いまスペイン旅行は危険?バルセロナのテロ現場を歩いてきた
スペイン

バルセロナの行楽シーズン、バカンスをエンジョイする老若男女が突如として、みんな携帯電話にくぎ付けになった。「何か大変なことが起こった!」そう思った。予感は的中した。テロ攻撃があり、市内が封鎖されたのだという。

8月17日のバルセロナテロの被害は、16名が死亡、34カ国の130人以上が重軽傷という甚大なものになった。また犯人8人が警官の発砲等で死亡、その他に数名が逮捕された。

犯行現場の今


この可愛らしい丸い絵は「ジョアン・ミロ・モザイク(Joan Miro mosaic)」と呼ばれ、ランブラス通りの歩道にある。

事件当時、エアバッグが飛び出した実行犯のバンがちょうどここで急停車し、あたりには人の体がバタバタと倒れ、人々は四方八方に蜘蛛の子を散らすように疾走していた。

ここは、ランブラス通りがカタルーニャ広場にぶつかる場所。ここから車両が歩道に乗り上げて暴走を開始した。この塔には今も献花が絶えない。

入り口部分は、警察車両が入り口をふさぎ、重装備の警官が仁王立ちする。

事件後、ランブランス通りが港にぶつかる歩行者天国側には、車両が乱入しないようにコンクリートブロックが設置された。このような対策はバルセロナの各地で確認できた。

今回のテロは、イスラム国(IS)の戦場帰りの要注意人物が若者を過激思想に染め、犯行に及んだのだという。しかし、その若者たちの多くはイスラム系ながらスペインの出身。

過激思想を育ててしまった社会的な問題もなかったのだろうかと考えてしまう。この国は、若者の失業率がうん十パーセントで失業者が街に溢れている。「失業」はほとんど当然な職業として受け入れられているほどなのだ。

実は狙われていた「サグラダ・ファミリア」

この事件、実はさらに大規模な攻撃になる可能性があった。犯行前日にガス爆弾製造拠点と思われるバルセロナ郊外の民家が大爆発し、犯人の一部も死亡。

今回のバルセロナテロは、企てを嗅ぎつけられることを恐れ、慌てた犯人たちがにわか仕込みで実行に移したものだった。計画通りに行ったら、より大規模な攻撃が行われていたはずだ。

その標的の1つが、スペインで最も多くの観光客を引き寄せる建物である「サグラダ・ファミリア」だったという。かの有名な建築家アントニ・ガウディの大傑作で世界遺産としても知られる。

周囲をぐりと1周すると、どこから見ても警察官やパトカーが目に入ってくる。以前はこんなに仰々しくなかったのに……。サブマシンガンを持って、いつでも応戦できるように構えている。

そもそも、シリア紛争の影響で欧州全土にテロが頻発するようになってから、各地で門番をする警察官の目、顔が昔に比べて、真剣そのものなのだ。

昔は、仕事だからただ立って暇そうにしているイメージだったが、今はサブマシンガンを臨戦態勢で抱えて、周囲にくまなく目配せをしている。彼らも命がけだ。

聞くところによると、それまでもテロの企てを未然に摘み取っていたといい、現場の警官たちもそれを知って、背筋が伸びているのだろう。事件前からそういう印象はあった。

「テロのない街」神話が崩壊!

「でもバルセロナだけはイスラム過激派テロの標的にされない。」そうタカをくくっていた。

スペインは、対イスラム国(IS)包囲網側で、イラク軍や国家警察の支援をしているというが、バルセロナのあるカタルーニャ州は、市民の半数は、自分たちはスペインだと思っていないのだ。

「そんな地域を狙っても何の意味もない。」「ここが狙われるようでは、もうヨーロッパに絶対に安全なところは残されていない。」そう思っていた。それだけに人々の衝撃は計り知れない。

この一連のテロの傾向は、ソフトターゲットやアイコンを標的としているのだという。誰もが知るサグラダ・ファミリアやランブラス通りを狙えば、人々のショックは大きく、観光客も減って経済的打撃も与える。

今回サグラダ・ファミリアは無傷で済んだが、シリアやイラクなどでは、同様に人類の宝といえるような遺跡がいとも簡単に破壊されている。嘆かわしいことだ。

イスラム国(IS)はあとづけで、犯行声明を発表しているが、テロの脅威に屈するものかと、平静を保つようにと声高に主張する市民達もいる。

以前の賑わいを取り戻すランブラス通り


ランブラス通りは、以前のにぎわいを取り戻している。そこに立ち並ぶ建物のバルコニーでは、マリリン・モンロー似の女性が歩行者に元気な笑顔で手を振る。人間の強さを実感し、何だかほっとした瞬間だった。

この記事を書いた人

ノマダー(野間駄, Noma Daa)

ノマダー(野間駄, Noma Daa)

なまえ:ノマダー (漢字の表記:野間駄, 英語の表記:Noma Daa,) 日本産。日本列島では走り足らず世界に駆け出し、気がついたら海外の大学を卒業。環境が肌に合いイギリス、スペイン等、欧州各地を転々。ノマダー(スペイン語で遊牧民)として暮らし、遠目から世の中を観察し、独り言をいう日々。趣味は駄じゃれで日夜を問わず周囲を寒くして地球温暖化を抑止している。野間馬は遠い親戚。「空想(Fantasy)」のスペシャリスト。

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