パリならではのNUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュ)、体感しに来てほしい。
フランス

10月最初の週末の、眠らないパリ。今回は、土曜の日没から日曜の夜明けまでパリ全体がアートスペースになる百夜祭、”NUIT BLANCHE”(ニュイ・ブランシュ)をご紹介します。パリっ子だけでなく、世界各地からの観光客の愉しみにもなっている恒例イベントです。今年は10月1日の夜に行われました。

ベル・エポックの映画の世界みたいに光り輝くパリの夜

ニュイ・ブランシュとは?

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ニュイ・ブランシュは、ドラノエ氏がパリ市長だった2002年に助役の提案を採り入れて始められたもので、瞬く間にフランス全土に広がりました。15年目を迎える今では、欧州各地をはじめ世界各地にも定着してきていて、その数はさらに増えそう。パリの姉妹都市のひとつ・京都でも2011年から毎年行われるようになっているので、ご存知の方も少なくないかも。
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17世紀の建物さえ、今も外観はそのままに住まわれ使われているパリ。街並みが景観保護条例で規制されていて、建造物は界隈の空気を壊してはいけないので奇抜な色への塗り替えも禁止。店の看板まで、周りの雰囲気に合うような独自の色形に変えなくてはいけないほどなこと、ご存知ですか? よく知られたファーストフードチェーンなのにシックな店構えのパリ独特のスタイルなのは、そのせいです。

お陰で、空からパリを見下ろしたときに目にする放射線状に広がる旧い建物たちの佇まいは、まるで町の箱庭作品みたいに美しいままですよね。ニュイ・ブランシュは、そんな街並みを活かして、パリ全体をまるで美術館みたいに見立てて、街自体をそのままアートスペースにしています。各区各所に設えられる屋内施設のほか、通りの一角が、広場が、展示・イベント空間に。ひと晩かけても全部は周りきれないし、楽しみ方は人それぞれ。とにかくプログラムの数も趣も様々なんです。

フランス人の楽しみ方は?

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この夜のためにメトロやバスの路線のいくつかは終夜営業していますが、すべてを回りきることは難しそうです。最初にイベントが始まったころは今ほど数も多くなかったので、自転車で全ポイントを駆け巡ったという友人もいたものの、このごろでは予めプログラムで興味のあるものから選んでひとつかふたつ、あとは街の空気そのものを楽しみにしている人のほうが多いかも。私の周りでは、夕方、カフェやバー、誰かの家に集まってアペリティフ(食前酒)の時間を過ごしてから2~3ケ所廻ったり、ただ灯りに向かって散歩を愉しんだり、のんびり過ごす人が目立ちます。

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21世紀のアートスタイルや作品をふんだんに取り入れた都会的なイベントなので、空気感こそ少々違うものの、パリの街が光り輝く中さざめく人たちがそこここに溢れる様子は、映画でよく再現されているフランスのベル・エポックの夜の賑わいを連想させられます。旧い建物の連なる通りを歩いていると、ちょっとしたタイムスリップ感も。

では、そんなニュイ・ブランシュの、今年2016年の様子をご覧いただきますね。

行列嫌いのフランス人たちが、唯一我慢強くなる機会のひとつ

美味しいと評判の店でも、並んでまで食べに行きたくないという人が多いフランス。でも、絵画や写真などの期間限定の特別展や、無料で何かできる日は別。毎月・第1日曜日や歴史的建造物公開の日など、決められた日時に無料になる美術館・博物館・建造物に入るためには、わざわざ遠方まで足をのばすのも何時間も並ぶのも平気らしいのです。これは、いつも驚かされることのひとつ。

たとえば、こんな風に……。
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現代アート作品だけでなく、科学的な作品の展示や実験的なことを体験できる企画などもあります。プログラムで見かけて実際に自分の目で見たくなったリ、専門的な勉強をしている人たちなどにとっては、何時間待とうとも苦にならないんでしょうね。ツライ顔をして並んでいる人がいないのも、このイベントの特長。

一方私たちは、一期一会の彩りに包まれる街全体を堪能したくて、軽く食事を済ませて1ヶ所だけ展示を観に行った後は、ひたすら歩く時間を楽しみました。

Pont des Arts(ポン・デ・ザール)芸術橋自体がアートになる夜。

まずは、パリの夜散歩の王道・セーヌ河畔へ。ここ10年ほど、どんどん南京錠だらけになって景観的にも安全面でも問題になったPont des Arts (ポン・デ・ザール)芸術橋ですが、鍵はすべて撤去され、今年には新しい欄干に替えられてスッキリ。
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鍵を付けに来るカップルで溢れることもなくなってすっかり通行人の減ったこの橋に、本来の静かな空気が戻ってきています。対岸に見えるのは、L’Institut de Franceパリ学士院。
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そして、フランス革命後にマリーアントワネットが幽閉されていたという建物も、こんな風に幻想的にライトアップされています。

パリのアイコン、エッフェル塔

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エッフェル塔の夜のライトアップは1時間毎に5分間だけ、ダイヤモンドみたいに点滅を繰返します。
それでは、そのまま、セーヌ沿いにエッフェル塔の方向に向かってみましょう。段々、ベル・エポックというよりは21世紀スタイルが目立つようになってきます。

自然とカラダが揺れる音楽に包まれる

幾重ものブルーのサーチライトが照らし出す先にはステージが。もちろん、ここも一般開放されている無料のスペースです。
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近づいてみると、世界各国のメディアが取材する姿も。
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6月の夏至の長い昼を祝うFête de la Musique音楽の夜とはまた違う雰囲気だけれど、楽しみ方の基本は同じ。カラダが自然にリズムを取りはじめる自分に気づいて、可笑しくなる瞬間です。とにかくフランスでは、音楽と踊りはワンセット。フランス人のDNAに組み込まれているんじゃないかとも思える『音楽が鳴り出すとカラダを動かしだす』現象は、たぶん、この空気に包まれたら誰にでも起こること。

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踊りを好きな方もそうでない方も、ぜひ! 体感してほしい秋の夜です。日時は、10月第1土曜日、19時から翌7時です。

来年10月第1週はパリ、いかがですか?

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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