ついに開通!ソウル駅を東西に結ぶ遊歩道「seoull7017」現地レポート!
韓国

(写真:韓国観光公社サイトより)

ソウル駅を東西に結ぶ遊歩道「ソウルロ7017」が2017年5月20日開通しました。「ソウルロ7017」の「ソウルロ」は「ソウルの路(=ソウル路)」と「ソウルへの路(=ソウル로(助詞の「へ」にあたる韓国語)」のふたつの意味をもっているんですって。

「7017」は「(19)70年に建てられた車の道を(20)17年に人の道にしたという意味。また、「17」はソウルの17の場所へアクセスする道路という意味もあるそうです。

そんなソウルの新たな観光名所「ソウルロ7017」を歩いてきました。

車の道から人の路へ

時は1970年。高度成長期の韓国ソウルは物流が活発になり、それと同時に交通問題も深刻になってきていました。500年の都であるソウルでは、旧市街から新市街へのアクセスの問題は急を要していました。

時の大統領とソウル市長は考えました。ソウル市内から物流のかなめであるコンドクまで、スムーズにアクセスできるようにしよう、と。そしてできたのがソウル駅の高架でした。

(ソウルロ7017公式サイトより)

工事は無事終了し、1970年5月、無事開通しました。

(ソウルロ7017公式サイトより)

それから40年ほど、この道は巨大駅「ソウル駅」の東西を結ぶ、車社会ソウルになくてはならないものとなったのです。

しかし、40年もたてば老朽化も進んできます。毎年、メインテナンスにメインテナンス、修理に修理を重ねてきたソウル駅高架道路でしたが、2006年、深刻な安全上の欠陥が発見!

市民の安全な通行のためには、もうこの高架道路は使用できないということになりました。そして2013年、「車の道」としてのソウル駅高架道路はその歴史を閉じました。

けれども、この道。どうにかして、活用できないか? 時代は「自動車都市ソウル」から「人の街ソウル」へ。市内をはしる「清渓川高架道路」も「ソウル市民の憩いの場・清渓川」へと変身している時代です。

そこから、高架道路の安全を補強し、安心して歩ける「人の路」として復活させる取り組みが始まったのです。

ソウルロ7017プロジェクトとは?

「ソウルロ7017」プロジェクトは「ソウル駅高架道路」という車の道を「ソウルロ7017」という人の路に変更するだけのプロジェクトではありません。

実はもっとずっと大きな地域活性プロジェクトの中心事業がこの「高架道路を遊歩道へ」という取り組みなんです。

世界の多くの都市と同じく、ソウルもソウル駅周辺地域の沈滞化・治安の悪化が見られました。ソウル駅の周りにはゲストハウスも多くそれらを利用する日本人観光客の姿もよく見かけます。が、正直あまりお勧めしたくありません。

また、興味深い街並みや史跡も多く楽しい場所ではあるのですが、韓国初心者という旅行者にはあまりお勧めしません。その理由は治安に不安があるからです。

ソウル駅の表側、新しい高層ビルはいいのですが、そのビル街のすぐ裏一帯、ソウル駅の裏側の地域一帯、ソウル駅のすぐ周り……。在住者であっても日が暮れてからは行きたくないところがたくさんあります。

ソウル市としてもここは頭の痛いところ。地域が沈滞すれば人は来なくなる。人が来なければさらに地域は沈滞する。地域が沈滞すれば治安は徐々に悪くなる。治安が悪いと噂になれば、よけいに人は来なくなる……。

こうした負のスパイラルを打開したい。これが、「ソウルロ7017」プロジェクトなのです。

「ソウルロ7017」は一大商経地域&観光名所である南大門市場が起点。そこから、ソウル駅、ソウル駅西側の諸地域(チュンリム洞、マンリ洞、チョンパ洞)へ、右から左、左から右に人が流れることによって、それぞれの地域の良さを体験してもらい、また、人が流れることによってそれらの地域が活性化する。それが真の狙いです。

散策開始


地下鉄4号線「フェヒョン(南大門市場)」駅。ここが起点になります。スタート地点は駅直結です。もちろん、市場との間には横断歩道もあるので、地上からアクセスも可能です。

ここが最東端。では、西へ西へと歩いてみましょう。コンセプトは「円形の空中庭園、空中植物園」らしいですよ。

コンセプトは「円形の空中庭園・空中植物園」だそうで、道のあちこちに植物が配置されていますが、すべて円形の花壇に植えられています。

公式グッズなどを売るお店もあります。お店のデザインも植物たちの鉢と同じく円形です。

一般公開をする芸術公園なども企画されます。公演用の舞台もありますし、何かの市民教室ができるような教室、カフェ、お土産物店なども散策路内に点在しています。

植物たちもそうですが、その他の施設も1つ1つきちんと管理・メインテナンスされています。子供向けのトランポリンや暑い日に涼を得る足湯ならぬ足を浸すプールなども毎日点検、掃除、管理を徹底しているようです。

散策路で見かけた市民たち。

円形に作られたベンチの上には円形の日よけ。円形の展望スペースに座りしばし車の流れを眺めるお2人。日々の忙しさから離れられる時間になっているのでしょうか。

「ソウルロ7017」観光記念に、ハイ・チーズ。

仲良しご夫婦さんもポーズとって記念写真を。開通してほぼ1か月ほどたった週末でしたが、ソウル市民の皆さんに愛されているようでした。

やはり昔は「ソウル駅高架」

もちろん、元「ソウル駅高架」であったという名残もちゃんと見られます。

下から見ると、人道橋らしからぬ表情が見えますし。

途中で切られているこの橋の先。在りし日の姿が思い浮かびます。

さらにこちら! かつての高架道路だった時代の鉄筋コンクリートも見えていますし、その中心部はなんと……

なんとなんと。下の道路を走る車の姿が見られます。ちょっぴりスリルも味わえます。

そのほかにも、西側には「マンリ広場」という広場があり、各種イベントが企画されるようですし、マンリ広場の南がわのほうには野外美術館といって路上にアート展示もあります。

ただ通るだけでも楽しいです。ソウル駅を真横から見るのもこの「ソウルロ7017」ならではですしね。

ソウルロ7017
ソウル特別市 中区 南大門路5街, 一帯(ソウル駅周辺)
公式HPはこちら

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの町歩きが大好きなネイリスト。ソウルの博物館、市場が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。

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