鉄道に乗るためには鉄道の駅に行き、地下鉄に乗るためには地下鉄の駅へ行く。バス停ではバスを待って、道端でタクシーをつかまえますよね。では、自転車に乗るためには……?
札幌の街では、ポロクルポートに向かえばOKです!
今回ご紹介したいのがシェアサイクル「ポロクル」。ポロクルは簡単な手続きを取るだけで、市内に40箇所ほど設置された、「ポート」と呼ばれる専用の駐輪場からすぐに利用することができます。
ポロクルはいわゆるレンタルの自転車ではなく、借りた場所に返す必要のないシェアサイクルという交通手段。各ポートからポートまでを、自転車に乗って自在に移動することが可能です。
2011年に誕生したこのポロクル。利用会員は、2016年現在1万人を超え、年ごとに街に根付いた市民の足になりつつあるそう。会員契約のほかに、1日や数時間単位で利用できるプランも用意されているので、観光にももってこいの自転車なんです。
どこで借りられるの?
札幌市内の観光で自転車を使いたい人におすすめなのが、「1日パス」と「15時パス」。これらは、「ポロクルカウンター」から申し込みができます。地下鉄大通駅からすすきの方面へ向かうと見える「日之出ビル」の9階へ向かえば、そこが「ポロクルカウンター」。
▲大通のTSUTAYAの手前に入口があります。
▲カウンターはコワーキングスペース「ドリノキ」内に。
カウンターでは申込書に必要項目を記入し、身分証明書を提示します。するとポートからポロクルを借り出す鍵となる「ポロクルカード」を受け取ることができます。
「15時パス」はこのカウンターのみでの販売ですが、「1日パス」は提携ホテルや観光案内所などでも購入可能です。宿泊施設に問い合わせてみると、よりスムーズにポロクルを利用できますね。利用時間や料金の概要は、以下の通りです。
1日パス → 1080円(貸出から24時間利用可・21:00~翌7:30を除く)
15時パス → 540円(15時~21時)
(2016年11月4日現在・公式HP)
乗り心地は快適!
▲「ポロクルカウンター」最寄りの「道銀ビルディング」のポート。
ポロクルのポートはこのような外観です。写真を撮影しているあいだにも自転車を返しに来る人、乗り込んでいく人がちらほら……。カウンターでもらえるサイクリングマップには、市内の主要スポットを巡るモデルルートが紹介されているので、地図を見ながらすぐに出発することができます。
ほかにもHPで動物園で有名な円山方面を巡るルートなど、いくつかのルートが紹介されていたので、中島公園を散策するルートを選んで出発することにしました。
走り出すと、さわやかな白の車体とキビキビかかるブレーキに、さっそく気分がはずみます。サドルと前輪をつなぐ部分が低く、乗り降りが楽にできたり、大きなカゴに荷物がすっぽり収まったり……小さな快適がゆきとどいていることは、ポロクルに乗ってみるとわかるはず。
「道銀ビルディング」のポートから駅前通りをまっすぐ南へ走ること約10分で中島公園に到着です。
「PIT」を活用しよう
10月末の中島公園は紅葉もそろそろ終盤を迎えようとしていました。中島公園は川沿いの水辺とあふれる緑、さまざまな文化施設が揃った札幌市民の憩いの場です。コンサートホールKitaraをはじめ、道立文学館、札幌市天文台、国指定重要文化財である日本庭園や豊平館など、見どころが目白押し。
▲豊平館は開拓時代に明治政府が建てた洋風のホテルです。
▲札幌市天文台。晴れていれば昼間でも望遠鏡をのぞかせてもらえます。
公園内だけでなく、周辺には直木賞作家の渡辺淳一文学館、札幌護国神社や伊夜日子神社といったパワースポットもあり、寄り道をする場所には困りません。歩いてまわるには少々広いこの公園も、自転車でまわれば隅々までのんびり散策することができます。
また、ポロクル利用者は、ポートのほかに「PIT」という停車スポットも活用してみましょう。ポロクルPITとして登録されている施設や飲食店では、割引などの特典が利用できることも。さらに、登録している会員は、滞在しているあいだ、利用時間がカウントされません。
中島公園に行くならおすすめなのがこちらの「MARUMI COFFEE STAND NAKAJIMA PARK」のPIT。おちついた雰囲気の店内では、入った瞬間からコーヒーの香りに包まれます。休憩に一杯いただくと、薫り高く熱いコーヒーは全身に沁みわたるおいしさでした。もげてしまいそうなほどかじかんでいた指の先までがあたたまります。
こちらでは飲み物のほか、ワッフルなどの焼き菓子も提供されており、小腹を満たすこともできます。
軽食の持込やテイクアウトの利用も可能だそう! 散策のお共の調達に、休憩に、ぜひ足を運んでみてください。
利用期間にご注意を
ポロクルの利用期間は例年4月の下旬から10月末までとのこと(理由は言わずもがな、降雪すると自転車が使えなくなるから)。半年ほどは利用できなくなってしまうので、注意が必要です。
今回の取材は晩秋の紅葉のなか行いましたが、自転車の散策は、新緑の季節も、夏の盛りも、四季折々の自然が楽しめるのが魅力だと感じました。<
さらに、途中で天気が悪くなってしまったり、寒さや疲れを感じたりしたときでも、自転車をポートへ返せばほかの乗り物で移動することができるのはポロクルならではのメリット。
ちなみに、冬のあいだのポロクルたちはどうしているのか事務局の方に質問したところ、ポロクルだけでなくポートも移動(!)して倉庫にしまっておくのだとか。実は、長い冬のために、ポートはあらかじめ可動式に設計されたのだそうです。雪国札幌ならではの、街に密着した工夫がなされた交通機関なのですね。