2024年4月、奈良公園間近に本格的なジビエ料理を提供するジビエレストラン「じびえ井田」がオープン。どうやら新鮮なシカなどを食せるらしい。え? 奈良公園の近くでシカ!?
最初に断っておこう。奈良公園の鹿ではありません!
「じびえ井田」で食せる珍しいジビエを写真とともにご紹介します!
ジビエレストラン「じびえ井田」
「じびえ井田」は奈良公園近く、興福寺のすぐ南にオープンしたジビエレストラン。土地勘のある人なら誰しも思うはず。「まさか…、奈良公園のシカじゃあるまいな…」と。
私も心配して何度も「奈良公園のシカじゃないですよねっ!」と確認。ご心配なく。奈良公園のシカは神様の使いなので食べるなんて滅相もない!
「じびえ井田」ではシカやイノシシなど、食肉としてよく知られているジビエよりも、羆(ヒグマ)やアライグマ、カンガルー、穴熊、孔雀(クジャク)、ヌートリアなど、どちらかというと日本ではちょっとびっくりするような珍しいジビエが楽しめる本格的なジビエレストランなのです。
ホテル「セトレならまち」
「じびえ井田」をご紹介する前に触れておきたいのが「じびえ井田」が入るホテル「セトレならまち」の取り組み。
「セトレならまち」は、奈良の伝統技術やそれに携わる職人、その土地に根付く文化や歴史、食、自然に目を向けた、まさに近年活発に議論されている“SDGs”を体現したようなホテル。
今回「セトレならまち」が向き合ったのが、畑を荒らす“害獣”とされる野生動物たち。駆除された多くが廃棄されているのが現状ですが、その命をジビエとして美味しくいただくことで、未来社会の様々な課題の解決につながるのでは…という考えのもと、「じびえ井田」た誕生したのです。
ドキドキしながら店内へ
あらかじめHPでどんなジビエが出されるのかをチェックしていたので、恐る恐る店内へ。
ドリンクはそれぞれのお料理に合わせてナチュールワインが6種類用意されています。もちろんお好きなものをオーダーしてもOK。ドリンクはコース料金に含まれています。お酒があまり飲めない私は、飛鳥紫蘇ルビーをソーダ割で。
【羆、穴熊、孔雀、ヌートリア…】
まずは羆(ヒグマ)のスープから。まさか生きている間にヒグマを食べる日が訪れるとは…。いきなりハードル高そう(笑)
小さな肉片を一口…。あれ?イケる。全然臭くない!柔らかい!井田氏いわく、コンソメで味付けしているらしく、それがとっても美味しい!
そうそう。「じびえ井田」はわずか6席の特別空間で、井田氏とジビエトークをしながら楽しむスタイルなのです。井田氏がジビエを調理するのをカウンター越しに眺めながら、コースは進みます。
続いて「穴熊 孔雀 鹿」のプレート。アライグマも乗っていました。しかも穴熊はベーコンにされている…。でもこれまた脂身に甘みがあり美味。羆より穴熊のほうが野性味を感じます。つまり味にその動物の大きさや凶暴性は関係ない模様。
これまた「生きている間に孔雀を食べる日が来るとは…」と思ったのですが、衝撃の美味しさ! なんなら鶏肉より好きかも。「羽がなければ見た目は普通に鶏ですよ」と井田氏。うん…確かにそうかな…(笑)。ちなみにこの宮古島の孔雀は石垣島の孔雀より美味しいらしい。食べているものの違いでお肉の味が変わるらしく、この後ミカン畑を荒らす鹿を食べたら、先に食べた鹿よりもこころなしかフルーティーな気がしました!
ちなみに鹿は十津川の鹿です(奈良公園の鹿ではありません)。
こちらは奈良をかたどった陶器のプレートに乗せられたジビエバーグ。イノシシをベースにヌートリアやウサギが入っているそうですよ。
ジビエは今後ますます身近な食材に!
ジビエは、フランス語で「狩猟で得た野生鳥獣の食肉」のことで、貴族の伝統料理として古くから発展してきたヨーロッパの食文化です。日本ではまだ“農作物を鳥獣被害から守るために捕獲された副産物”のような位置づけですが、処理施設の充実や、美味しく調理する技術を持つ料理人によって、ますます注目される食材となりそうです。今後は身近な食材として食糧問題にも一役買いそうですね。
【じびえ井田】
奈良県奈良市高畑町1118(セトレならまち内)
TEL:0742-23-2226
HP:https://www.hotelsetre.com/naramachi/jibieida/