにぎりの具材です。

俵型の巨大なおにぎり。細長いお米を使用しているのが、日本人の目にはちょっと珍しいです。

 

中の具材は同じですが、辛さの指定ができます。「要不要辣(ヤオブヤオラー)?」と聞かれるので、辛いのが好きな方は「辣(ラー)」ちょっと辛めにしたいなら「微辣(ウェイラー)」、元の味を楽しみたいなら「不用(ブーヨン)」と答えましょう。
微辣でも結構辛かったです。ひとつ40元なり。

(1元≒約3.6円、2018年7月現在)

 

夜市が一番混雑する土曜日の夜に食べに行ったのですが、並んだ時間は1時間ほどでした。気長に待つ覚悟で列に並んでみてくださいね。

お休みの日はFacebookに告知してあるので、事前にチェックしていくといいですよ!

2.頼鶏蛋蚵仔煎

阿婆飯糰の向かいの行列は頼鶏蛋蚵仔煎、牡蠣のオムレツのお店に並ぶ列です。

台湾に蚵仔煎(オーアージェン)の店は多々あれど、分厚くてボリュームのある蚵仔煎を食べたいのなら、断然このお店でしょう。

牡蠣も野菜もたっぷり入っています! 甘辛いソースも、オムレツによく合います。一皿65元。

 

お店の回転が速いので土日でもそこそこに並べば食べることができますが、あまり並びたくない人は、平日の夜に行くと良いでしょう。

月曜の夜9時に行った時には、4、5人しか並んでいませんでした(それでも並ぶけど……)。

3.劉芋仔

行列といえばもうひとつ、寧夏夜市で絶対並んで食べるべきなのが、劉芋仔の蛋黃芋餅(ダンファンユービン)と香酥芋丸(シャンスーユーワン)です。

お店の名前や商品の名前からなんとなくわかるかと思いますが、こちらはタロ芋を使ったお菓子のお店です。

商品はふわふわのお芋の生地をあげたドーナツのようなもの(香酥芋丸)と、生地でしょっぱい卵の黄身の餡を包んだもの(蛋黃芋餅)の二種類。

香酥芋丸がひとつ20元で、香酥芋丸がひとつ25元、どちらもふたつ以上から注文ができます。両方食べたい時は、「都兩個(ドゥォウリャンガ)」と伝えるといいですよ。ふたつずつ、という意味です。

どっちも美味しいですが、私は特に香酥芋丸の方が好きです。こんなふわふわのドーナツ、日本では食べたことがない……!

列はお店の後ろの方へ長く続いていますが、回転が速いので、土曜の夜でも10分も並べば食べることができます。必食のお店です。

ほかにもいっぱい、美味しいものを食べる

1.祥記

甘いものといえば、祥記の麻糬もいつも大勢の人で賑わっています。
麻糬は、中国語で読むと「マァシュー」なんですが、台湾語で読むと「モチ」。そう、お餅のことを指しているのです。

こちらは屋台ながらお店の奥にイートインスペースがあって、席に座って食べることができます。ピーナッツ粉やゴマのかかったぷるぷるのお餅のほか、お餅の乗ったかき氷というメニューもありますよ!
テイクアウトとイートインのお店の入り口が違うので、注意してくださいね。イートインをしたいなら、お店の裏側の方で注文する必要があります。

このピーナッツ粉、食感がザクザクとしていて美味しいんですよね。きな粉と似ていますが、私は断然こっちの方が好きです。

お店のお兄さんが忙しいためかちょっと勢いがあって怖いですが、怒っているわけではないので緊張しないで大丈夫ですよ!

2.脆皮雞腿捲

甘いものばっかりでちょっとしょっぱいものを食べたくなったら、脆皮雞腿捲なんていかがでしょう?
店の前には列がないんですが、店の横側にプチ行列ができています。夜市の店を塞がないようにというわけですね。

脆皮雞腿捲の「脆」はパリパリとかサクサクとかそういう意味の言葉。パリパリの皮で包んだ鳥のもも肉、といったところでしょうか。
皮で包まれた柔らかな鶏肉がジューシーで、私は結構お気に入りです。

そのままでいただいてもいいですが、味付けでパウダーをかけることも可能。カレーとかレモンとか海苔とか色々ありますが、私は「哇沙米(わさび)」の粉をかけてもらいました。発音がほぼ同じなので、わさび、と日本語でいえば十分通じますよ。一本40元です。

3.甘記焼仙草

夜市の屋台の並びではありませんが、寧夏夜市と同じ通りには、ほかにもたくさんの美味しい食べ物の店があります。
甘記焼仙草は、焼仙草を店の名前に冠していますが、その実台湾ならではの甘味をたくさん食べることができるお店です。
店の前のテーブルは、いつもお客さんでいっぱいになっています。寧夏夜市の人気のお店です。

焼仙草もいいですが、台湾で食べておきたいものといったらやはりこれでしょう。
かき氷です。今回注文したのは、ピーナッツかき氷onプリン!

 

台湾のかき氷はどこもだいたいとんでもなく大きいです。

注文したものが届いてから、あっ!しまった!と思ったりします。大きすぎて、ひとりで食べきるのが難しいんですよね。私は友達と三人で分け合って食べたんですが、それでも多いくらいでした。

自分のお腹と相談しながら注文してくださいね!

 

他にはなかなかない、変わったものを食べる

蔡家嘉義火雞肉飯

台湾並びに中華圏の思想として、体に悪いところがある場合は、同じ部位の肉を食べて補う、という考え方があります。肝臓が悪いならレバーを、心臓が悪いならハツを食べる、といった具合ですね。

以前大学の先生とこの話をしていて、冗談で、「じゃあ頭が悪かったら脳を食べればいいんですね」と言ったことがあります。そうしたら先生が笑いながら「脳みそを食べられるお店もあるよ、仕入れ次第だけど」と教えてくださいました。

 

結局この時はどこで食べられるのかまで調べきれなかったのですが(日常的に食べるものではないので)、後日別の友達に聞いたら、なんとこの寧夏夜市に豚脳(ジューナオ)が食べられるところがあると教えてくれました!

お店の名前は、蔡家嘉義火雞肉飯。お店の看板メニューは火雞(七面鳥)肉飯なのですが、ここにあるんです。私の悪い頭を治してくれる食べ物が。

メニューの名前は、豬腦湯(ジューナオタン)豚の脳のスープ、というわけですね。
きちんと脳みその形をしています。

 

ふわふわとした食感で、生臭さなどは全然ないです。見た目はちょっとびっくりしますが、味は普通に美味しいです。
人生で一度しか食べたことがないですが、フォアグラが確かこんな食感だったような?

後日別の知り合いに豚の脳みそを食べた話をしたら、優しい笑顔で、「頭、よくなった? 」と聞かれました。
……ま、まだきっと消化されてないんです、多分。

この記事を書いた人

ほず

ほずライター/日本語教師

神奈川生まれの神奈川県育ち。大学の頃から中国語が好きで、2017年とうとう台湾に移住しました。新北市にある大学の言語センターで1年間中国語を勉強したのち、台湾で日本語の教師として就職を果たしました。 趣味は旅行と登山と古い建物巡り。交通手段がないなら歩けばいいじゃない、をモットーに、苦行のように歩き続けるタイプの観光をよくしています。主な燃料はコーヒーとミントです。

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