こんにちは! 南米ボリビア在住のZICです。
ちょうど南米大陸の真ん中に位置する内陸国のボリビアに海はありませんが、いくつかの湖やアマゾンをめぐる川などが水源となり人々の生活を支えています。
そんなボリビアに、ポーポ湖という巨大湖があることをご存知でしょうか?
この湖が近年地球温暖化の影響を受けて消滅の危機を迎えています。
人々の生活を支えるこの湖に一体何が起こったのでしょうか?
日本人にとっても他人事ではない地球の裏側ボリビアで起こる環境異変についてご紹介します。
危機を迎えるポーポ湖はどこにある?
ポーポ湖はボリビアの中で2番目に大きな湖とされています。
一番大きな湖はペルーとボリビアの国境をまたぎ標高3,800mの場所に位置するチチカカ湖です。
このチチカカ湖は世界で最も標高の高い場所に存在する湖として、またペルーとボリビアの観光資源として、物流の拠点として、そして水源かつ多くの川魚を人々に提供しており、近隣に住む人々の生活を支えています。
チチカカ湖はボリビアの首都ラパス近郊にあり、その水はデスアグアデロ川という河川を通じて、はるか南東のオルーロ県にあるポーポ湖へと通じています。
チチカカ湖とポーポ湖、遠く離れた湖の関係性
地図で確認してもらえるとすぐにわかりますが、チチカカ湖とポーポ湖はそれぞれ国土の広いボリビアの中でも違う県同士、ラパス県とオルーロ県にあります。
それほど離れた距離にある湖ですが、もしチチカカ湖の水位が減少すれば、ポーポ湖の水位も減少します。
なぜなら、ポーポ湖はチチカカ湖を水源としており、そこから供給されるデスアグアデロ川の水に90パーセント以上依存しているからです。
元来、ポーポ湖の水深は平均して3m程度、水位が減少することによってその姿を消すこともしばしば。そして、最近ではこの湖は枯渇の危機に瀕しています。
温暖化によって枯れ果てる湖
最近、日本でも話題のボリビアの一大観光地ウユニ塩湖のことはご存知の方も多いと思います。
ポーポ湖の水はこのウユニ塩湖へと流れ出る小さな川を持っていますが、実際にそこまで流れることはなく、流出河川を持たない湖として知られています。
ウユニ塩湖も同じですが、非常に高い塩分濃度を有するポーポ湖が干上がった時には、まるで塩原にいるような光景を醸し出します。
ポーポ湖は水源であるチチカカ湖の水位によって影響を受けます。しかし最近では、それとは別の理由である、地球の温暖化、大きな気候変動によりこの湖は存続の危機に面しています。
近年、このポーポ湖は水温の上昇により著しく水位が下がりました。水温の上昇に伴い多くの魚たちが命を落とし、水面に浮きあがるという事態が発生。その時のポーポ湖の水温は38度を記録し、当然生物が生きていける温度ではありません。様々な生物がこの場所を後にしました。
手漕ぎボートと網で漁を行っている先住民族にとってもそれは大打撃で、これまでの暮らしを後に違う漁場を求めて移住を強いられる人々も多くいるそうです。気候変動や温暖化がもたらす悲しい現実を突きつけます。
2015年には消滅宣言、あとは雨頼み
実は、このポーポ湖は2015年には政府によって正式に湖が消滅したと宣言されました。
ボリビアで2番目に大きなこの湖が消滅したというのは国民にとって大きな衝撃だったに違いありません。環境汚染や対策を怠った政府に責任があるという声も上がっています。
政府はこの湖が復活するかどうかは雨季の雨次第という声明を出しています。
2019年現在のボリビアは各地でゲリラ豪雨が多発していて、冠水や洪水が多く起こっています。これに関しても政府は注意を喚起していますが、ポーポ湖の水位が回復したというニュースは今のところ聞こえてきません。
残念ながら、一度消滅してしまった湖が再び復活するのは難しいのかもしれません。
ボリビア人と話してみても「ポーポ湖の消滅だけじゃないよ。ボリビアの他の場所、ビジャ・モンテスでも川が干上がったとニュースで見たから、本当に気候がおかしくなっている」と危機感を吐露していました。
世界のいくつかの湖も温暖化の影響により蒸発し、枯渇の危機を迎えているそうです。わたしたち日本人にとっても他人事ではない事態であることがわかります。
環境問題に対しての危機感をひとりひとりが持たなければならない時代がやってきていると、そう思わざるを得ません。