JR立川駅北口付近を街歩きするだけで、美術オンチでも美術館巡りで楽しめるようなパブリックアートが109個も点在しているエリアがあります。ある決まった場所に立たない限り観ることのできないアートや、角度によっては何だかわからないアートなどが街の中に潜んでいるのです。今回は、そのアート群のほんの一部を、独断で分類しながらご紹介します。
どこにどんなアートが潜んでいるのか?
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ネットで調べても作品の紹介が表示されるだけで、どこに展示されているのか一目瞭然でわかる資料がありませんでした。アチコチ探しまくって、ようやく手に入れることができたアートの配置図です。アートの存在を知らずにやみくもに歩いても、パブリックアートでは無い、「ただのデザイン」と勘違いしてしまうことも多いようです。なかには私有地内に展示されていて、観ることのできないアートもあります。109個のアートナンバーと、いくつかのブロックに分かれている配置図をもとに街歩きしてみましょう。
場所さえ分かれば! ここからしか見えないアート
歩道橋下の死角に……
作品番号-作品名:7-無題
作者:伊藤誠 (日本)
髙島屋の東側に、展示されています。立川駅から直結している、歩道橋下の死角になっているため、気がつかずに通り過ぎてしまう人が多いようです。
角度によって、観えかたが変化する空間づくりで、用途の無いデッドスペースを、楽しい空間に変えた作品です。
真円を探せ!その1
作品番号-作品名:52-背中あわせの円
作者:フェリーチェ・ヴァリーニ(スイス)
ファーレ立川交差点のそばで、観ることができます。わざわざ複雑な空間を選んで描かれています。
太さが違う切れた線は、ある1点から見ないと、ひとつの真円に観えない作品です。観る角度によって本物が観えなくなる、そんなメッセージをはらんでいる気がします。
真円をさがせ!2
ファーレイーストビルの西側の屋上に、作品は描かれています。観ることのできる場所は、パーキング北口第一の、北東の角にしかありません。知らないと観ることのできない作品です。
そこで切断されても…困惑の切りっぱなしアート
目的地の無い階段
作品番号-作品名:1-無題
作者:リチャード・ウィルソン (イギリス)
パレスホテル立川ビル西側に、展示されています。ビルの2階に繋がる階段と思いきや、ビルの階段がどこにも繋がっていないことに気づきます。「目的地の無い階段」とタイトルを付けたくなる作品です。奇想天外な空間づくりが好きな作者のようですね。
車がパッカリ
作品番号-作品名:109-無題
作者:ヴィト・アコンチ(アメリカ)
コアシティ立川の東側に、展示されています。車社会に対する疑問を提言している作品です。
クルマを2枚卸しにしたような感じが、とても印象的です。ベンチにもなりますが、大人では窮屈に感じてしまいます。
突然のエスニックアート
ナイジェリアの首長軍団
作品番号-作品名:73-無題
作者:サンデー・ジャック・アクパン(ナイジェリア)
立川TMビル北側の、花壇の中に展示されています。ナイジェリアの首長が勢揃いした姿です。
突然、花壇の中にいる人の姿を観ると、ビックリするかもしれませんね。
所在地は私有地、石鐘の庭
作品番号-作品名:16-石鐘の庭
作者:モンティエン・ブンマー (タイ)
パレスホテル立川ビルの北側に、展示されています。私有地の中にあるため、多摩モノレール通りから観るだけになります。西洋文化の建物に埋もれた、東洋の伝統的な構築物の格闘を表現した作品です。制作し始めた頃、作者の奥さんは死の床にあったため、「祈り」の印象を受けます。
パブリックアートがグローバル化に合っているような気がして、時の流れを感じます。
独特な世界観のタイトル長めアート
人を惹きつけるベンチ
作品番号-作品名:43-きみはただここにすわっていて。ぼくが見張っていてあげるから
作者:ホセイン・ヴァラマネシュ(イラン/オーストラリア)
パーキング北口第一の西側に、展示されています。日常生活の空間を表現したもので、椅子の横にあるシューズから人の影が伸びている、独特の世界観がある作品です。
長く恐ろしいタイトル
作品番号-作品名:47-赤い作品“母と子を殺した父親のようなもの”、青い作品“父親に殺された子を受精させた父親のようなもの”
作者:彦坂尚嘉(日本)
女性総合センターの西側に、展示されています。何とも恐ろしいタイトルなので、観てみたくなりましたが、美術オンチには理解できませんでした。
未来装置っぽい!けど使えないアート
マッチョ養成マシン!?
作品番号-作品名:61-ダブルベンチ
作者:アレシュ・ヴェゼリー(チェコ共和国)
損保ジャパン立川ビルの北側に、展示されています。石や鉄など力強い衝突によって、より力強いパワーを生み出す表現をしているようです。東京オリンピックの、金メダリスト養成マシンになるかもしれませんね。
やっぱり使えない、伝声管
作品番号-作品名:20-古典的な交信機器、伝声管
作者:牛嶋達治(日本)
ファーレイーストビルの西側歩道橋に、展示されています。作者は、無用の機械をつくることに喜び感じる人のようです。
耳をあてて、ビルの間を吹き抜ける「風の音は何色?」と、伝声管が聞いているかのようです。
ファーレ立川に点在するアートの上空を、多摩モノレールが走っています。車両をよく観ると、絵が描かれています。あとで調べてみたら関係ありませんでした。
ファーレ立川は、知らなければ観るモノすべてがパブリックアートだと思い込んでしまうかもしれない、露天美術館のような街でした。
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