期間限定で1日数回しか走らない、台湾の「サトウキビ列車」を見に行く
台湾

台湾には、期間限定で走る列車があるらしい……? そんな噂を聞きつけたのは、11月も中頃のことでした。

その列車はなんでも台湾は雲林(ユンリン)縣の虎尾(フーウェイ)という町にあって、1日に数回だけ、運転しているのをみることができるのだとか。気になって色々調べてみたら、その列車の詳細がだんだんと浮き彫りになってまいりました。

この列車、人を乗せるための列車ではありません。台湾で収穫することができるとある農産物を運搬するための列車なのです。

※記事内 1台湾ドル=約3.75円(2018年1月時点)

期間限定のサトウキビ列車

台湾はかつて、日本政府が統治していた時代がありました。日本とは気候帯が異なる台湾では、収穫できる農産物の種類もまた日本とは異なります。そうした気候を活かし、日本政府が特に生産に注力し資本投資を行ったのが砂糖でした。

砂糖の原材料になるのはサトウキビ。そのサトウキビの運搬を担う列車こそが、虎尾の町でみることができる列車なのです。

現在台湾で稼働している砂糖の工場は台南と雲林の2箇所のみで、そのどちらもが、日本統治時代の1905年(台南)と1907年(雲林)に建てられた歴史のある工場。

しかもサトウキビを運ぶ列車が今でも運行しているのは、雲林の虎尾工場のみ! その上列車が運行しているのはサトウキビの収穫が行われる11月半ば〜翌年3月中旬の期間限定!

これは見に行かない手はないということで、雲林は虎尾まで、鉄道を見に行ってまいりました。

虎尾ってどうやっていくの?

例によって台北からの出発になりますが、虎尾まで行く方法は、バスか高鐵が便利です。時間がかからないのは台灣高鐵で、台北から雲林まで1時間半(片道930元)、その後駅からタクシーで虎尾糖廠(製糖工場)まで行くのが良いでしょう。

時間はかかりますがお金がかからないのが台北からの長距離バスで、片道3時間、往復券を購入すれば450元程度で行くことができます。私が利用したのは統聯客運でしたが、このほか日統客運でも行くことができます。虎尾糖廠から歩いて15分くらいのところに下ろしてくれるので、結構便利です。

またこれも便利だったのが、虎尾は町のあちこちでフリーWiFiを使うことができます。虎尾についたらまずはWiFiとGPSをオンにして、GoogleMapに道案内をしてもらうと良いですよ。

サトウキビ列車を見に、虎尾糖廠へ!


さて、虎尾についたので、早速サトウキビ列車を見に行きます。列車を見ることができるポイントはいくらかありますが、落ち着いて見たいのなら、虎尾糖廠の入り口付近が良いでしょう。

列車はサトウキビ収穫して積み終わったら走るので、時間が一定していません。大体2時間〜3時間に1本程度運行しているらしいのですが、その日の午前中に収穫が終わってしまうと、そこで1日の運行が終わってしまったりもするそうです。

また雨が降っている日などは収穫自体がなかったりもするそうなので、雨が降っていない日の午前中を狙って訪れることをお勧めします。

ちなみにですが、砂糖工場の敷地の手前にあたる踏切のところに小さな小屋があり、そこにおじさんが立っていらっしゃいます。

踏切を見守っていらっしゃるようだったので、列車はまだありますか?と聞いたら、快く次に何時にくるかを教えてくださいました。おそらくこの電車が冬季限定運行ということもあり、こちらの踏切を管理されているのでしょう。

ちなみに、サトウキビ列車が運行していないときは、この踏切から製糖工場への入り口が閉められています。運行状況の参考にしてください。

そんなこんなで、無事サトウキビ列車を見ることができました!!

一度にたくさんの量を運ぶので、列車は結構長いです。

カゴの中にたくさんサトウキビが載せられています。

私は12月30日に訪れたのですが、12月の頭から1月初頭まで折良くサトウキビ工場のイベントが行われていて、工場内部の見学をさせていただくことができました(普段は工場内へは入ることができません)。

工場内部のレトロな建物は、今でも事務所として活躍しています。


機械が稼働しているところも見せていただくことができます。砂糖を製造しているということがあってか、工場内部にはふんわりと甘い匂いが漂っていました。美味しそうな匂い……。

虎尾糖廠
No. 2, Zhongshan Road, Huwei Township, Yunlin County, 台湾 632
公式HPはこちら

サトウキビ列車の他には何があるの?

1.台糖虎尾冰品部


さて、サトウキビ列車と工場の他にも付近に観光できるスポットがありますので、ご紹介をば。

虎尾製糖工場を訪れたら絶対に行っておきたいのが、工場の向かいの公園内にある台糖虎尾冰品部です。こちらは、台湾製糖で製造しているアイスクリームやお菓子などを購入、その場で食べることができます。

雲林は台湾の南部寄りのところにあるので、12月30日だろうが晴れていればダウンは必要ありませんでした(パーカーを着ていても暑いくらいでした)。せっかくこんな暑いので、アイスクリームをいただくことにします。

中国語では、アイスクリームは冰淇淋、アイスキャンディは冰棒と書きます。種類はいろいろありますが、今回は芋頭(タロイモ)と甘蔗(サトウキビ)味を選択。タロイモ味は優しい甘さで、サトウキビ味はちょっと抹茶に似た味わいでした。

小豆、イチゴ、チョコレート、杏仁、ピーナッツなどの他、酵母味といった変わり種の味もありますよ。アイスクリームは30元、アイスキャンディは20元前後で購入できます。

2.虎尾糖廠鐵橋


工場の近くには、昔列車が走っていた線路がと鉄橋がまだ残されています。工場の入り口から歩いて3分ほどのところにある、虎尾糖廠鐵橋です。

線路が3本ある、不思議な鉄橋です。なんでも、貨物列車の他に台湾鉄道の車両も通れるように、3本のレールが敷設されているそうです。ちなみに、サトウキビ列車はもう少し手前で工場の方に入るので、この鉄道はとおりません。

みんな観光地点として、思い思いにフォトジェニックな写真を撮っていました。

虎尾糖廠鐵橋
632 台湾 Yunlin County, Huwei Township, 雲73-1鄉道

3.虎尾驛


驛は駅の旧字です。かつての虎尾駅は、駅の雰囲気を残したまま、現在は喫茶店として利用されています。

こちらでいただくことができるのが、サトウキビを使った、甘蔗咖啡(ガンジャーカーフェイ)です。

普通のコーヒーより丸みのある飲みやすい味なので、ごくごく飲んで気が付いたら飲み終わっていました。同じくサトウキビを使用して作られた蛋捲(卵ロールクッキー)と一緒にどうぞ。

ロールクッキーは普通の蛋捲よりふわふわした食感で、なんだか綿あめのロールクッキーを食べているようです。コーヒーの苦味にロールクッキーの甘さがよく合います。

この駅ですが、店内でコーヒーをいただくこともできますが。店の外にちょっとしたテラスのようなところがあって、そこでコーヒーを飲むこともできます。

このテラスの右前方に製糖工場があり、サトウキビ列車も通るので、タイミングがよければここのテラスからサトウキビ列車が工場に入っていくのを見ることもできますよ。

虎尾驛
No. 10, Zhongshan Road, Huwei Township, Yunlin County, 台湾 632

4.その他、製糖工場近くの観光スポット

製糖工場を出て右手の方をまっすぐ進んでいくと、最近宝塚で舞台化が決定した『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』などで知られる台湾の伝統人形劇、布袋戲(ブータイシー/台湾語、ポテヒ)の博物館である雲林布袋戲館(日本統治時代の台南州虎尾郡役所)、

これまた日本統治時代の建物を改装して作られた、雲林故事館、また両建物の向かいにある、昔の消防所を再利用して営業しているスターバックスなど、古の記憶を今に残す建物がたくさんあります。


雲林布袋戲館

雲林故事館


昔の消防署の建物を利用したスターバックス

少し離れますが、湧水閣やその向かいにある貯水塔、またさらに離れますが、金曜日のみ営業している虎雄夜市などもあります(私は土曜日に行ったため、夜市は開いていませんでした)。

虎尾へ来たら、ぜひ合わせて歴史散策もしてみてくださいね!

サトウキビと人とねずみのはなし

昔は台湾のそこここで運行していたこの列車、お年が少し上の年代の方に話を聞くと、子供の頃はあの電車からサトウキビをちょっと失敬していたのよね……なんて話を聞くこともあります。

なんでも、白砂糖の原料になるサトウキビは硬くて、黒砂糖の原料になる方は柔らかいんだとか。いたずらでしていたわけではなく、生きて行くためにだということですから、お話をしてくださった方の苦労が偲ばれます。

またサトウキビをちょっと失敬するのは、人間だけではありません。サトウキビの畑には田鼠(ねずみ)たちがやってきて、サトウキビを齧ります。糖分をたっぷり含んだサトウキビを食べるのですから、当然、そのねずみはプクプクと太ります。

その太ったねずみを人間が捉えて、どうするのかというとやっぱり食べるのだそうです(食べ物がサトウキビなので、街中のねずみと比べたら断然綺麗……らしい)。当然現在でも田鼠たちは存在していて、たまに人間に捕まったりします。食べるのかは……謎です。

この記事を書いた人

ほず

ほずライター/日本語教師

神奈川生まれの神奈川県育ち。大学の頃から中国語が好きで、2017年とうとう台湾に移住しました。新北市にある大学の言語センターで1年間中国語を勉強したのち、台湾で日本語の教師として就職を果たしました。
趣味は旅行と登山と古い建物巡り。交通手段がないなら歩けばいいじゃない、をモットーに、苦行のように歩き続けるタイプの観光をよくしています。主な燃料はコーヒーとミントです。

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