台北市からおよそ300km南西に位置する都市、台南。17世紀頃台湾への入植が始まった地でもあり、現在でも歴史的建造物が数多く残る都市でもあります。
その中で最近注目されているのが2014年4月に新しいスタイルの百貨店としてオープンした「林百貨」。今回はこの林百貨の歴史と現在に触れてみましょう。
歴史
林百貨は1932年(昭和7年)12月、日本人の実業家である林方一氏の出資によって開業したデパートです。この頃には電灯や電話といったインフラ、自動車や飛行機といった乗り物が台湾で普及し始めた時期でもあります。
しかし太平洋戦争が開戦し、激化。日本の敗戦と共に台湾は中国に接収され、官民問わず日本統治時代の建築物の多くは中華民国政府に接収されてしまいます。林百貨も例外ではなく、数十年は店舗としてではなく倉庫や派出所、事務所などとして利用されました。
その後1998年に台南市の古跡に認定され、2013年に修復が完了。台南駅の近くでFocus時尚流行館というショッピングセンターを運営する高青開発が経営権を取得。そして2014年4月、林百貨は再び百貨店として甦ることになったのです。
では実際に店内に入ってみましょう
重厚なレンガ造りの外観
外壁は大正時代の建物によく使われいたすだれレンガ。台湾でも各地にレンガの産地があり当時の建物によく使われたそうです。
レトロな雰囲気が漂う店内
1階のエントランスは台南の特産品などが並んでいます。お土産としておひとついかが?
店内のあちこちにはレトロな調度品が。
当時のデザインを再現したエレベーター。台湾で初めて導入された近代的なエレベーターで、「林百貨に行ってエレベーターに乗る」ことが娯楽の1つだったようです。
当時使われていたエレベーターのインジケーターとその説明板。林百貨内にはこのような案内板があちこちにあります。
2階は工芸品や雑貨などが並んでいるフロア。台湾茶の喫茶店もあります。
3階はファッションフロア。レトロなデザインの洋服やカバンが揃っています。
4階は書籍や絵葉書、HAYASHIコーヒーショップという解放感が溢れるカフェがあります。
5階はダイニングとなっています。ところどころ外壁が剥がれているように見えますが、これは1945年の空襲による弾痕がそのまま残されているのです。
和洋折衷な雰囲気が漂うレストラン。
何と居酒屋まであります。22時まで営業しているので晩酌にいかがでしょうか。
林百貨の歴史が詰まっている屋上
屋上にはエレベーターの機械室や日本の商習慣に従って建てられた稲荷神社跡があります。
当時最新鋭の建築技術を駆使して建てられた神社なのだとか。
やはりこういった場所にはお賽銭を投げたくなるものなのでしょうか。世界各国のコインが溜まっていました。