窯元を訪ねる旅が面白い。実際に「小鹿田焼き」見学に行ってみました。
日本

私は九州の出身です。最近私は九州に帰る際、近くの温泉に行き、その時に窯元を尋ねるという旅行をするようになりました。窯元の人が大切に作っているものを見てみたいという気持ちや、手作りの一品を大切に使って食事を楽しみたいう気持ちが強くなってきたからです。大きな食器は買えませんが、小さなものをちょこちょこマレーシアに持って帰っています。

今回私が目的地として選んだのは小鹿田焼き(おんたやき)の窯元。小鹿田焼きについて、それほど知識があったわけではありませんが、行ってみてとても感動しました。小鹿田焼きの素晴らしさ、大分日田の澄んだ水の素晴らしさについて知ってもらえたら嬉しいです。

小鹿田焼きとは?

九州にはたくさんの温泉があります。また、至るところに焼き物の窯元があります。多分、以前中国や朝鮮との貿易の窓口になっていたのが九州だからだと思います。それで、大陸から伝わった文化が広まりやすかったのだと思います。有田焼は全国的に有名ですが、他にもたくさんの有名な窯元があります。その中の一つが小鹿田焼きです。

小鹿田焼きについて、実はあまり知りませんでした。見に行く前に調べたところによると、大分県日田市小鹿田地区に窯元がある小鹿田焼きは、福岡県朝倉郡周辺に窯元がある小石原焼きの分流窯なのだそうです。小石原焼きの特徴である飛び鉋が小鹿田焼きの特徴でもあったりと、共通点も多く見分けがつきにくいというのが一般的な消費者の感想だそうです。

また、一般的に小鹿田焼きは重厚なイメージ。逆に小石原焼きは、より普段使いしやすくしたカジュアルな要素もあるデザインというイメージでした。

そこを踏まえていざ、小鹿田焼きの窯元へ出発します。

小鹿田焼きまでの道には杉山が!

窯元へ行く道は山道です。日田の山はほとんどが杉の木になっていました。

日田の重要な産業のひとつである林業。12月になろうとしている時期に行ったのに、林業の仕事は続行中のように見える場所もありました。林業は季節の仕事。北海道ではとっくに植林が終わっている時期です。いや、それどころか山が雪に覆われて植林どころではない時期です。やはり暖かい九州は林業が行いやすい気候なのだと感じました。

ただ、スギ花粉症を持っている人はかなり大変そうですね。

小鹿田焼きの見学へいざ出発!

そうやって杉山を眺めているうちに、小鹿田焼きの窯元にたどり着きました。小鹿田焼きの窯元は本当に小規模で、細い一つの小道にすべての窯元が集結していました。

小道を登りきったところに駐車場があります。まずは、その近くにある日田市立小鹿田焼陶芸館を見て回ります。

昔ながらの小鹿田焼の焼き物の展示、歴史などについて展示されていました。昔も今も器を焼く時に使うのは杉の木ということも知ることができ、地元に密着している様子がうかがえます。

その後ついに窯元を見て回ります。

私は勝手にアトリエが集結している特別な様子を想像していたのですが、そこは日本の良い味が漂っている普通の民家の集まりでした。民家の一角に工場があり、そこで焼き物を作っているというとても興味深いものでした。その民家の庭には普通に洗濯物が干してあったりと、本当に家で生活しながら窯元を守っている様子が伝わってきました。

一つ一つの家の工場には、出来上がりの作品が少しずつ置かれており、購入できるようになっていました。また、これから焼く作品を家の庭で綺麗に並べて乾かしていました。

作品を規則正しく並べて乾かしている様子がとても美しくて印象に残っています。

お茶碗らしい形のものを見つけてどんなお茶碗ができるのだろうとか想像しながら、こっちまでワクワクしながら見ていました。

思わず見入ってしまう「小鹿田皿山の唐臼」

ひときわ目立っているのは水車小屋です。山から流れてくる日田の綺麗な水を使って臼を動かしていました。小鹿田皿山の唐臼というそうです。

大きな木の片方にくぼみが彫ってあり、そこに水が流れてきた水が溜まります。水がいっぱいになって重くなると木が跳ね返ってきて、その拍子に臼が動く仕組みです。

綺麗な水が流れる音がとても心地よく、しかも木が跳ね返るたびに響くポンッポンッという音がリズムカルでとても楽しく、見入ってしまいます。


天然の臼を使って細かく砕かれている土の様子も見ることができました。この土は日田の綺麗な土を使っているようです。

はじめはただの土の塊にしか見えなかったものが臼によって少しずつ細かく砕かれていきます。サラサラになった砂はオレンジがかったピンク色で、キラキラしていて、とても綺麗でした。

すべて自然の道具、自然の力を使っていて、電機は一切使っていない素敵な景色でした。後で調べたら「日本の音風景100選」に選ばれた風景なのだそうです! 私は九州の風景10選の中に入るのではないかと思いました。

伝統の技

作業場を一軒一軒回っていくと、窯元のそれぞれにデザインの特徴があることに気づきました。白と黒を使ったモダンなデザイン。白を貴重にした温かい雰囲気のデザイン。他の色も使った昔ながらの重厚な感じのデザインなどです。

そうして回っていると、作業場で作業している様子を窓越しに見ることができました。

職人さんがろくろを回すと土の塊があっという間に器の形になっていきます。職人さんの力の入れ加減、手先の動きなどで微妙に変わっていく形を見ているのはとても興味深かったです。さすが職人さん! プロの技です。


その隣にいるのは息子さんでしょうか? 同じようにろくろを回して器を作っていました。そして少し離れたところにいるのは職人さんの奧さんでしょうか? 色付けをしていました。


小鹿田焼きは弟子を取らずに長子相続をしているおかげで、昔からの伝統がしっかりと伝わってきているのだそうです。そんな貴重な一コマを窓越しから垣間見させていただきました。

土窯の作り直し

窯元のあちこちに窯があり煙がモコモコと立っていました。朝鮮系登り窯というそうです。

トラックが入ってきて燃料になるスギ素材を運んできました。本当に何から何まで地元の自然素材を使っています。

ある場所で窯の作り直しが行われていて、その様子を見学させていただくこともできました。石やレンガを積み上げ、隙間に粘土を引き締めていきます。黙々と行われているのはプロの技です。

プロの誇りをかけて作った窯に、プロの誇りをかけて作った器を入れて焼く……。なんか印象深いです。

気さくなお茶屋さんでほっこり

小鹿田焼きの窯元が集まっている道の端の方にお茶屋さんがありました。
中に入ると昔ながらの雰囲気のあるお茶屋さんで、お店の人が気さくに迎えてくれました。

出てきた器はもちろん小鹿田焼きです。
甘酒、そば粉、きな粉アイスクリームなどを食べながら、お店の人とおしゃべりを楽しみました。

お店の人によると、小鹿田焼きの美しい景色は人気の観光スポットになっているようで、海外からの観光客も多く大型バスに乗って訪れるのだそうです。そして、窯の作り直しはそう滅多に見れるものじゃないので、今回見られてよかったねと言われました。貴重なものが見れたのだということがわかって感謝でした。

素敵な一品に出会えるかも?

私は九州出身なのですが、小鹿田焼きの窯元がこんなに素晴らしい場所だったとは知りませんでした。なんでもっと早く来なかったのか……。

小鹿田焼器の窯元に実際に行くまでは、小鹿田焼きは重厚なものだと思っていましたし、実際にそう書いているサイトもありました。でも、実際に行ってみて、個人的には親しみやすい器がたくさんありました。洋食にも和食にも合い、どのテーブルコーディネートにも合わせやすそうです。

今回私は小皿で気に入ったものがあったら購入したいと思って探していたのですが、残念ながら見つかりませんでした。(後で知ったのですが、私が行った時期は大きなイベントがある直前の時期だったらしく一番品物が残っていない時期だったようです)

窯元の職人さんたちはイベントに向けて器を作っている真っ最中だったのでした。おかげで、フル回転している現場を見ることができてよかったのですが、次回は品物が残っている時期に行って、素敵な一品を見つけたいです。

日田市公式HPはこちら

小鹿田焼きを撮り忘れた!

小鹿田焼きの窯元がある道は、距離としてはそれほど長くありません。すぐに見て回ることができるはずでした。ただ、すぐに見て回ることができない私がいました。一つ一つ見入ってしまい、気がついたら当初予定していた時間より長くいました。それくらい素敵な時間でした。

小鹿田焼きの窯元が民家だったということも驚きでしたが、その民家を観光客に開放して伝統の作業を見せてくださっているということにももっと驚きました。窯元のみなさんの温かい気持ちに感謝して私たちはマナーを守りながら見学しないといけないなと思いました。

記事を書いている時に小鹿田焼きそのものを撮り忘れてしまったことに気づきました。ただの言い訳ですが見学に夢中になっていました。お茶屋さんで撮った写真が唯一の小鹿田焼きの写真です。これでイメージしてください(ごめんなさい)。

この記事を書いた人

yazu

yazu

九州出身です。 マレーシアに住んで7年目になります。マレーシアを拠点にして東南アジア周辺の旅行も楽しんでいます。 マレーシアでは夫と一緒に地元の人と同じ環境で生活しています。発展途上国ならではの思いがけないハプニングも満載の生活を毎日楽しんでいたら段々たくましくなってきました。 東南アジア旅行ではいろいろな文化の違い、食事、地元の人との出会いを楽しんでいます。 そんな中で、自分たちが経験したこと、感じたことを記事にしたいと思います。だれかが楽しんでくれたら嬉しいです。

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