ソウルが最も美しい季節。それは秋。空気も凍る真冬のソウルも旅情があっていいですが、街歩きマニアには氷点下5度10度の冬のソウルは歩き欲を満たすには若干厳しい気候です。
そういう意味では、適度に暖かく、空気もきれいな晩夏から秋は最高のおさんぽ日和なのです。
寒暖の差の激しいソウルは紅葉がきれい
秋ごろソウルに来られた方は、朝晩の冷え込みに驚くことでしょう。日中、半そででもいいくらいなのに、朝晩はコートが欲しくなる。
それがソウルの秋です。その分、紅葉が鮮やかになります。秋散歩にぴったりの場所をご紹介しましょう。
黄色い北村(プクチョン)
韓国伝統家屋が連なることで有名な観光地「北村(プクチョン)」。ソウルに5つある古宮のうちの有名な2つ「景福宮」と「昌徳宮」に挟まれたエリアです。王宮の塀と銀杏並木。閑静な通りが黄色く染まります。
ただし、この銀杏。たくさんのぎんなんを落としますので、歩くときは、お気をつけて。
アクセスしやすい宗廟(チョンミョ)
メイン通りである「鍾路(チョンノ)」沿いにあるスポット。ここは、歴代の王様と王妃様の廟(位牌を安置しているところというイメージでいいかとおもいます)。
有料の施設ですが、料金所の手前側も広い庭になっていて、大通りに面した公園のようになっています。洗練された紅葉というより、どこか、田園風景の紅葉を楽しむような気分になります。
青瓦台近くの穴場
マニアな方にお勧めしたいのが西村エリア。北村エリアが「景福宮」の東側を指すなら、西側一帯は西村。
朝鮮時代王宮で仕事をする職人さんたちが住んだここは、今でも大統領官邸に近い独特の町です。庶民の生活の中に大統領や政府高官が自然に取り込まれている。そんな西村にある穴場を2か所ご紹介します。
1つ目は、青瓦台の入り口。
この先は大統領官邸なので、警備がしっかりしていて、どこか緊張感があります。が、同時にここは、この町に住む人たちの憩いの場。手入れの行き届いた広場は子供たちの遊ぶ声が響きます。
景福宮の城壁沿いにこの広場まで続く道は、北村と同じく銀杏並木。黄金色に染まった並木道の先にはよく手入れされた広場と、青い屋根と、そして、錦に染まる北岳山(プッガクサン)が見えます。
もう1か所は、西村の最西端。仁王山のふもとから王宮までが西村ですが、この仁王山に少しだけ登ったところに、渓谷があるんです。
まるで、朝鮮王朝時代にタイムスリップしたかのような、渓谷公園。
カヤグム(韓国の琴)の音色を楽しみながら酒を酌み交わす、昔の両班(ヤンバン:官僚)になりきって楽しみたいものです。
赤い紅葉なら汝矣島(ヨイド)へ
ソウル市内はとにかく銀杏が多いです。でも、あえてたくさんの紅葉を見たければヨイドをお勧めします。
ヨイドは、毎年春になると観光客がどっと訪れ「お花見大会」をするほどの桜の名所。大通り沿いには立派な桜の木が長く長く続いています。
ヨイドの中の団地の公園もご覧の通り。
ここは、さくらに限らず、全体的に赤っぽく色づく木が多いようです。
町中みんなが紅葉の名所
代表的な紅葉の名所は、宮殿周りや大学のキャンパスですが、そもそも気候が紅葉向けのソウル。町のいたるところに素敵な紅葉のスポットがあります。
刑務所資料館の裏にも……
なんてことない住宅の庭にも……
裁判所の庭も……
小学校の校庭も……
空が澄み切った秋のソウルの紅葉散歩でした。