埼玉県飯能市の西部、奥武蔵に静かな湖面に定評がある名栗湖(有間ダム)があります。有名な観光地ほど、人混みのせいでゆっくり紅葉狩りができません。結果的に、写真撮影も禁止されて、観光地ランキングを落としてしまう紅葉狩りスポットも少なくありません。そこで今回は、ほとんど観光地化されていない自然豊かな名栗湖周辺で、アクティブに紅葉狩りを楽しむ方法をご紹介します。
何も無さそうな名栗湖周辺で、どうやって楽しむのか?
名栗湖が鏡のような湖面になる条件として、風が無いことが第一条件になります。さらに、人の目線と湖面との、高低差が少なければ少ないほど、鏡のように綺麗に観えると言われています。
レイクサイドテラス名栗湖とダム堤頂部が紅葉狩りポイント
名栗湖がどんなダムなのかを知るために、レイクサイドテラス名栗湖とあずまやの間から、観ることをオススメします。堤頂部と湖面には想像以上に高低差がありません。東京近郊では珍しい、岩石や土砂を積み上げただけのロックフィルダムという建設方法のダムです。湖の反対側は、堤頂部から下へ歩くことができるようになっています。
レイクサイドテラス名栗湖の横からは、肉眼で名栗湖上流部の奥の方まで観ることができます。上流部の湖面のほうが鏡のようになっていて、奥秩父の山々を映し出しています。
鏡のような湖面の絶景は見られるのか!?
1kmほど上流にある名栗カヌー工房付近まで移動してみました。カヌーを湖面の下ろすためのスロープがあります。名栗カヌー工房では、ワカサギ釣り船の貸し出しをしているようです。キモチ良さそうに、多くの釣り人が船を出していますが、風が出てきたせいか湖面が波立っています。
さらに風が吹かないうちに、急いで堤頂部へ移動します。
1時間ほど堤頂部から景色を眺めながら、湖全体が鏡のようになるタイミングを待ちました。先ほどまでいた、レイクサイドテラス名栗湖の真っ赤に染まるモミジ付近は、水面が部分的に鏡のようになっているので湖面に映し出すことができました。結局、湖全体が鏡のような光景を観ることができませんでしたが、運が良ければ、そのまま絵画になるような絶景を観ることができると思いますよ。
名栗湖紅葉狩りの思い出に、有間ダムカードをもらってみませんか?
もう一度、名栗湖の紅葉を目に焼き付けるため、レイクサイドテラス名栗湖まで移動しました。すぐ隣には、有間ダム管理所があります。
こちらでは、日本ダム協会が発行する「有間ダムカード」を、無料でもらうことができます。観光の記念に、手に入れてみてはいかがでしょうか?
名栗湖周辺でプチ探検気分。怪獣が口を開けているような鍾乳洞へ
せっかく自然豊かな山へ来たので、探検気分を味わって帰ることに。とってもニッチな鍾乳洞へ向かうには、まずクルマを停めましょう。
決してヤンチャな落書きではありません
有馬ダム入り口付近の道路沿いで観光客の目を楽しませてくれる、躍動感のあるこちらの壁画は、名栗湖国際野外美術展2016の作品の一部。「世直し一揆」なんて、絵のタイトルのような文字も見えます。名栗湖国際野外美術展は、11/23に終了していますが、壁画は見ることができます。
壁画前に休憩所兼無料トイレがあり、クルマ5台ぐらい停められるスペースがあります。
※Googlemapなどでは、尾須沢鍾乳洞駐車場と表記されていますが、現地ではそのような案内板などは見あたりません。あくまでも、休憩所兼無料トイレの利用者用の駐車場のようです。
案内がなければ気付かない!尾須沢鍾乳洞入口
クルマを停めた場所から欄干の赤い橋を渡って、交差点を秩父方面へ歩いて向かいます。すると、交差点から20mほど進んだガードレール横に、尾須沢鍾乳洞入口の案内板があります。
入口を正面から観ると、人ひとりがやっと歩けるだけのあぜ道しかありません。案内板が無ければ誰も気づかず、山の中へ入ろうとは思わない場所です。探検モードの、スイッチが入るような雰囲気の入口です。
山道は小さな渓流沿いにあります。大きな岩が迫っている横を抜けて、さらに上を目指しましょう。大きな岩が砕けた比較的小さな岩を見てみると、石灰岩のように真っ白な色をしているのがわかります。
ジブリ「もののけ姫」で描かれている「シシ神の森」か?
山道を10分ほど上ると辺り一面、青いコケに覆われていています。ジブリアニメの「もののけ姫」で描かれている、不思議な精霊「コダマ」でも出てきそうな、「シシ神の森」の雰囲気そっくりです。
ココまで沢沿いの山道を歩き、3つめの丸太橋です。ココから急斜面になり、小さい沢歩きになります。自分が歩いてきた山道を振り返っても、どこが道なのか確認が困難なほどです。
突然!山の中から女性に悲鳴が…なんだ?なんだ?
山道を登り始めて約20分、急に目に前の視界が開けて、絶壁が姿を現します。ロッククライマーのグループが練習中でした。
先ほど聞こえた、女性の悲鳴の理由がわかりました。
ガオ~ッ、怪獣の口のような尾須沢鍾乳洞口についに到着!
ロッククライマーが練習している絶壁の横に、怪獣が口を開けて出迎えています。かなりの急斜面で写真を撮っているせいか、垂直になっているはずの木が、こんなふうに映るほど、見上げるような場所にあります。
沢歩きも岩登りも予定外のできごとですが、山道を外れて10mほど岩を登ります。
何が起こるかわからないワタシの旅では、ペンライトが必需品です。
とは言うものの、ペンライトの光だけでは、全く役に立ちません……慎重に進んでみます。アチコチに分岐点がありますが、光は全く無いので、方向感覚が狂ってしまいます。これが、事故に繋がる要因ですね。ココまで、頭や背中を壁面にぶつけたりしているので、早々に引き上げるとしましょう。
天井付近をペンライトの光をあててみると、鍾乳石にはちゃんと「サメの歯」ができています。ただのほら穴で無い証拠です。
何てことの無い、外の景色ですが、鍾乳洞の中から観る景色は特別感がありますね。
絶壁で練習中のクライマーさんたちに話を聞いたところ、尾須沢鍾乳洞は、高さ25mの石灰岩の岸壁に、3つの洞穴があるそうです。ワタシが入った鍾乳洞は、3つのうちで一番大きい第1洞と呼ばれているものでした。「ほかのふたつは小さくて奥行きも無いので、第1洞だけでも十分だと思いますよ」と、教えて頂きました。
尾須沢鍾乳洞には、階段も、順路も、電灯さえもありません。本当に何もない、観光地化されていない場所なので、思う存分自然を満喫することができます。クライマーしか訪れることの無いマニアックな珍しいスポットで、プチ探検気分が味わえますよ。ただし、周りに人がいるとは限りません、あくまでも自己責任で。
※Googlemapなどでは、尾須沢鍾乳洞とは表記されず、「河又の岩場」の一部として扱われているようです。