東京の雑踏の中で働く私を勇気づける、世界観を変えてくれた国「アイスランド」。
アイスランド

ブルーラグーン

私にはどうしても行かなければならない国がありました。学生の頃からずっと思いを馳せ続けて、やっとその国に行くチャンスとタイミングを得たのは、2015年の11月初旬。その国にとっては長い長い冬の始まりでした。
 
日本から行こうとすると途方もなく時間がかかるので、カナダに留学している間にその国へ行こうと心に決めていた私は、早々と航空券を取り、首を長くして出発の日を待っていました。なぜその国に行かなければならなかったのかというと、その国唯一無二の音楽フェスティバルにどうしても参加したかったからです。
 
私がその国に興味を持ち始めるきっかけとなったのは、あるバンドとの出会いでした。日本でもかなり有名で夏フェスなどにも出演しているので、知っている方は多いかも知れませんが、「シガー・ロス」という名のそのバンドのメロディは、当時インディー・ロックばかり聴いていた私にとって、あまりにも衝撃的でした。
 
幻想的で繊細な美しいメロディは一瞬で私を虜にしました。目をつぶると彼らの出身国であるその国の情景が目の前に浮かんでくるようでした。でも実際にはその土地に降り立つまで、その国の街並みが洗練されていること、自然があまりにも壮大で涙が出るほどに美しいことなんて知る由もありませんでした。
 
もうお気付きの方も多いかも知れませんが、今回は私の世界観を大きく変えた国、”アイスランド”の魅力に迫ります。

アイスランドってどんなところ?

まず日本からアイスランドへ行くためには、欧州経由で所要時間約17~21時間の長旅を耐え抜かなければなりません。ちなみに日本からの直行便はいまのところなし。ただそれだけの時間をかけてでも、行く価値のある国だといえます。
 
ヨーロッパの一部に属していながらも北大西洋にポツンと浮かぶ島国であり、独自の生態系や文化を持ったこの国ですが、何よりも魅力的なのはやはり溶岩の大地や果てしなく広がる氷河といった、他の国では見ることのできない広大な自然でしょう。
 
国の面積は北海道の約1.2倍、人口は約33万人で、独自の言葉を持ちますが、英語を流暢に話す人も多いです。鉄道はないですが、長距離バスやツアーを活用して様々な観光スポットへ行くことが可能です。
 
名前からして震え上がるほどに寒い気候を想像しがちなアイスランドですが、実は北海道よりも断然暖かいんです。首都レイキャヴィクの冬の平均気温は0℃前後、夏は12℃前後です。夏には完全に日が沈まない白夜がある一方で、冬には日中の数時間しか太陽の光がささない時期もあります。
 
世界平和度指数ランキング、または男女平等ランキングでトップに君臨する、世界でも数少ない夢のような国、それがアイスランドなのです。

ケプラヴィーク国際空港からアイスランドの首都、レイキャヴィクへ

空港サンドイッチ
2015年11月3日早朝、空港へ到着してまず最初に駆け込んだのは空港内のコンビニエンスストアでした。あまりに空腹だったため、レイキャビクに移動する前にどうしても腹ごしらえが必要だったのです。そして一口こちらのサンドイッチを頬張った瞬間に、衝撃が走りました。
 
一見普通のサンドイッチに見えるこちらの商品ですが、信じられないまずさだったのです。こんな普通のサンドイッチなのにこんなにまずいなんて……と、先行きが少し不安になりました。
アイスランド空港
こちらがアイスランドの空港の様子です。こぢんまりとしていますが、個人的にはシンプルで好きです。
 
空港からレイキャヴィクへのアクセスですが、Reykjavik Excursions社の「Flybus(フライバス)」が便利でおすすめです。こちらのバスは全ての到着便着後30~40分後に空港から出発します。また、インターネットでのチケット購入もできます。私はこちらのバスに滞在先のホステルの前まで連れて行ってもらいました。
 
※バスは乗客の滞在先である様々なホテルやホステルに停車します。乗り過ごしてしまわないように、レイキャヴィクの市内付近まで来たら、運転手のアナウンスに注意を傾けてください。私はバスで熟睡し、自分のホステルを通り過ぎてしまい、親切な運転手さんに私の滞在先だったホステルの前まで戻ってもらいました……。

レイキャヴィクの街並み

アイスランドカフェ
アイスランドカフェ
こちらは私が滞在していた格安ホステルのすぐ側にあった最高に居心地の良いカフェ「Reykjavik Roasters」。ここのクロワッサンは私がレイキャヴィクに滞在している間唯一おいしいと思ったパンでした。
 
私がアイスランドに行った時期はちょうど「ICELAND AIRWAVES」という音楽フェスティバルが開催されている期間だったため、レイキャヴィク周辺のホテルやホステルは満室状態。かくいう私もこのフェス目当てにアイスランドへ来たのですが、約1週間滞在するということもあり、宿代を節約することに。
 
私の泊まったホステルは衛生面でもあまりおすすめできないため、敢えてここでは名前を伏せさせていただきます。

「Reykjavik Roasters」
Brautarholt 2, Brautarholt, Reykjavík, アイスランド

アイスランドの街並みに感動……!

アイスランド街並み
アイスランド街並み
アイスランド街並み
アイスランド街並み
アイスランドの街並み
ホステルに荷物を置きレイキャヴィクの街中に繰り出すと、そこには絵本のような世界が広がっていました。私は一瞬でこの街に恋に落ちました。こんなにお洒落で洗練された街並を見たのは、生まれて初めてでした。街を歩く人も皆とてもファッショナブルで、しっかりとコーディネートされた洋服を身にまとった地元の子供たちはまるで天使のようでした。

食べ物は……なぜか変な臭い!?

アイスランドカフェ
アイスランドカフェ
最初の想像通りですが、アイスランドにいる間唯一困ったことは食でした。美味しそうなパン屋さんでパンを買っても、再度コンビニでサンドイッチを買ってみても、物価が高いわりに味はイマイチ。いや、イマイチならばいい方で臭いがキツくて食べられず、捨ててしまったものも多々ありました。
 
こちらは「Tiu dropar cafe」(現在は閉業してしまったようです)という人気のワッフル屋さん。何かの雑誌で評判を読んで、ここなら間違いないと思って入ったのですが、やはり私には臭いがキツかったです。
 
アイスランドの食べ物の臭いが異常にキツい理由を考えてみたところ、原因は蛇口を捻ると出る硫黄臭のする水なのではないか?という答えに行き着きました。どんなに食材が良くても、調理方法を工夫しても、調理をする際に水を使用しないで作れる料理なんてありませんから。皆さんもご存じの通りアイスランドは火山の国。これも仕方のないことなのかも知れませんね。
 
実はこの硫黄の臭いですが、段々慣れてきます。せっかくなのでそれも醍醐味と思って楽しみたかったのですが、私は食べ物に関しては神経質なほうなので最後まであまり食を楽しむことができませんでした。

レイキャヴィクのおすすめスポット厳選3選

「12 トナー」

トナー
トナー
トナー
こちらはアイスランドの音楽ファン必見の小さなレコード屋です。「ビョーク」や「シガー・ロス」がかつて通っていたというこのレコード屋ではコーヒーを飲みながらCDを視聴することができます。「シガー・ロス」のサインも発見!

「12 トナー」
Skólavörðustígur 15, 101 Reykjavík,アイスランド
公式HPはこちら

「ハットルグリムス教会」

ハットルグリムス教会
ハットルグリムス教会
こちらはアイスランドで一番大きな教会です。教会の名前はアイスランドの聖職者であり、詩人でもあるハトルグリムル・ピエトルソン牧師に由来します。塔の上までエレベーターで上ることができ、上からはダウンタウンが一望できます。
教会からの景色
晴れた日の教会からの眺めは見ての通り最高です。

「ハットルグリムス教会」
Hallgrímstorg 101, 101 Reykjavík, アイスランド
公式HPはこちら

「チョルトニン湖」

チョルトニン湖
チョルトニン湖
チョルトニン湖
チョルトニン湖
チョルトニン湖
レイキャヴィクの中心にある「チョルトニン湖」は、レイキャヴィク市民にとっても憩いの場といわれています。この周辺には古い建物の並ぶ旧市街や、国会議事堂、レイキャヴィク大聖堂などがあり、市内を散策するならば絶対に訪れるべき美しい景観を誇る場所です。

「チョルトニン湖」

アイスランド最大の音楽の祭典、「ICELAND AIRWAVES」!

アイスランドエアウェイブス
アイスランドエアウェイブス
DJ
憧れの音楽フェスティバルは、想像していた通りピースフルでありながらも独特の雰囲気を放っていました。オーディエンスのほとんどはヨーロッパの人で、このフェスに参加している人は皆ものすごくお洒落でした。音楽だけではなく、観客のファッションを見るのも楽しみの一つでした。
 
フェスの期間は5日間。もちろんアイスランドのアーティストが中心ですが、毎年このフェスのために国を跨いで駆けつけるアーティストもいるほど。
ハルパ
こちらが「ICELAND AIRWAVES」のメイン会場、「ハルパ」です。他にもいくつか会場があるのですが、全ての会場に徒歩で移動することができます。「ICELAND AIRWAVES」の開催中はレイキャヴィクの街中から音楽が聞こえてくるので、とても愉快です。そしてお祭り騒ぎは連日朝まで続きます。
 
私も毎日明け方までDJイベントやライヴ観賞を楽しんでいましたが、アイスランドのすごいところは女性が1人夜中の街を徘徊していても、全く危険がないことです。アイスランドの治安の良さは、確実に日本以上でした。会場で仲良くなったイギリス人のグループと一緒に会場を回ったりと、とにかく楽しかった記憶しかありません。
ハルパ
ちなみに昼間に「ハルパ」を見るとこんな感じです。デンマークのへニング・ラーセンという建築家が設計したというこちらの建物は栄えある賞も受賞しており、とても斬新で近代的です。コンサートの他に国際会議場としても利用されているようですが、観光スポットとしても有名なようです。

「ハルパ」
Kalkofnsvegur, 101 Reykjavík, アイスランド

この旅最大の贅沢、「Northern Light Inn」に泊まって「ブルーラグーン」とオーロラハンティングを楽しむ

まずは「Northern Light Inn」を偵察

ノーザンライトイン
ノーザンライトイン
アイスランド一人旅も終盤にさしかかってきたところで、悩みに悩んだ末に最後の一晩だけ少し奮発してグレード高めの「Northern Light Inn」というホテルに泊まることに。こちらのホテルですが、空港近くに位置しており(空港までの送迎あり)、「ブルーラグーン」という有名な温泉施設もすぐ側にあります。
 
更にホテルの名前通り(Northern Light=オーロラという意味)、オーロラハンティングには最適な場所として知られており、この時期にもなるとオーロラを見るためだけににここに泊まる人も沢山いるのだとか。オーロラといえばカナダのイエローナイフやフィンランドなどの極寒の地をイメージする方が多いと思いますが、実はアイスランドは国土全体がオーロラベルトの下に位置しているのです。
 
つまり冬にアイスランドを訪れれば、オーロラツアーなどに参加しなくてもオーロラに遭遇できるチャンスがあるということになります。こちらのホテルでは宿泊する日の夜のオーロラ予想などを提供してくれる上に、希望すれば寝ている間にオーロラが出たらアラームのようなもので起こしてくれます。
ホテルロビー
ホテルロビー
ホテルロビー
ホテルはゴージャスという雰囲気とはほど遠いですが、とてつもなく居心地が良かったです。
オーロラハンティング部屋
こちらはオーロラハンティングができる部屋。寒さも凌げて完璧です。
ホテルレストラン
ホテルレストラン
ホテルのレストランもかなりいい感じでした。

「Northern Light Inn」
Norðurljósavegur 1, 240 Grindavik, アイスランド
公式HPはこちら

温泉好きの筆者が衝撃を受けた世界最大規模の露天風呂「ブルーラグーン」

ブルーラグーンへ
ホテルの偵察も済んだことだし、準備万端で「ブルーラグーン」へ! 温泉までの送迎もホテルの人が快く引き受けてくれたので、とてもありがたかったです。
ブルーラグーン
ブルーラグーン
えっ、これが温泉? 正確には温泉の入り口付近の写真ですが、実際温泉の中もこんな感じでした。もはや温泉というよりは湖です。大の温泉ファンである私は高鳴る気持ちを抑えきれません。
ブルーラグーン
入り口は細い小道を少し歩いたところにありました。お値段は当時から少し高めだった記憶がありますが、今は一番安いスタンダードなプランでも日本円で約5,500円。夏の期間は更に値上がります。うーん、なかなかいいお値段です。
溶岩
溶岩
溶岩
溶岩石に囲まれたこちらの温泉ですが、隣接するスヴァルスエインギ地熱発電所が汲みあげた地下熱水の排水を利用して人工的に作られたものだそうです。
 
広さは競泳用50mプール4つ分。深さやお湯の温度も場所によってかなり変動がありました。基本的には38℃前後に温度調整をしているということですが、外気も冷たく露天風呂なので個人的にはもう少し温度を上げてもいいのでは?と思いました。白濁したミネラル分豊富な温泉には皮膚病治癒の効果があるということで、皮膚の弱い私にとっては嬉しい情報でした。
 
更に温泉内にはオリジナルの泥パックが設置されており、こちらは塗り放題です。入浴中に顔面泥だらけの人に沢山遭遇しました。私は利用しなかったので効果のほどは分かりませんが、口コミでは相当人気なようです。
 
それと驚くべきことに、温泉内にバーがあります。温泉に浸かったままの状態での注文、飲酒が可能。メニューにはもちろんソフトドリンクもあります。私は普段熱いお湯に浸かっているので、「ブルーラグーン」はぬるすぎてビールを飲む気にはなれず。それでも大自然の中にある夢のような温泉はとっておきに気持ち良く、プカプカと浮かびながらアイスランドの夜空を見上げていました。
 
運が良ければ温泉からもオーロラを見ることができるということで、夕方に出かけて約4時間ほど滞在しましたが、オーロラが温泉に浸かる私の頭上を舞うことはありませんでした。

「ブルーラグーン」
公式HPはこちら

オーロラハンティング

ロブスター
ホテルに戻るとホッと一息つく間もなく、レストランの予約の時間に。アイスランド最後の夜だから思いっきり贅沢したいという気持ちと、高いものを頼んで失敗したらどうしようという不安とが入り混じり、葛藤した挙げ句思い切ってロブスターをチョイス。なんとこちらのロブスターですが、ほっぺたが落ちるほど美味しかったです。
 
泊まり客の多くがアジア人ということなので、アジア人向けの味付けになっているのかな?と思いましたが、とにかくこのホテルのレストランの料理のクオリティは私の知る限りではアイスランドでダントツ1位です。最後の晩餐が完璧だったので、それまでの食事がまずいという思い出は記憶の中から消し去ることにしました。
バー
夕飯を食べて部屋で少し横になるものの、オーロラの存在が気になりいても立ってもいられない私は、すぐにロビーに移動。ロビーでオーロラの出番を待っている台湾人グループと一瞬で意気投合し、一緒にロビーでオーロラが出るのを待つことに。
 
この日は長い夜になったので、ロビーに隣接しているセルフバーでお酒を飲みつつ、出ては消えるオーロラを何度も楽しみました。オーロラには明るさのレベルがあるようですが、私が見たのはかすかな緑色だったので、想像していたような大きな感動は得られませんでしたが、オーロラを見ることができてラッキーでした。
 
※オーロラを写真に収めるのはとても難しく、私のカメラでは撮影することができませんでした……。

さようなら、アイスランド

朝食
この日は一睡もすることなく夜が明けました。バイキング形式の美味しい朝食をいただきホテルの周りを散歩していると、あっという間に空港へ行く時間に。
アイスランド空港
2015年11月11日、約1週間のアイスランドの旅を終えた私は、留学先のカナダへと帰っていきました。またここへ戻ってくる日を夢見て飛行機に乗り込んだ私は、自分の未来に無限の可能性を感じていました。

アイスランドの旅を終えて

この国では見るもの、感じることが全て新鮮でした。自然も人も動物も、全てがまるで一つの大きな家族のように共存していました。アイスランドは名前には似つかわしくない、とても心温まる国でした。食べ物のまずさなんて気にならないぐらい、素敵な国です。
 
もしも世界中がアイスランドのような国ならば、戦争も起こらないし環境破壊問題に頭を抱えることもないんだろうなと思います。私は今大分時間が経過してからアイスランドの旅を回想しているわけですが、そのとき見た光景を一つひとつ鮮明に覚えています。
 
そしてそのときの記憶は現在東京の雑踏の中で切磋琢磨し、クタクタになりながら働いている自分に勇気を与えてくれます。疲れたときにふと想像してみます。東京はとてもせかせかしているけれど、きっと地球のどこかではオーロラが揺らいでいて、地球は今この瞬間も息吹をあげている、と。そのことを意識できるかできないかで、人生の深みが変わってきます。
 
本当の心の豊かさとは、そういうことだと思うのです。

想像を超える感動を与えてくれる国、アイスランド

見るもの、触れるもの全てが新鮮だったアイスランドの旅。皆さんに伝えたいことがあまりにも多すぎて、要点を掻い摘んで書くのがとても難しかったです。悔しいなと思うのは、友人にアイスランドに旅行をしたことを伝えると大抵「へぇ、レアなチョイスだね」とか「寒そうだね」のひとことで終わってしまうことです。
 
それもそのはず、ネットを駆使してもアイスランドの詳しい情報を収集するのは困難で、日本人にはあまり馴染みのない国なのかも知れません。
 
近年はテレビや雑誌でアイスランドが取り上げられることが増えてきたので状況は変わりつつありますが、少しでもアイスランドに興味のある方には自分の目で見て、ちゃんと確かめて欲しいのです。そこにはあなたの想像を超える感動的な世界が広がっていますよ!

この記事を書いた人

Makiko Suga

Makiko Suga海洋生物の素人スペシャリスト/動物&自然オタク/世界中の秘境地&穴場スポットマニア

幼少期に有名なイルカの研究家と運命的な出会いを果たす。以来海洋哺乳類に魅せられ、海洋生物学者への道を志すが挫折。その後は海洋生物とは無縁の生活を送っていたが、2015年に海洋生物の宝庫であるカナダに留学。あるイルカとの出会いが自分の人生を変える。子供の頃の夢を追い続けながら世界に目を向けている永遠の旅人。得意分野は自然、動物関連だけにとどまらず、多岐にわたる。

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