祀られているのは、ビン!?「カツゲン神社」で必勝祈願してきました。
日本

カツゲン神社

目指す勝源神社は、雪印メグミルク札幌工場敷地内に併設されている酪農と乳の歴史館の中。工場見学ツアーの待合室としても使われる1階PR室にあります。合格・必勝祈願の絵馬奉納やおみくじもある本格派で、まつられているのは受験や試合などの守り神。受験生や試合前のスポーツ選手などにじわじわと人気が出ています。

そして、こちらの守り神であるご神体は、「乳酸菌飲料カツゲン発売当時の瓶」……
何ともミステリアスな神社です。

命名は、縁起をかつぎ語呂合わせで


キットカットが売れるなど受験生応援ブームが高まりつつあった2005年当時、道内では「カツゲンを飲んで頑張ったから、合格した」と密かな都市伝説が誕生していました。

「だったら、いっそのこと!」とカツゲン発売50年を記念して札幌工場に神社を建立。「カツゲン=勝つ源(みなもと)」と縁起をかつぎ、漢字で「勝源神社」と命名しました。


そんな歴史を持つ神社。当初はミルク工場見学のルート上にありツアーに参加しなければ参拝できませんでした。しかしカツゲン発売60周年(2016年)を機に、札幌村神社の宮司による本殿遷座祭がおごそかに行なわれ、酪農と乳の歴史館ホールへと移設。今では予約をすれば何時でも誰でも参拝できるようになっています。

ご利益があったせいでしょうか、「こちらを参拝させていただいた息子が、大学に合格しました。」とお礼を言いに父親が訪ねてきたり、「おかげさまで資格試験に合格しました。」と喜びの声が届いたり。また、ジャンプ雪印メグミルクのメンバーもスキーシーズン前には監督ともども必勝祈願に訪れるのだそうです。

そもそも、カツゲンとは…


北海道内でしか販売されていない雪印メグミルクの乳酸菌飲料カツゲン。学校給食にも取り入れられていましたので、道産子なら必ず飲んだことがあるはず。

ルーツは、第2次世界大戦中に日本軍からの要請により開発、製造された「活素(かつもと)」。これは生水事情の悪かった上海で、傷病兵などに供給されていたお腹に優しい乳酸飲料です。数年間製造されましたが、原材料調達の困難さなどから製造中止に。それが十数年の時を経た1956年に、北海道で復活。活力の給源「雪印カツゲン(瓶入り40ml 5円)」として発売されます。

現在販売されているものは紙パック入り。時代のニーズに合わせ1979年にリニューアル、甘味も酸味もぐっと抑えめになったソフトカツゲンです。毎年受験の時期には限定で、お守り付きバージョンもお目見えしています。

なぜ、発売当初の瓶がご神体に?

発売当初のカツゲンの瓶には「活力の給源」と印字がされていました。時代とともに「古臭いのでは」と不評になり消えていったのですが、応援ブームが広がってくる中、ありがたい言葉だったと価値が再&急ブレイク。ここにきて、パワーフレーズを持つ瓶としてご神体へと昇格、森羅万象(しんらばんしょう)の神々の仲間入りを果たしたのです(笑)

神社があるのは、雪印メグミルク札幌工場敷地内の歴史館

北海道遺産にも選定されている札幌苗穂地区の工場・記念館群。その中に雪印メグミルク札幌工場と酪農と乳の歴史館は含まれています。また、歴史館内の史料は、国の経済産業省近代化産業遺産に登録されている貴重なもの。

こちらをじっくり回る工場&歴史館見学ツアー(完全予約制)は、ほぼ毎日(土曜、日曜、祝日、年末年始以外)開催されています。ツアーの最後にはメグミルクの試飲やチーズの試食もあるので、牛乳好きな方にはたまりません。

なお、受験生や試合が近い方、勝負の世界に身をおいている方へは、勝源神社への参拝だけでもお勧めします。まだ心に余裕があるうちに訪れてみてはいかが。一心不乱に拝んだならば、活力(勝つ力)のおすそ分けがあるかも知れません。なにせ、活力の給源さまが御座(おわ)すのですから。

雪印メグミルク 酪農と乳の歴史館
住所:札幌市東区苗穂町6-1-1
電話:011-704-2329
http://www.meg-snow.com/

この記事を書いた人

ちこ丸

ちこ丸調理師ライター

札幌在住の調理師ライター。名寄市生まれ札幌育ち。大学進学を機に首都圏で生活し、長く北海道から離れていましたが、最近Uターン。ふたたび札幌市民となったことで新たな北海道のよさが見えてきました。あふれ出る地元愛と好奇心、軽いフットワークを武器に、道内や札幌の魅力をレポートし、お伝えします。

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