世界で5番目に小さいサンマリノ共和国のたくみな独立戦略を見よ
サンマリノ共和国

世界で最も古い共和国―――そして世界で五番目に小さな独立国。いかにも秘境にありそうな肩書きですが、「サンマリノ共和国」はイタリアの中部、フィレンツェから日帰りできてしまう距離にある小国です。

この小さな国が群雄割拠の中世イタリアをいかにして乗り切ったのか? そして平和な現代でさえ独立を名乗る意味とは?

その答えは、全人類が大好きな「Tax Free」の一言に集結されているのです。

ソクたびソクたび

「とこしえに自由な国」 サンマリノ共和国

世界一小さなバチカン共和国に比べると若干知名度が落ちますが、「サンマリノ共和国」もまたイタリアの一地域にある小国です。その領土は、丁度山ひとつ分。

とんでもなく険しい山の上にそびえ立ち、これも過剰なまでに堅牢な城と城壁を持つ、質実剛健な城砦都市です。

早くも4世紀には人が暮らし始め、人里離れた辺境として修道院が建ったサンマリノ共和国。各地で戦争が勃発するたび、土地を追われた難民が集まり、城砦は一層堅牢になっていきます。

戦災の度に各勢力に睨まれはしますが、道の整備された現代でさえ麓から車で30分かかるような山奥。

城は立派でも険しい山は枯れた土地、攻め落とす労力のわりに得る物のない立地ということで、どうにか現代に至るまで独立を保ち続けました。

サンマリノ共和国は、避難民、難民に対して門戸を広く開いていた、世界有数の難民国家と言えるかも知れません。

絶対に無敵 過剰に堅牢な都市観光

麓の駅から延々と続く山道をバスで30分程、突如現れる巨大な城門サン・フランチェスコ門がサンマリノ共和国の国境です。

現在はフルオープンの城門、門番さんは観光客と写真を撮ったり案内をするのが仕事になっています。大変平和です。

坂道がうねる石造りの町並みは雰囲気たっぷりですが、迷う心配はありません。観光客は山頂にそびえ立つ城を目指して歩く事になります。

城と城壁は、塔を起点として大きく3つのパーツに分かれています。

一の塔グアイダは町中にある為、立ち寄りやすい立地です。登ればサンマリノの町と、それを取り囲む城壁が一望の下に見下ろす事ができます。

圧巻。山の険しさもさる事ながら、豊かなイタリアの大地を海の方まで見渡すことができます。

もし手に入れば麦食べ放題の平地は眺めるだけ。戦乱に惑わされる事なく山に篭っていたサンマリノの人々はなかなか質実剛健のようです。

世界遺産でもある、超攻め難く守りやすい鉄壁を写すなら、二の塔ケスタまで「魔女の峠」と呼ばれる城壁の上を歩いてみませんか。

両側は絶景ですが、城壁のがっしりした安定感のお陰であまり怖くはありません。

二の塔の内部は「昔の武器の博物館」になっており、剣や鎧、銃などの昔の武器が好きな方をワクワクさせてくれます。

無敵都市型アウトレットとしてのサンマリノ共和国

城砦と眺めを満喫したら、サンマリノ共和国の観光はひと段落です。

市庁舎や国立博物館、教会といった見どころもあるのですが、永遠の都ローマや野外美術館フィレンツェといったイタリアの名だたる芸術都市に比べると、ぱっとしないのも事実。と言うのも、サンマリノは独立権を保つため、近年に至るまで情勢が厳しくなるたびに金目のお宝を各勢力に譲り渡した歴史があります。

攻め込む事が難しい割には金目の物が乏しく、ますますサンマリノの平和は強固になって行くのでした。

しかし、この平和な時代、イタリアと言えば観光、観光には集客。

どう戦う資源に乏しいサンマリノ共和国!?というわけで、独立国家であるサンマリノ共和国は税制を自由に決める権利があります。来訪者数を増やすため、近代のサンマリノ共和国が産み出した強みが消費税ゼロ、Tax Free制度でした。

中世の香り高いサンマリノ共和国の大通り。その両脇に並ぶ通りは、時計屋、香水屋、鞄屋、靴屋……とあまり統一感のない、まさにアウトレットさながらの品揃えです。

よくみると、メイドインイタリーはもちろん、メイドインジャーマニーやスイスの文字も……メイドインジャパンもあります。ブランド物の大放出、まさにアウトレット。

しかし同じ製品でも、フィレンツェやローマとサンマリノ共和国では消費税19%の分、断然サンマリノ共和国で購入した方がお得になります。

観光客がお土産を買いに訪れるのはもちろん、イタリア人の訪問も多いサンマリノ共和国。その甲斐あってか景気も決して悪くはなく、これからもとこしえの自由は続きそうです。

パスポート無用! 簡単入国のススメ

中世は難攻不落、ここに骨を埋める覚悟の修道士や難民が上がって来たサンマリノ共和国ですが、もちろん現代においてはアクセスが整えられています。

最寄の電車駅はリミニ(Rimini)駅。フィレンツェ、ボローニャと言った都市から1時間30分~2時間程です。リミニからはほぼ1時間ごとに出発するバスでサンマリノ共和国に向かう事となります。

チケットはバス停前のキヨスクで購入する事ができます。

サンマリノ共和国行公共バス公式サイト

中世イタリアと言えば、戦争に次ぐ戦争、宗教と権力がぶつかり合う、華々しくも凄惨な歴史が魅力です。そんな中、何だかひっそりと独立を貫き続けているサンマリノ共和国、独特ですね。

『最古の共和制』を現代に残し、時機に応じて戦乱を避け続けてきたその姿勢こそ、生存のコツなのかも知れません。現代だと誰にでも嬉しい消費税無料を取り入れるところとか。

色々学ぶところのある共和国ですが、Tax Freeと聞いて心躍らない人はいませんね!

現代なら簡単に行けるサンマリノ共和国、イタリアの旅程にちょっぴり組み込めばお買い得間違いなしです。

中世ヨーロッパに日本刀は不可欠?

中世ヨーロッパを売りとする観光地に行くと、高確率でお土産屋に並べられている日本刀。ファンタジー好き勢は、時代設定と世界観がメチャクチャでは?考察警察からクレームが来るのでは?とハラハラしますね。
しかし、ヨーロッパにおける中世&ファンタジー大好き勢力とオタクは何故か被っている事が多く、騎士が好きな人はサムライやニンジャも好きなのです。そして子供はいつの時代も振り回せる棒が好きです。異国でもほっこりする眺めですね。
中世ヨーロッパに日本刀は不可欠?

この記事を書いた人

華酉

華酉ライター/中世マニア

北海道生まれドイツ暮らし。大学では歯学と宗教学を修めた為、いつ中世ヨーロッパに飛ばされても活躍できる逸材です。その特性を活かし、日系企業ドイツ支店のお堅い正社員として貿易に励んでいます。
訪れた国は30ヵ国以上、時の権力者に城を陥落されて北海道に逃げ延びたご先祖様の無念を晴らす為、より強い城を求めて各国を放浪中。いつ剣と弓の時代が訪れても良いように、皆様にも選りすぐりの歴史情報をお届けします。

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