麺のルーツには諸説あるようだが、中央アジアもそのひとつ。
麺の材料である小麦は、紀元前7000年頃(今から約1万年前)のメソポタミア一帯(西アジア)で栽培されるようになり、その後中央アジアを通じて中国に伝来したといわれている。
そもそも「麺」とは、小麦製品全体を指すともいわれ、現在一般的に「麺」といわれているひも状のものになったのは、中国に伝来してからのようだ。
そのひも状の「麺」が、今度は中国から中央アジアを含む地域に伝わったらしく、ここで紹介する麺料理はそのひとつと考えられている。
日本の麺を食べ飽きた方、ウズベキスタンの全く未体験な麺で、ヌードルライフにスパイスを加えてみるのはいかがだろうか。
ウズベキスタンにある「うどん」
ウイグルから中央アジアにかけて、日本のうどんに似た食べ物がある。中央アジアのウズベキスタン共和国で「ラグマン(Lag’mon)」と呼ばれるこの郷土料理は、少々脂っこいけれど、日本から来る観光客にも人気のある麺料理。
お店や地方によって微妙な違いはあるが、じゃがいも、野菜(香味野菜含む)、牛または羊肉などをトマトベースのスープで煮込んだ料理で、麺は日本のものとほとんど違いはない。麺がとても長いので、私はパスタを食べるときのようにクルクルとフォークで巻いて食べている。
お食事としていただくのはもちろん、ビールとの相性もいい。私は脂っこいものが得意ではないので、麺と具だけいただくのだが、そんな私向きのラグマンもある。
シルクロードの「焼うどん」
ウイグルスキー・ラグマン(ウイグルのラグマン)と紹介されて出されたものがこちら。日本の焼うどんに似ている。数年前、ブハラという都市にあるレストランで食べたこのラグマンは、どこかで食べたような食べ慣れた味付けで、うどんで作った薄味のナポリタンという感じ。
やはりお店によって具材は微妙に変わり、このラグマンには薄焼き卵が乗っていた。こちらは少々脂っこくてナポリタンからは程遠い味だったが、これはこれで美味しい。
こちらはホテルのレストランで食べた時のラグマン。錦糸卵のようなものが乗っていて、比較的さっぱりしていて食べやすかった。
「つけ麺」もある?
他には、麺とスープが分かれたつけ麺タイプのものもある。これは「Ayrimsay」と呼ばれる麺と具材が別々になった料理。この写真のレストランはタシケントというウズベキスタンの首都にある。
こちらはフェルガナ盆地という、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス国境に囲まれた地域にあるレストランのラグマン。スープと麺が別々だが、「Ayrimsay」として注文したのではなく、お店に頼んで出してもったもの。スープに浸っていないので、自分の好みに調整しながらいただける。ウズベク料理のスパイスの香りに少々飽き始めていた私は、麺だけを塩などで違う味付けをして食べたりしていた。
でも不思議なもので、帰国してしばらく経つとその香りが懐かしくなる。私にとってウズベク料理は、第二の故郷の味なのだ。
食べてみたい麺は見つかっただろうか。ウズベキスタンにご旅行の際にはぜひ、お気に入りの麺を見つけていただきたい。