絶景のぶどう棚、収穫したら罰金?灼熱のシルクロードの町・トルファンを歩いてみた
中国

dc032892a1a0017de05be0b86edddf2b

シルクロードといえば、「乾いた砂漠、緑のオアシス」をイメージされる方も多いのではないでしょうか? 今回は、そんなオアシスのイメージそのままの町「トルファン」を紹介します。

(記事の情報は2016年夏のものです)

トルファンまでの道のり

7aa36318d1fe5c470e8615ff72acaba5
トルファンへは、新疆ウイグル自治区の区都ウルムチから車で3時間。

途中、延々と続く乾いた大地に、無数の風車が立ち並びます。目の前に広がる風車に突進するかのような異様な光景。風の道を通り抜けていくようです。

トルファンってどんなところ?

ようやくトルファンに到着。トルファンは漢字で「吐魯蕃」と書きます。

その特徴をひと言でいうと……暑い!! 「熱い」と書くほうが合っているほどです。夏はほとんど雨が降らず、最高気温はいつも40℃超え。新疆ウイグル自治区の中でもとくに暑い地域です。

というのも、トルファンは内陸であるうえに盆地で、郊外にある「アイディン湖」は海抜マイナス154メートルと、死海に次いで世界で2番目に低い場所だからです。
IMG_0823
そんなトルファンの歴史は古く、玄奘三蔵(三蔵法師)が天竺(現在のインド)に経典を求める旅の途中に通過しました。彼が説法をした「高昌故城」が遺跡として残っています。

(三蔵法師、この道を歩いたなんて暑かっただろうなぁ……)
IMG_0806
砂岩の浸食によって、炎が燃え盛るような溝が山肌に刻まれた「火焔山(かえんざん)」1つの山ではなく、山脈として連なっているのは圧巻です。
IMG_08421
『西遊記』で、孫悟空が火焔山の炎を芭蕉扇で消す場面がありますが、その舞台はまさに、このトルファン。当時は「火州」と呼ばれており、このような逸話が生まれたのも納得です。

実はぶどう天国!

IMG_1417
暑いといっても、悪いことばかりではありません。トルファンは暑い盆地気候を利用し、ぶどう栽培がたいへん盛んです。

特に緑色で細長いぶどう「馬奶子(マーナイズ)」が有名で、日本で売られているグリーンレーズンで「中国産」という表示を見たら、ほぼトルファン産だと思って間違いなし。

トルファンでは、ぶどうにちなんだ光景をあちこちで見ることができます。

ぶどう棚「青年路」

暑いけれど乾燥しているので木陰に入れば本当に涼しく爽やか。名産であるぶどうの蔓を天井に這わせた「ぶどう棚」が各所で見られます。
dc032892a1a0017de05be0b86edddf2b
こちらは市街の「青年路」という通り。通り丸ごとがぶどう棚になっているなんて、とってもロマンチック。

こちらのぶどうは鑑賞目的なので、ときどき「取ったら罰金200元(約3,300円)」という貼り紙があるのも中国らしいところ(笑)。

涼房

IMG_1227
ぶどう畑と同じぐらいたくさん見かけるのが、ぶどうを干すための小屋「涼房(リャンファン)」。この中にぶどうを吊り下げて、自然の風で乾燥させます。私が訪れたのは7月だったので中は空でしたが、秋ごろからぶどうを干すそうです。
IMG_0918
遺跡の後ろに見える、マンションのような四角い建物(?)が「涼房」。壁の穴から風が通り抜けるようで、暑いトルファンでは「目の涼」ともなっています。

電灯

IMG_1148
IMG_1150
市街地の道路に吊るされている電灯も、なんとぶどうの形! かわいいですね。

観光ぶどう農家

IMG_11912
トルファンには、観光客の受け入れをしているぶどう農家がいくつもあります。

農家の中庭にあるぶどう棚の下で、ぶどうをはじめ、スイカやドライフルーツなど、果物やお茶でおもてなしをしてくれます。民族楽器の演奏や踊りを披露してくれることも。
IMG_1219
ほとんどの農家では直接、干しぶどうを購入することもできますよ。

ワイン工場

IMG_1231
ぶどう栽培が盛んということは、ワイン製造も行っています。ワインというとヨーロッパのイメージが先行しますが、中国のワイン生産量は、意外にも世界トップクラスなんです。
IMG_1243
トルファン郊外にある「駝鈴(トゥオリン)ワイン」では、工場見学・試飲を受け付けています。
IMG_1246
風で乾燥させ、甘みが凝縮したぶどうを使ったワイン「風干(フウガン)」を飲みましたが、甘みがあり上品なお味。一般的な「中国産」イメージを覆してくれます。
IMG_1251
1本280元(約5,000円)と上等でしたが、スーツケースに入れて頑張って持ち帰りました。

※観光ぶどう農家、ワイン工場は、いきなり行っても対応してもらえません。現地旅行社や、シルクロードを扱っている旅行社に手配してもらいましょう。

私が利用したのは、日本人スタッフがいる西安の旅行会社「西安中信国際旅行社」です。
IMG_1394
灼熱のトルファンですが、暑いからこそ人々が木陰でゆったり休んだり、天山山脈の雪解け水で子どもが水浴びをしたりする光景は、どこかホッとするものがあります。夜には屋台が軒を連ね、噴水に人がつどいます。

ぶどうのオアシス「トルファン」は、日本人の心に描かれるシルクロードに限りなく近い場所だったのです。

この記事を書いた人

合楽 仁美(らく)

合楽 仁美(らく)ライター・アナウンサー

  • twitter:
神戸在住のライター・アナウンサー。世界遺産「姫路城」のある姫路市の広報専門職員を経てフリーに。シルクロード文化が好き。旅を始めたのが29歳からと遅咲きのため訪問国数は少ないが、そのぶん「1歳でも若いうちに行きにくいところから」とウズベキスタンや中国・新疆ウイグル自治区など、マニアックな地域を攻めている。

    チャンネル

    チャンネルをもっと見る