みなさんは旅先でどんな過ごし方をしますか? 名所やパワースポット、美術館巡りに食べ歩き、そしてショッピングなどなど、様々なキーワードを旅の中に織り込みたくなりますよね。
中でも世界遺産に足を運ぶことを必須にしている方も多いのではないでしょうか。世界が認めた名所を実際に目の当たりにする体験は、思い出に残るものです。
ベトナムの世界遺産はと言うと、現時点で合計8か所が登録されています。さらに、その半数が何とダナンからアクセスが可能な中部地域に集中。今回は中部の世界遺産を全て回った筆者ユルワの経験をもとに「短い日程で効率よくダナンから世界遺産へアクセスする方法」をお伝えしたいと思います。
中部ベトナムの世界遺産とは?
ベトナム、そしてダナンは現在世界中から大注目の人気観光地。そのためユルワの周りにも興味津々な人たちが多いのですが、具体的にどんな見どころがあるのかは、ホイアンやフエを除いてあまり知られていないのが現状のようです。
冒頭で述べたように中部地域には世界遺産が4か所も点在しておりプランのあり方次第では充実度が高くなります。そこで、限られた休暇日数の中で効率よく周遊するには、「何があるか」と「どこにあるか」をあらかじめ押さえておく必要があります。
何があるの?
ダナンが位置するベトナム中部地域の世界遺産は以下の通りです(カッコ内は登録年)。
古都ホイアン(1999)
ダナンから最も気軽に足を運べる世界遺産が、貿易港として栄えた古都ホイアンです。ホイアンの街並みの美しさはもちろんですが、その歴史的な背景を学んでから赴くと感動もひとしお。
現在のベトナム主要民族のキン族の時代よりも前にベトナム中南部地域を支配していたチャム族の王国の時代から、ホイアンは海のシルクロードの中継点として栄えていました。ホイアンについて詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
ミーソン聖域(1999)
その昔、中部から南ベトナムはチャム族のチャンパ王国が栄えており、このミーソンを聖域として、王族たちはヒンズー教の寺院を建立しました。お隣のカンボジアのアンコールワットのような壮大さはありませんが、レンガ造りの精巧な建築様式は独特な美しさをたたえています。
ミーソン遺跡を訪れる価値としてもう1つ挙げるとすれば、今に残るベトナム戦争の爪痕でしょうか。戦時中北ベトナム軍(解放軍)がこの地を基地としていたため、米軍による空爆を受けました。そのため今でも空爆によりがれきの山と化した遺跡や、地面に大きく空いた穴が残されています。
フエの建造物群(1993)
フランス支配下以前の最後のベトナム王朝「グエン朝」の王都がフエに置かれていました。フエはよく「京都のような町」と譬えられていますが、実際に街中を歩いてみると王宮のほかに由緒ある寺院、伝統校と言った歴史的建造物が目立ちます。
主な見どころは何といっても街中に鎮座するグエン朝の王宮や郊外に点在する歴代の王の帝陵、そして天女伝説で有名なティエンムー寺院などです。
フォンニャーケバン国立公園(2003)
「フォンニャー洞窟」とも呼ばれることも多く、近年では訪れる人の数も増えつつある自然系の世界遺産です。洞窟へボートで入っていくのですが、長い年月をかけて生み出された巨大鍾乳洞が、神秘的で美しい世界を創り上げています。個人的には中部の世界遺産の中で1番のお気に入りでもあります。
ただし、9~11月の雨季の間は水位が上がることから、フォンニャー洞窟は閉鎖されるため、あらかじめ現地の状況を確認して計画を立ててくださいね。
それから世界遺産には登録されていないものの、観光客から絶大な人気を誇る「天国の洞窟」もぜひ訪れてほしい場所です。こちらはアジア最長規模の洞窟を自らの足で進んでいけるので、探検気分が味わえます。
どこにあるの? 地理的条件を知る
以上ダナン周辺の中部地域の世界遺産を簡単にご紹介してきましたが、お次は旅のプランに必要な地理的条件を押さえていただきたいと思います。まずはダナンからそれぞれ車での所要時間をまとめてみました。
・ホイアン(1時間弱)
・ミーソン(2時間強、ホイアンからは1時間ほど)
・フエ(3時間)
・フォンニャーケバン(省都ドンホイまで5時間)
4つの世界遺産を地理的に分けるとダナンから南方向にある「ホイアン・ミーソン」と北方向にある「フエ・フォンニャーケーバン」との2つのグループに分けられます。
残念ながら4つの遺産を1日で回るのは不可能ですが、グループごとに足を運べば短い日程で3つ、うまくいけば4つ全てを制覇することができます。というわけで、世界遺産観光にかかる日数を「2日間」と「4日間」に分けてモデルプランを考えてみました。
(あくまで観光にかかる日数の目安であり、ダナン発着日や滞在日数、およびそれぞれの移動時間、交通機関の遅延等は想定していません)
2日間で「歴史探訪コース」ホイアン&ミーソン&フエ
世界遺産観光に割ける日数が2日間しかなければ、駆け足にはなりますが2日間あれば3か所を見て回ることが可能です。その場合、2つのオプショナルツアーを申し込む必要があります。1つは「ホイアン&ミーソン」、そしてもう1つが翌日の「フエツアー」のいずれも1日バスツアーとなります。
なお、ミーソン遺跡単独のツアーを申し込もうとしても大抵はホイアンとコンボになっていますので、2か所はセットで考えたほうがいいでしょう。
英語ガイドで問題なければ現地の旅行会社でリーズナブルに申し込めますが、日本語ガイドを希望する場合はダナンにも進出している旅行会社もあるので、多少割高になりますがご安心を。
夜のホイアンを楽しみたい場合は、ホイアンでツアーから離脱し、夜のホイアンを楽しんだ後に自力でダナンの宿泊先へ戻る方法があります。その場合は、戻る足を確保する必要が出てきますので、ツアー内容などをあらかじめ旅行会社などで確認をしておくことをお勧めします。
ホイアンの街の流しのタクシーでも交渉次第ではダナンまで走ってくれます。値段の目安は、ダナン市内の場所にもよりますが、450,000~500,000ドン(約2,300~2,500円)程度です。
そして次の日は一路北へ走り、フエへと向かいます。ユルワが利用したのは現地旅行会社で英語ガイドの混在ミニバンツアーでした。シーズンによって値段は変動しますが、900,000ドン(約4,500円)でフエのカイディン帝陵、王宮、王宮風レストランでのランチ、ティエンムー寺、お土産屋を1日で回ってくれたので、お得感満載でした。
フエの「これだけは行っておきたい」最低限のスポットを効率よく回って、夕方5時ごろにはダナン市内に戻ってくることができるので時間がない旅行者にはお勧めです。
最低でも4日は欲しい中部世界遺産制覇コース
見出しを読んで「どうして3日じゃないの?」と思った方もいらっしゃると思います。実は上のコースで触れていない世界遺産が1つ残っていましたね。そう、「フォンニャーケバン国立公園」です。
実はフォンニャーケバンはフエから更に車で北へ約2時間半ほどのドンホイという街の郊外にあるため、ダナンからの日帰りは非常に難しいのです。ダナンからだと高速バスで5時間かかるため、夜中にバスか鉄道で移動するか、もしくはフエで1泊してそこからツアーで行く方法を取ることが多いです。
ちょっとややこしいので、具体例を使ってご説明しますね。
例1 弾丸3日間コース
Day1:ホイアン&ミーソン
Day2:フエ(フエ泊)
Day3:フエ発フォンニャーケバンツアー(フォンニャー洞窟のみ観光が多い)
例2 ちょっとゆっくり4日間コース
Day1:ホイアン&ミーソン
Day2:フエ(ダナン/フエ泊)
Day3:移動日(ダナン/フエ→ドンホイ、ドンホイ泊)
Day4:ドンホイ発フォンニャーケバンツアー(フォンニャー洞窟&天国の洞窟)
移動に時間を取られるため、例1(フエ発)だとフォンニャー洞窟しか見ることができません。まれに天国の洞窟と併せた弾丸ツアーもあるようですが、洞窟の中を駆け足で回るのでゆっくり見たい方には不向きかも。
そうなると例2のようにドンホイに泊まって、翌朝終日ツアーに参加したほうが却って効率も良く、充実した1日になると思います。ツアーの後の夜に、バスまたは夜行列車でダナンに戻ってくる方法があります。
ちなみにユルワが赴いたときは例2よりさらに時間をかけました。ダナンからシンツーリストのバスでフエに入り、1泊して翌朝鉄道でドンホイへ移動。その翌日に終日2か所を訪れるツアーに参加して洞窟の美しさを堪能しました。個人的にも時間はかかるけれどドンホイ泊の例2を強くお勧めしたいと思います。
帰りはツアーの翌朝長距離バスで一気にダナンまで戻りました。時間的な余裕がある方には、ユルワと同じ「もっとゆっくりコース」もおススメです。
いずれも世界遺産観光にフォーカスした日程なので、ダナンでの滞在日数をプラスして計画を練っていただければと思います。世界遺産に夢中になってダナンは素通りというのでは、ダナン推しのユルワとしては残念でなりません!