台湾だって冬は寒い! そんな寒い冬には、ぜひ温泉にでも浸かってのんびりと体を温めたいものです。そんな風に考えるのは、台湾の方々だって同じ。
特に私が住んでいる台北のエリアの人に人気なのは、台北から高速道路を通って1時間ほどのところにある、宜蘭は礁溪(ジャオシー)という町です。礁溪の町は、いわゆる温泉街。
町のあちこちに温泉を利用した施設があって、無料のものも有料のものも存在します。これは日本人にも馴染みのある温泉街の姿だなぁ、というものから、こんなの他所では見たことない! というものまで、礁溪の魅力をレポートいたします。
※記事内 1台湾ドル=約3.75円(2018年1月時点)
礁溪ってどうやって行くの?
台北から宜蘭方面へ行くのに断然便利なのが、客運と呼ばれる長距離バスです。礁溪まで行くなら噶瑪蘭客運、首都客運、国光客運の3つの客運が利用できます。
首都客運は市政府駅からの出発になります。国光客運と噶瑪蘭客運は同じ台北駅からの出発ですが、国光客運は他の長距離バスとは乗り場が違うので注意が必要。到着するのは3路線とも全て同じ駅です。
前回雲林に行った時首都客運を利用したので、今回は噶瑪蘭客運を利用してみました。両バス会社ともバスがすごく綺麗なので、安心して乗っていられます。
私が行ったのは月曜日の朝だったのですが、結構たくさんの人が乗っていました。人が多くなければ当日の朝直接チケット売り場へ行ってバスのチケットを買えばいいのですが、心配な場合はバス会社のホームページでチケットを購入することもできますよ。
噶瑪蘭客運だと片道110元ですが、来回(ライホイ)という往復のチケットを買うと、198元とちょっと割安になります。
帰りのバスは時間の指定がありませんので、バスの駅に戻ってチケットを見せると、次は何時何分にバスが来ますよ、と乗ることができるバスの時間を案内してもらえます。最近めっきり円安なので、お得に旅してくださいね!
礁溪へ行ったら、まずはやっぱり温泉へ
1.礁渓温泉公園
礁溪の泉質は炭酸水素ナトリウム泉で、美肌効果があるそうです。そんな礁溪でやりたいことといったら、まずはやっぱり温泉入浴! 長距離バスを降りてすぐ目と鼻の先にある礁渓温泉公園では、足湯と温泉浴を楽しむことができます。
礁渓での1日は、ここからスタート!
私が礁渓に着いたのは朝の大体10時頃でしたが、足湯のエリアはすでに結構人がいました。石でできた温泉の淵に腰掛けて、のんびり足湯を楽しんでいます。
温度はどんなもんかとお湯に手をつけて確かめていると、近くに座っていたおばさまがにこにこした顔で何か話しかけてくださいました。台湾語だったので全然わからなかったのですが、多分そんな熱くないよ、というようなことだったんじゃないかと思います。
足湯の温度はかなりぬるめ。後で温泉の温度の表示を見つけましたが、お湯の温度は34度でした。
礁渓温泉公園でもう1つ行っておきたいのは、日本式に裸で入る、森林風呂です。
日本人には親しみのある温泉の姿ですが、台湾の若い世代の人にこの話をすると、殆どの人が微妙な顔をします。台湾だとみんなで入る温泉というのは、あまり馴染みがないみたい。
日本人の私は露ほども気にならないので、さっさとチケットを購入して朝風呂一番と洒落込みます。
お湯を綺麗に保つため入浴時はシャワーキャップを着用する必要があり、チケット購入をするときにシャワーキャップがあるか聞かれます。
入浴代は80元なのですが、持っていないと追加で10元を払って購入する形となります。ホテルやなんかでもらったものを持っていって使っても大丈夫です。
このほか、ロッカーの使用量が20元かかりますので、小銭を多めに持っていると良いでしょう。
男湯の入り口はこんな。漢字で書かれているので迷う心配はありません。
内部は脱衣所と広いお風呂が1つ、屋根のあるお風呂が1つあって、どこでも自由にお風呂に浸かることができます。洗い場もちゃんとあるので、洗い場で体をさっと洗ってからお風呂へ入りましょう。
大きめのお風呂は、お湯が39度とぬるめのエリアと、41度とやや熱めのエリアに分かれます。屋根のあるお風呂のお湯は42度前後、こちらは深さが90センチほどあります。腰掛けられるようになっているので、座った状態で肩までゆったり浸かることができますよ。
どのお風呂でも、もちろんタオルをお湯につけている人などおりません。お風呂の壁にタオルをひっかけられる杭が刺さっているので、持っていったタオルはそこへひっかけておくと良いでしょう。
2.礁渓のあちこちに設置された足湯
礁渓温泉公園に設置された足湯の他にも、礁渓の街にはいくつか足湯ができるところがあります。中国語では、泡腳(パオジャオ)と書きます。
上の写真は礁渓温泉公園の一番近くにある足湯。こちらの足湯は温度が4つに分かれていて、一番温度が高いのが38度でした。開放時間が12時からとやや遅めということがあり、人がまだ全然いませんでした。
礁渓温泉公園の方が結構混雑していたので、ゆっくり足湯をしたいならこちらがおすすめです。
続いて、湯圍溝溫泉公園。こちらは温泉街の中心地といった風情で、ここでもたくさんの人が足湯をしています。
足湯の深さがやや深めで、私の足の長さだと、膝の上までジーパンを捲り上げてもまだお湯に裾が浸かりました。礁渓に行く時には、絶対に細身のパンツを履いていかないことをおすすめします。
台鐵礁渓駅の前にも足湯があります。年末だったので、足湯もなんだかきらびやかに装飾されています。
これらを含め、礁渓には無料で入れる足湯が全部で5箇所あります。スタンプラリー感覚で回ってみると楽しいです。
3.他所ではなかなか体験できないドクターフィッシュ
湯圍溝溫泉公園エリアは足湯もありますが、このあたりの特徴といえば、温泉を利用して飼育された温泉魚たちによる、ドクターフィッシュの体験ができることでしょう。
小さくて綺麗な色のお魚たちが足の角質を食べてくれるあのくすぐったい感じ、すでに体験したことがあるという方も、たくさんいらっしゃるのでは?
しかし、湯圍溝溫泉公園エリアにある「重口味温泉魚」は、他のドクターフィッシュの店とは一線を画します。
このお店には、私たちが持つドクターフィッシュの、きゃーくすぐったいウフフ的なイメージを、根底から覆すようなインパクトある体験が待ち構えているのです。
それでは、重口味温泉魚のドクターフィッシュたちの姿を、どうぞご覧ください。
小さくて可愛らしいお魚さんです。黄金貴族というお名前らしいです。お魚にパクパクされるくすぐったさに耐えながらぬるめのお湯に足をつけます。
さて、次は紅孩兒というお魚さん。西遊記に同じ名前のキャラクターが登場しますよね。しかし、大きさがこう……、さっきの魚よりは大きいような?
んん??
一番大きいサイズの魚はこちらのお魚です。でっか!!!
こちらのお魚だと、くすぐったいどころの話ではなく、結構ガリガリやられます。最初はちょっと痛いけど、慣れると癖になります。
とはいえ、このサイズだと長くかじられすぎるとあまり宜しくないので、2分ほどで出るのがいいそうです。
最初から大きい魚に挑戦すると感覚的にも視覚的にも刺激が強いので、小さいお魚からだんだんと慣らしていくといいでしょう。大人は80元、子供は60元で、居たいだけいることができます。
ちょっとドキドキもする楽しいドクターフィッシュ体験で、気が付いたら結構時間が経過してました。
4.やっぱり温泉に入りたい
いろいろ体験してちょっと疲れたので、ここでまた温泉へ。湯圍溝溫泉公の近くにある湯囲風呂も、森林風呂と同じく裸で入る日本式の温泉です。
入湯料はこちらも80元で、お湯に入るときは同じくシャワーキャップの着用が必要です。またロッカー使用料が20元必要なのも同じ。
こちらの温泉は木造の建物に四方を囲まれていて、森林温泉のような開放感はありませんが、温泉街らしいレトロな雰囲気を味わうことができます。
四角い大きなお風呂がひとつあるほか、2人で入れそうな床に埋まった桶状の丸いお風呂が3つほどありました。お湯の温度の表示はありませんでしたが、ほど良い温かさで、肩まで浸かったり半身浴をしたりとまったり温泉に浸かることができました。
こちらで大変重宝したのが、10元コインで使用できるドライヤーがあったこと。これで気兼ねなく全身くまなく洗い上げることができるというものです。シャンプー、ボディソープとタオルをバッチリ完備して礁渓へ来た甲斐がありました。
262 台湾 Yilan County, Jiaoxi Township, 宜蘭縣礁溪鄉德陽路99-11號
礁渓の美味しいものをたくさん食べたい!
1.樂山溫泉拉麵の足湯ラーメン
礁渓温泉公園の近くには、一軒のラーメン屋さんがあります。お店の名前は、樂山溫泉拉麵(楽山温泉ラーメン)。
このラーメン屋さんでは、他に類を見ない形でラーメンを食べることができます。このお店はなんと、足湯をしながらラーメンを食べることができるのです。
というわけで早速、お店の人に足湯でラーメンを食べたい旨を伝えます。お店の外にある足湯を利用するためにはプラス10元の使用料が必要なので、先にラーメン代130元+10元をお支払いします(10元支払うと不織布のタオルを1枚貰えます)。
お会計が済んだら、あとは足湯につかりながらラーメンの到着を待つのみです。
……と、足をちゃぷちゃぷさせながらラーメンの到着を待っていたら、お湯が温かいのを知っているためか、後ろから猫がとことこやってきて、足湯の浴槽の淵に落ち着きました。
せっかくなので、足湯とラーメンと猫をパチリ。こんな可愛らしい出会いもある泡腳ラーメン、おすすめです!
2.辣椒文創館の超辛いアイスクリーム
中国語でスパイシーなガールの辣妹(ラーメイ)っていうんですが、湯圍溝溫泉公のとなりに、見るからにスパイシーな人形が立っているお店があります。お店の名前は、辣椒文創館。
このお店、主に辛い食べ物や飲み物を扱っているお店なのですが、そのお店で扱っているもののひとつに、チリ・アイスクリームというのがあります。このアイス、名前の通り、とっても辛いアイスクリームなのです。
どのくらい辛いのか興味に勝てず、味見をさせてもらいました。この日味見で出ていたのは、ストロベリーアイスクリーム。
試食をしたいと申し入れたら、その日の体調が万全かどうかを問われます。あれ、私が知っているストロベリーアイスの色と、なんか色が違うんですが。
さすがに恐かったので最初の一口はちょっと舐めるにとどめたのですが、それだけでも口の中に火が付いたようでした。お店の人もそれをご存知なのか、食べられなかったらスプーン預かりますよー、といって回収してくださいました。
そのひと舐めで恐れをなした私は、微辣(ウェイラー)味のアイスもあったにも関わらず、辛さ一切なしのマンゴーアイス(120元)を選択するに至りました。辛さに自信のあるかたは、ぜひ挑戦してみてください。
3.その猫は果たして本物か……? 伍拾號咖啡店
またしても猫の話なのですが、次の目的地に向かおうと街中を歩いていたら、ガラス窓にペッタリと押し付けられた肉球ともふもふを発見してしまいました。
思わずガン見してパチパチ写真を撮っていたら、中にいたかっこいい店員のお兄さんと目が合ってしまいました。そうした経緯で入店するに至ったのが、伍拾號咖啡店です。
注文したのは、起司牛肉烤餅(90元)とアメリカンコーヒー(90元)。トロリとしたチーズが美味しい一品です。
お店の中は天井が高くて、とっても開放感に溢れています。私は1人だったのでカウンターの席に案内されましたが、どうやら2階のお席もあるようです。上の席から店内を眺めながらご飯を食べるのも気持ちいいことでしょう。
そして、窓の外から丸見えになっていた猫は、このようにして眠っていました。お気に入りの場所なのか、安心しきってぐっすりねむっていて、つついても全然反応してくれません。
台湾ではこうして、お店の中で自由に猫が当たり前の生活しているのをよく見かけます。家族の一員というわけですね。温泉とは別の意味でほっこりしたお店でした。
4.行列のできる蔥油餅のお店 柯氏葱油餅
礁渓で絶対に食べておきたい台湾グルメと言ったら、なんといっても柯氏葱油餅(コーシーツォンヨウビン)の葱油餅です。テイクアウトのお店の前には、月曜日の4時頃であるにも関わらず、30人ほどの行列が出来てきました。
たくさん人は並んではいますが、お店の人が葱油餅を作るスピードも速いので、15分ほども並ぶと葱油餅を購入することができました。
一定の間隔でお店の人が注文を取りに来るので、加蛋(ジャーダン;卵入り)か不加蛋(ブージャーダン:卵なし)を伝えましょう。卵なしだと30元、卵入りだと35元ですが、卵入りのほうが断然人気があるようです。
自分の番が来たら加蛋か不加蛋を伝えて、葱油餅を目の前のトレイにおいてもらいます。トレイにおいてもらったら、自分で調味料をかけましょう。かけ終えたらお店の人が袋に入れてくれますよ。
できたてアツアツの葱油餅は、ふんわりとした生地と卵と葱が絶妙にマッチして、本当に美味しいです。宜蘭といえば三星葱のたっぷり入った丸型の三星葱油餅も美味しいけど、ここの葱油餅の美味しさと言ったら群を抜いていました。
次回礁渓に来た時も、必ずこの店を訪れたいと思わせる美味しさでした。
No. 128, Section 4, Jiaoxi Road, Jiaoxi Township, Yilan County, 台湾 262
5.冬粉の有名店、八寶冬粉
台湾の冬粉とは、日本語でいうところの春雨を指しています。礁渓の八寶冬粉というお店は、その春雨の超有名店です。なんでも、台湾百大小吃として宜蘭から選出された8店のうちのひとつなのだとか。
月曜日の夜、お店の中は人でいっぱいでした。店の外に出されていたテーブルにはなんとか空きがあったので、そこに荷物を置いてから注文します。注文する時は席の番号を書く必要があるので、先に席を確保する必要があるというわけです。
そんな感じでやっと注文したのは、お店の名前を冠した、八寶冬粉(80元)。八寶の名前の通り中に入っている具は様々。
恥ずかしながらきちんとこれがこれと特定ができないのですが、肉羹や花枝羹(イカ)、蝦球羹(海老)など合わせて8種の食材が入っているので、〝八寶〟冬粉なんですって。
肉羹ってつみれのような食べ物なんですが、私はこのつみれ、特に肉のやつがかなり好きです。食感がふわふわしていてとっても美味しいんですよ。
これを食べたのは夜でしたが、1日歩きまわって疲れた体に染み入るやさしい味と食感でした。あったかくて美味しいものを食べ、ほっと一息つくことができました。
No. 131, Section 2, Zhongshan Road, Jiaoxi Township, Yilan County, 台湾 262
温泉トマトとは一体なにものか。温泉トマトの正体を探る
礁渓には温泉トマトなるものがあるらしい。以前そんな話を聞いたことがあったのですが、それが果たして如何なるものなのか、礁渓に行く前の私は全く知りませんでした。
礁渓へ行ったら自ずとその正体がわかるだろう、などと勝手に思っていたのですが、いざ礁渓に着いてみると、温泉トマトという名前のトマト並びに食べ物を、一向に見つけることができません。
若干諦めかけもしたのですが、そんなところに、礁渓の神様(?)が天佑をくださいました。たまたま入った地域の物産センターでとうとう、「溫泉番茄(温泉トマト)」の文字が入った地図を見つけたのです。
ざっくりした地図とグーグルマップを照らし合わせながら、現地まで行ってみました。礁渓温泉街の中心地からはちょっと離れていますが、とうとう探し当てることができたのです! 温泉トマトの正体を!
こちらはトマト狩りを提供しているビニールハウス。礁渓のトマトは温泉の影響を受けて、他の地域のトマトより甘くて美味しいんだそうです。
収穫ができるのは1月〜4月頃だそうですが、天候次第で前後することもあります。実際、2017年〜2018年のトマトは熟し始めたのが少し遅めということでした。ビニールハウスを訪れる前に、電話を入れて確認すると確実とのことでした。
背の高いのはミニトマト。下の方のトマトが少しだけ赤くなり始めていました。
ビニールハウスのトマトはまだ少し早かったですが、さすがトマトが有名ということだけあって、礁渓の街のあちこちにはトマトがあふれています。八百屋さんに山積みになっているトマトはなかなかに圧巻です。
そんなトマトの産地、礁渓でぜひ試してみていただきたいのが、トマトを使ったトマトジュースです。
台湾では生のフルーツを使用して作るジューススタンドをよく見かけますが、ジュースにするのは果物だけにとどまりません。トマトだってジュースにしてしまいます。
尚好記宜蘭名産店のドリンクスタンドの看板メニューは、なんといってもトマトジュース(40元)。
台湾のトマトジュースが日本のトマトジュースとちょっと異なるのは、トマトジュースに梅の粉を入れるところです。これが入っていると、トマトの青臭さがちょっと薄くなります。健康的なお味です。
礁渓のお土産といったら
礁渓のお土産といえば牛舌餅やら奕順軒のパンナコッタロールやら有名なものはいろいろありますが、可愛らしいお土産といったら、樂禾烘焙(ローホーホンベイ。以前は異なる名前でしたが、改名したようです)の西瓜吐司(スイカトースト)でしょう。
スイカにトーストって、一体どういうこと?と思うでしょう? 文字通り、スイカの形をしたトーストなんですよ。2015年頃に台湾国内で大流行したスイカトーストは、ここ礁渓にある樂禾烘焙が発祥なんです。
形はスイカですが、スイカの赤は実際は苺を使っています。スイカの形をしているけど、苺の味がするので、ちょっと不思議な感じです。
ちなみに、黄色いスイカの方はミルク味。食べているうちに、なんだか心が楽しくなってきます。パンは1斤90元、ラスクが3枚の袋入り、2つで50元と、安いのも魅力的。
お店の中にはスイカパンの他にも、可愛らしいパンがたくさん並んでいます。可愛くて食べるのがちょっともったいなくなっちゃう樂禾烘焙のパン、写真を撮って、みんなに自慢しながら食べましょう!