神社好きならおなじみ、日本神話の有名な一場面。天照大神が天岩戸に隠れてしまい、世界から光が消え去った―そんな神話の舞台となった洞窟が、宮崎県北部、熊本と大分に近い山間に実在するのをご存知ですか? 高千穂と呼ばれるその地は、神々が宿る聖地として、今もなお全国から参拝客が足を運ぶ、日本有数の人気パワースポットでもあります。
中でも今回は天岩戸をご神体としてあがめ奉る「天岩戸神社」をご紹介。
西本宮・東本宮・天安河原宮の3宮で構成される広大な境内に漂うご神気は、数々のパワースポットを訪れている筆者でも、しばらく思考回路がフリーズしてしまうほど濃厚で強力!
そんなレベル高めの天岩戸神社3宮を徹底解説したいと思います!
【参拝前におさらい】高千穂神話とは?
神社紹介の前に、念のため高千穂神話をお伝えしておきますね。
(ご存知の方はスキップして次の項目から読み進めていただいて大丈夫です!)
古事記・日本書紀(いわゆる、記紀)の中で、太陽神・天照大神が弟神の素盞鳴尊の荒ぶる言動に心を痛め、ついには天岩戸にこもってしまった。そのため世界から日の光が消え、暗闇に包まれる日々・・・八百万の神々があの手この手を尽くしても女神は外へ出てこない・・・そこで神々達は一計案じて・・・
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天宇受売命(あめのうずめのみこと)の踊りに沸く神々。どうやら外では楽しい宴会が繰り広げられているよう・・・この賑わいを耳にした天照大神。当然気になるので少しだけ岩戸を開いて外をこっそり覗こうとした瞬間、そばに隠れていた力持ちの神様が一気に戸を開き、女神を外へ出すことに成功。同時に世界には光が戻り、めでたしめでたし・・・
紙面の関係で非常にかいつまんだ表現になりましたが、天岩戸神話の概要はこんな感じ。もっと厳密に知りたい方は天岩戸神社のサイトをご覧ください。
神話の舞台―天岩戸神社
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上記の天岩戸神話の舞台として世に伝えられているのが、高千穂の天岩戸神社です。岩戸川を挟んだ西と東にそれぞれお宮が鎮座しています。この珍しい構造は、神話の舞台全てが網羅されているから。
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【西本宮】
拝殿裏の遙拝殿からは、天照大神がこもった天岩戸とされる大きな洞窟をお参りできます。
【天安河原宮】
西本宮から徒歩10分ほど。引きこもってしまった女神をいかに外に連れ戻すか、神々が作戦会議をした場所。
【東本宮】
洞窟から出てきた天照大神の住まいとされている場所。
このように天岩戸神社を参拝するということはつまり、神話世界の追体験という貴重機会が与えられることでもあります。だからこそゆっくり時間をかけて、3宮全てコンプリートしたいところ。
西本宮
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西本宮のご祭神は天照大神(別名:大日孁尊・おおひるめのみこと)。そして天岩戸から解き放った立役者の2柱の神様、手力男命(戸を開いた力持ちの神様)・天鈿女命(舞を踊った女神)も合祀されています。
西本宮の構造は、一般的な神社とは異なりちょっと独特。通常だと参道の突き当たりに本殿がありますが、この西本宮では参道沿いに拝殿があります。
これは、拝殿が岩戸川の向こう側にあるご神体「天岩戸」に向かって建てられているから。
(蛇足ですがこの「天岩戸」こそが、天照大神が身を隠した洞窟です)
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ご神木は「招霊(おがたま)の木」。天鈿女命がこの木の枝を手に持って踊ったという由来があります。
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西本宮参拝の際には、ご神体の「天岩戸」を遙拝できるツアーに参加するのがオススメ。神職の方が神社や天岩戸神話についてわかりやすく解説しながら案内してくださいます。上記の「天岩戸」は拝殿裏の遙拝殿から参拝できるので、ぜひこの機会に神話の舞台を生でご覧ください!
【詳細】
・9:00~16:40の間に30分に1回
・所要時間約20分
・集合場所待合室・休憩所
・撮影禁止
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筆者もツアーに参加して目の当たりにすることが叶いました! 遠目であっても感じられた迫力。同時に洞窟の注連縄をどうやって張ったのだろう・・・と少し現実的なことまで考えてしまいました(笑)ちなみにこの注連縄は、天照大神が再び岩戸にこもってしまうのを防ぐためなのだとか。
天安河原宮
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西本宮から案内に従って500メートルほど上流へ。天安河原(あめのやすかわら)宮はその名の通り、本宮よりも低い岩戸川の河原に位置します。ちなみに河原へ降りる道中にはお手洗いは無いので、気になる方は西本宮で済ませておきましょう。
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岩戸川のせせらぎを耳にしながら、澄み渡った空気に身を浸しつつ歩みを進めていきます。アスファルトで舗装されているので歩きやすいとはいえ、雨の日などは滑りやすいので、ヒールやミュールよりスニーカーなど足元がしっかりした靴をオススメします。
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しばらく歩くと洞窟が視界に入ります。先述の通りこちらは天照大神を洞窟から連れ戻す作戦会議を行った場所で「仰慕窟(ぎょうぼがいわや)」と呼ばれています。この洞窟に守られるように鎮座するお社は、会議のブレーン役となった思兼神(おもいかねのかみ)と会議に参加した八百万の神々を祀ったもの。
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無数に積み上げられた石に目を引かれます。戦後「石を積むと願いが叶う」という祈願方法が広まり、参拝客が願いを込めて大小の河原の石を積み上げていくのだとか。
洞窟の祠と無数の石―不思議な世界観のため近年では映えスポットとして知られています。
東本宮
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最後にご紹介する東本宮は、天岩戸がある側に鎮座しています。西本宮と比べ規模も小さく、一見何の変哲もない神社のように見えるのですが、筆者は個人的にこの東本宮こそ一番エネルギーが強いと感じました。詳しいお話の前にまずは概要をご説明しますね。
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ご祭神はこちらも天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)。
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鳥居をくぐるとダンサーの女神・天鈿女命がお出迎え。手を叩くと動く仕組み。
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階段を上り、拝殿で手を合わせたら、裏へ回りご神水が湧き出るスポットへ進みます。このご神水はなんと、杉のご神木の根元から湧き出ていました!
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ご神水の反対側にそびえ立つ七本杉も必見です。七本の木の根が実はつながっている、何とも不思議なご神木。
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ここからは主観的なお話になりますが、東本宮の空気は他の2宮よりもさらに純度の高さを感じました。おかげで何だかつきものが落ちたような心地になり、同行した2人の友人も同様で、車中で全員しばしボーッとしてしまいました。
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「浄化の力がハンパない神社だったね」
筆者を含めた全員の東本宮参拝の感想です。あくまで個人的な感覚のお話ではありますが、もし興味持ってくださったのであれば、ぜひ現地でそのエネルギーを感じてみてください!
パワースポット高千穂をコンプリートするなら宿泊がオススメ!
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今回は天岩戸神社のみご紹介しましたが、エリア全体がパワースポットと言って過言ではない高千穂。他にも高千穂峡を筆頭に、高千穂神社、落立神社、鉾神社、二嶽神社、石神神社、瀬織津姫神社、八大龍王水神など大小さまざまな神社が点在しています。たくさんありすぎて日帰りではとてもカバーできません!!
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高千穂で宿泊してゆっくりパワースポット巡礼をするのが理想的な旅のスタイルかと思います。エリア内は徒歩移動可能な場所もありますし、高千穂バスセンターを拠点に市バスなどを利用すれば、車無しトラベラーでも周遊できますよ。
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字天岩戸1073-1