• こんな田舎におしゃれスタバ!コンテナの中でコーヒーが飲める「星巴克洄瀾店」に行ってみた | TRIP'S(トリップス)

    こんな田舎におしゃれスタバ!コンテナの中でコーヒーが飲める「星巴克洄瀾店」に行ってみた
    台湾

    チェーン店ながら、訪れる人に感じの良いサービスと美味しいコーヒー並びに飲み物を提供してくれる喫茶店、スターバックス。その服務態度の良さとコーヒーの品質、またどこの店舗を訪れても概ねおしゃれで落ち着いた雰囲気を味わうことができることから、ちょっと贅沢をしたいと思った時にはこちらのお店を選んで訪れるという方も多いのでは? そうしたブランディングからか、2019年1月段階で日本国内での店舗数は並み居るチェーン店の中で第1位、また台湾での店舗数も、2019年2月の段階で2位の85度C、3位の路易莎と僅差ではありますが、1位を獲得しています。

    またスターバックスといえば、リージョナルランドマークストアといって、デザイン性や地域景観との融合性、また歴史的建築物の保存と活用にこだわった店舗を展開しているのも特徴的です。有名どころでいえば、京都に築100年以上にもなる古民家を利用した店舗や、富山環水公園内にまるで公園の施設の一部のようなシンプルで美しい外観の店舗がありますね。

    こうした店舗は日本のみでなく、世界中で展開されています。もちろん、私が在住しているここ、台湾にも。

    こうしたストアは台湾では「特色門市」と呼ばれ、日本と同じく年々増えつつあります。2019年4月の段階で、古い建物を利用した店舗は台湾全土で8つ、周囲との融和性などデザインにこだわった店舗は全部で10あります。

    最近台湾東部の花蓮を尋ねることがあったのですが、花蓮にも一つ、面白い外観の特色門市があります。店舗の名前は「星巴克洄瀾店(スターバックス・ファーリェンベイ店)」。とっても面白いスターバックスだったので、ちょっとご紹介させていただきます。

    ソクたびソクたび

    星巴克洄瀾店にはどうやって行くの?


    星巴克洄瀾店があるのは、花蓮市内ではなくそのお隣の吉安郷というところです。というわけで花蓮市内からこちらの店舗へ行くためには、なんらかの交通手段を利用して店舗まで行かなければなりません。

    吉安郷には台湾鉄道の吉安駅がありますが、結論から言うと台湾鉄道は利用せず、花蓮駅から301番のバスに乗り、「光華樂活創意園區」というバス停で降りるのが一番便利です。というのも、吉安駅からはこちらへ直通するバスが出ていないためです(とはいっても301のバスも50分に1本程度しか出ておりませんので、よくよく時間を確認する必要がありますが)。

    こちらのバスに乗ると、花蓮駅から大体50分程度で目的地に到着することができます。

    もっと早く到着したい場合はタクシーなどを利用してもいいですが、花蓮はタクシー自体の量があまり多くないため、利用したい場合は電話でタクシーを呼ぶ必要があるのだと花蓮の知り合いが教えてくれました。試しにタクシー配車のアプリなども使ってみたのですが全然反応がありませんでしたので、中国語が話せない場合はホテルなどでタクシーを呼んでもらった方が早そうです。

    星巴克洄瀾店(スターバックス・ファーリェンベイ店)はどんなところ?


    節約できるところは節約したい私は301のバスを利用して、星巴克洄瀾店近くのバス停までやってきました。バス停の向かいには新天堂樂園という名前のついた華やかな色合いの建物があります。道路を渡って右手の方へ進んでいくと、そのすぐ脇にスターバックスの建物が見えてきます。

    星巴克洄瀾店は、白いコンテナを縦横に積み上げたような形をしています。絶妙なバランスで組み立てられた外観は、まるで真ん中を抜き取られたジェンガのようです。一体誰がこんな奇抜なデザインを考えたんだろう……と、調べてみたら、日本人の建築家、隈研吾氏のデザインでした。日本だとスターバックス太宰府天満宮参道店や、2008年にスターバックスのストアデザインコンテストで最優秀賞を獲得し「世界一美しいスタバ」の称号を冠したこともある富山環水公園店、また2019年に中目黒にオープンしたばかりのスターバックス リザーブ® ロースタリー東京の外装も、隈氏のデザインですね。

    横から見るとこんな感じ。

    裏手から見るとこんな感じです。ちなみに私が立っているこのエリア、ロータリー状になっています。一体なぜこんなところにロータリー? と思ったら、ドライブスルー用のロータリーでした。こうしたことからも花蓮が車社会化していることがよくわかります(そう、車がないと不便なのです……)。

    外観を堪能したので、店内に入ります。扉を潜ってすぐのところに注文カウンターがありますので、まずはこちらで注文を済ませます。私は朝の9時頃に訪れたので、朝ご飯代わりに抹茶咖啡(145元)と香料烤雞三明治(80元)を注文しました。特色門市とはいえ、メニューは一般の店舗と同じである模様です。

    飲み物と食べ物を受け取ったら、カウンターの奥の方にある階段から2階部分へと上がります。

    建物内部の壁も外観と同じくコンテナ特有の凸凹したもので、いかにもコンテナの内部にいる雰囲気を味わうことができます。

    場所によっては木目の板張りがされていたり、スターバックスの理念を代表するような単語とイラストが描かれていたりもします。写真のような絵柄が店内のあちこちに点在しているのですが、中には花蓮の原住民、阿美族の鮮やかな色彩をヒントに描かれているものもありますよ。

    一番人気の席はもちろん、コンテナの元は扉部と思しき所にガラスをはめ込んだ、外へにゅっと突き出た部分の座席です。大きなガラス窓の向こうには、青々とした海岸山脈の山並みが見えます。この風景を眺めながら何時間でもぼんやりできそうです。

    こちらの店舗自体が一種の観光施設のようなもので、多くのお客さんが訪れるため、訪れる時間帯によっては席の確保が困難になります。人気の席に座りたいのであれば、朝のなるべく早めの時間にお店を訪れるといいですよ。

    また、コンテナには時折イラストとは別に、なにやらおしゃれなペイントがされている箇所があります。イラストというか、文字のようなものが書かれています。ちょうど人がいたので正面から撮影できなかったのですが、写真右側に立っているお兄さんの背後に、文字のようなものが見えるでしょう?

    こちらはこのコンテナがどのように使われてここへやってきたのかという来歴を記録したものです。USはアメリカ、SAVはサバンナ港、BALはボルチモア港と思われます。
    遠いところからやって来て最終的には建物の素材になったことを思うと、各々のコンテナに思わず敬意を感じてしまいますね。

    なぜこの地におしゃれなスターバックスが建てられたのか?


    失礼極まりないこととは重々承知しておりますが、それでもやはり「どうしてこんな辺鄙なところにこんなデザイン性の高いスターバックスを建てたのか?」「もっと花蓮市区に近いところに建設したら観光客も訪れやすいし、便利だったのでは?」という疑問は拭えません。そうした疑問を花蓮人の知り合いに尋ねてみた所、下記のような答えが返ってきました。

    実はこのスターバックスの裏手にもう一つ、ちょっと他では見られないような変わった形の建物があります。建物の名前は洄瀾湾日出会館といって、まるで花蓮の山脈を薄くスライスして切り取ったかのような不思議な形をしています。

    この建物は何かと言うと、洄瀾湾日出山荘という大規模都市計画にて建築予定の建物のモデルルームだそうです。モデルルーム自体は比較的シンプルな形で規模もそんなに大きくないですが、実際の計画に沿って作成されたモデリング映像を見るとまるで街の中に山脈を建設するかのようになっていて、とても面白いですよ(中国語)。

    ではその洄瀾湾日出会館と星巴克洄瀾店にどのような関係性があるのかというと、実はこのスターバックスの建設も、洄瀾湾日出山荘の都市計画の一環であるのだそうです。おしゃれなスターバックスの周辺が今後どのような形に変貌を遂げていくのか、大変に楽しみですね。1年に1度は花蓮並びに星巴克洄瀾店を訪れて、その発展の様を見届けてみようかと思います。

    星巴克洄瀾店(Hualienbay)
    花蓮縣吉安鄉南濱路一段505號
    https://www.starbucks.com.tw/stores/special/stores_special_hualienbay.jspx
    営業時間 日〜木 9:00~21:00 金・土  9:00~22:00

    花蓮と日本の関係

    星巴克洄瀾店の英語の表記を見ると、スターバックス・ファーリェンベイ(Hualienbay)店となっています。

    ベイとは港のことで、つまりファーリェンベイとは花蓮港という意味ですが、実は現在の花蓮県は日本統治時代は「花蓮港市」と呼ばれていました。台湾鉄道に乗車して花蓮へ向かうと、花蓮の手前で中国語、台湾語、客家語及び阿美族の言葉で到着を知らせる放送が流れるのですが、阿美族語の放送の中に「カレンコ」という単語を聞き取ることができます。これは日本統治時代に花蓮に移住してきた日本人が「花蓮港」を「かれんこう」と呼んでいた名残だという話を、花蓮に住んでいらっしゃる日本人のガイドさんが教えてくださいました。また花蓮の隣駅の吉安も、阿美族語の放送では「ヨシノ」と呼ばれています。これも、吉安という土地が日本統治時代には「吉野」であった名残だそうです。
    車内放送でこれらの地名を聞くたびに、異国の地で日本語を耳にする嬉しさと、歴史の重みとがないまぜになった、なんとも言えない複雑な気持ちになります。それは決して嫌な感じではなく、ただどうしようもなく、日本人である私を惹きつけてやまないのです。

    花蓮はなにせ広い上に交通があまり便利ではないので(笑)、行きたいところへ行き尽くすには、相当な時間がかかりそうです。以降もゆっくりと時間をかけて、私を惹きつけてやまないこの地のいろいろなところを回って行きたいと思います。

    この記事を書いた人

    ほず

    ほずライター/日本語教師

    神奈川生まれの神奈川県育ち。大学の頃から中国語が好きで、2017年とうとう台湾に移住しました。新北市にある大学の言語センターで1年間中国語を勉強したのち、台湾で日本語の教師として就職を果たしました。
    趣味は旅行と登山と古い建物巡り。交通手段がないなら歩けばいいじゃない、をモットーに、苦行のように歩き続けるタイプの観光をよくしています。主な燃料はコーヒーとミントです。

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