全ての道は本当にローマに通じてる?旧アッピア街道を全力で歩いてみた
イタリア

この世には、全ての道はローマに通ずという格言があります。驚くべき事に、ローマ帝国が築いた道は今も多くが幹線道路として、ヨーロッパ中を駆け巡っているのです。それはそうとして、普通の道路をローマ人の道だな~と思いながら歩くのはちょっとレベルが高いですよね。せっかくならオリジナルの道を歩きたいですよね。

世界史のページにも何度も登場する「旧アッピア街道」なら、今でも遺跡がゴロゴロ転がる緑深い道としてローマ近郊を走っています。ペトロさんもカエサルさんも歩いた道をさっそく一緒に歩いてみましょう!

旧アッピア街道はどこにあるの?

旧アッピア街道がどこにあるかと言えば、イタリアを縦断してどこまでも遠征に行けてしまうのですが、今回は便宜上、古代遺跡が良く残るローマ近郊「アッピア・アンティカ州立公園」を指す事にします。

アッピア街道へは、コロッセオ横からバス118番に乗車するのが便利です。バスはコロッセオ、フォロ・ロマーナ、カラカラ浴場など名だたる巨大遺跡を走り抜けて旧アッピア街道に向かいます。

ゲルマニアのような当時のド田舎からアッピア街道を歩いてローマ入りしたゲルマン人は、さぞやこの辺りで「すごい所に来ちゃったなあ」と思った事でしょう。

アッピア・アンティカ州立公園

今なら引き返せる!聖ペテロも走ったドミネ・クォ・ヴァディス教会


イエス亡き後、聖ペテロはローマまで来て布教を続けていました。しかしローマでの迫害は厳しさを増し、そろそろ殺されそうだなあという雰囲気になります。そこで脱ローマし、アッピア街道を歩いていた聖ペテロ。すると路上に死んだ筈のイエス様が出た!

「どこに行くんですか?(Chiesa del Domine Quo Vadis ?)」と尋ねる聖ペトロに、イエス様は「もう一回十字架に掛かりに行くよ」と答えます。そこで聖ペトロは、やっぱり逃げるのはよくないな、と思い直し、ローマに戻って殉教しました。そのご遺体は今も聖ピエトロ大聖堂の地下に眠っており、これがバチカン市国の始まりとなります。

現在のドミネ・クォ・ヴァディス教会は17世紀に再建されたもので、意外にも小さく可愛らしい外見です。

ドミネ・クォ・ヴァディス教会

永遠の快眠!暗くて暖かいカタコンベ「サン・セバスティアノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂」


ドミネ・クォ・ヴァディス教会からサン・セバスティアノ教会までは狭いながらもビュンビュン車の通る生活道。左右にも遺跡が広がっているのですが、少し危険ですから、バスはこちらの教会前で降りた方が良いかもしれません。

サン・セバスティアノ教会の見どころはなんと言ってもカタコンベです。ローマ帝国に迫害されていた時代のキリスト教徒達のお墓でした。

現在、ご遺体は綺麗に回収され、迷路のような内部をガイドツアーで見学する事ができます。底知れない広さを持つカタコンベですが、夏涼しく冬暖かい快適な環境。ちょうど人が寝転ぶのにちょうど良い横穴がいくつも並んでいますから、ホテルにリフォームしても良さそうなぐらいです。

残念ながら内部は写真撮影禁止ですが、本当に地下!?と驚くような豪華なお墓のエリアもあります。快眠できそうです。

サン・セバスティアノ教会

前後左右を囲まれよう!あまりに身近な遺跡たち


サン・セバスティアノ教会から先は、歩行者天国となり、古色蒼然としたイメージ通りのローマの古道が広がります。

巨大な円柱塔が目を惹く「チェチリア・メテッラ・エ・カストルム・カエタニ霊廟」や、「マクセンティウスの競技場」など、スケール感覚の狂うような二千年級の遺跡がゴロゴロと。

よく見ると人々が座っていたベンチのような石も遺跡のような……良いのかな座って。座りますよ。遺跡感覚も狂って来ます。会いに行ける遺跡、触れる遺跡、一緒に写真を撮れる遺跡です。

晴れた日にはハイキングや乗馬を楽しむ人、遺跡を巡りながらヨガを行う団体なども見かけ、旧アッピア街道は今も意外にも賑やかです。

見渡す限り全部人の家!更にスケール感覚を狂わす「クィンティーリ荘」


旧アッピア街道の見どころは、ひとまず「クィンティーリ荘」でひと段落します。

一面の大草原に点在する、縮尺が分からなくなって来る巨大建造物の数々。ここまで来ると観光客も姿もまばらになり、監視員の姿と言うのは元より無く、いいのかな!?触っちゃうよ!?と言うような距離で遺跡に迫る事ができます。

古代ローマの時代には貴族のクインティーリ一族が暮らし、当時からローマ郊外で最も豪華な邸宅と讃えられていました。

クインティーリ荘で最も目立つ遺跡は大浴場跡。大きなアーチ窓が美しく、ローマの市街を見下ろす事ができ、素晴らしい温泉だったのだと言う事が伺えます。今からでも露天風呂として営業再開して欲しい位ですね。

クィンティーリ荘

旧アッピア街道の行き方まとめ


旧アッピア街道はほぼ一本道ですので、迷う事はありません。バスは一方通行で、ローマ市内とアッピア街道を山手線のように周回しています。

ローマ市内からの行き方は、「コロッセオ駅」からバス118番に乗車すると、見どころを巡りながら「サン・セバスティアノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂」まで行きます。この駅から先は、バスはアッピア「新」街道に出てしまいますので、「サン・セバスティアノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂」駅で降りてからは徒歩が簡単でしょう。

足が痛くなってしまったら、アッピア街道を横切るトール・カルボーネ通りなどでもバスを拾う事ができます。「クインティーリ荘」まで辿り着けば、出口の前がバス乗り場です。

バス118番は、20~30分ごとの運行となりますが、どこのバス停にも時刻表はありません。来たバスに乗りましょう!

さよならローマ帝国

2,000年前のクインティーリ荘の素晴らしい保存状態を見てから夢見心地で丘を下ると、現代イタリアの現代イタリアぶりに、「なんでだよ!」という想いが倍増します。(破壊された穴の中に指を入れて歩行ボタンを押すタイプの横断歩道)
さよならローマ帝国

この記事を書いた人

華酉

華酉ライター/中世マニア

北海道生まれドイツ暮らし。大学では歯学と宗教学を修めた為、いつ中世ヨーロッパに飛ばされても活躍できる逸材です。その特性を活かし、日系企業ドイツ支店のお堅い正社員として貿易に励んでいます。
訪れた国は30ヵ国以上、時の権力者に城を陥落されて北海道に逃げ延びたご先祖様の無念を晴らす為、より強い城を求めて各国を放浪中。いつ剣と弓の時代が訪れても良いように、皆様にも選りすぐりの歴史情報をお届けします。

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