フランスでは年に2回、法律で決められたバーゲン期間がある。
フランス

フランスでは、年に2度、国が法律で定めている、ソルド(Soldes )と呼ばれる、全国一斉のバーゲンセール期間があります。しかも、1度に約ひと月以上ずつ!

たとえば、デパートなら全館。衣類だけでなく、調理器具や様々な商品が、その日を迎えたとたん、前日までと全く同じ陳列状態で、そのまま価格が下がるんです。

(対象外もありますが)普段店頭に並んでいるものの多くの通常商品が、長くても5ヶ月待てば、価格が下がるのがわかっているなら……どうします?

ソルドの日に有給休暇を取る人も

初日の様子は、毎回、TVニュースでも報道されるんですが、なんといっても、パリのデパートの扉の開く瞬間は、ものすごい勢いです。ダムの決壊というのか、堰を切ったように、人がなだれ込むんです。

 

マルセイユだと、若い世代の人気のブランドのブティックの前に、前夜から行列しているのが報道されるのが恒例なんですが、入場制限をしながら順番に、という方式だし、デパートの店舗の広さや扱いブランド数も違うからということもあるからでしょうか。ダムの決壊のように人が押し寄せるようなシーンがニュースになったことはありません。

 

パリの場合は、大型デパートの店舗は、とにかく規模が違うので、世代・性別を越えてという感じ。そして、インタビューで『戦利品』を見せながら、「今日は、このために有給休暇とってるんです」という人が紹介されたりするんです。なかには「午後から出勤します」とキッチリスーツの男性も。

 

値下げのルールを守らないと法律違反になる

法律で決められているというのが、いかにも、『平等』な国、フランス。

日曜日は定休日というのも、必ずしも労働者視点だけで決められたわけではなく、同業者同士『ぬけがけ』禁止でけん制しあっている体制なんですね。

 

もともとは、カトリックの訓えで、日曜日は安息日だからということからのこの習慣。

宗教が異なる人たちの小さな食料・雑貨の店は、日曜でも開いていて、割高だけれど便利と重宝されてきたんですが、それが、スーパーマーケットチェーン同士、日曜大工用品店同士となると事情は違ってくるようで、日曜にも終日営業していい日数には上限があります。

 

だから、クリスマス前のひと月やソルドの時期は、日曜でも一斉に開いているようになっています。そもそも、日曜日お休みになってくれないと、ゆっくりショッピングできないですよね。

 

以前は、地方によっては開始日がバラバラと1、2週間ずれたりしてたんですが、今はメトロポリタンは、ほほどこも同じ期間。

そして、少し法改正もあって規制が緩くなりました。というのは、以前はこの期間以外に値段を下げることは禁止で、デッドストックの一斉処分など以外には認められていなかったんです。

 

だから、お店の方も、いろいろ工夫して言い訳・抜け道を考えていたようで、ソルド以外の時期には、在庫処分でブラッデリー(直訳するなら、出欠大サービス)と銘打って、シーズン前の売り尽くしをしたり、ヴァント・プリヴェという、なじみ客専用の割引サービスを、目立たないように実施していました。(でも、たいてい皆、気づいてましたけど)

 

ソルドで買うべきもの・避けるべきもの

年に2度のバーゲン、ソルドは、基本的には1月と7月の第1または第2水曜から開始されます。(一部地域によって多少のずれがあります。各地の詳しい日付は、こちらの政府広報で。)

 

最初の2週間は、20パーセントから40パーセントの緩い割り引きで、次の2週間からは一気に70パーセント引きにまでなっていくのが通例で、単純に考えると後半で買った方がお得なんですが、その頃になると、サイズも在庫ももう揃っていない状態です。

本当に欲しいものを安くというなら、たとえ割引率が悪くても初日に買って置かないと、なくなってしまったらそれきり。通常みたいにメーカーから取り寄せできるわけではないので。

 

この時期を狙って、ちょっと値の張る家庭用品・家電品を買い換えるのは定番です。(でも残念ながら、車や携帯電話やゲームなど電子機器は別扱い)。

消耗するもの、たとえば靴や靴下、Tシャツ、下着などを買っておくのも定番です。

どんどんサイズの変わる子ども服も。自分の家族へ以外にも、出産祝いのベビー用品も、このタイミングだと人気のブランドのものがぐっとお買い得で、思っていた以上のものが買えて嬉しくなります。

 

そして、ゼッタイに消費する生活用品。

そして、食器。

フランスの食事では、食器もカトラリーも皆が同じものを使うので、まとめ買いするのは、この時期がお得。

それから、タオルやシーツなどのリネン類も、買っておきたいものですよね。

こちらは、毎回ソルドの少し前に、(一部商品を除いて)20%~50パーセントの、一斉値下げになります。

我が家も、1週間だけですが交換留学生が滞在予定なので、その子のバスタオルを息子のものと色違いで揃えました。(次の夏のソルドの時期だと遅すぎるので)

タイミングをはずすと、同じ商品なのに価格が変わってくる品物は、こんな風に買い置きする習慣になっています。

 

俄然活発になったブラックフライデーとプライベート・セールの崩壊

ところで、ヴァント・プリヴェVente Privée 、プライベート・セール)というのが、ソルド直前にあります。

 

ずいぶん昔からあったようで、私がフランスで暮らし始めて間もない19年前には、とても勿体をつけた存在でした。

友達が連れて行ってくれたんですが、招待状が送られてきて、会計時にそれを提示すると、一律何十パーセントという割引金額で購入できるもの。

ブティックはいつもの通りの雰囲気、値札もそのままです。

顧客登録は、まとまった買い物をして初めて、住所氏名を訊かれるというスタイルでした。

 

今は、ブティックでもデパートでも、スーパーマーケットでも、SMSでヴァント・プリヴェVente Privée 、プライベート・セール)案内が来ます。レジでカードを渡すか名前を言うだけで、その場で値引き会計に。

 

……と書いていて、気づきました。そういえば、当時はSMSがなかった時代だったんですよね。

携帯電話の進化のお陰で、フランスもずいぶん変わってきた気がしています。

先々シーズンからは、ブラックフライデーも一気に普及して来て(もともとフランスにはこの習慣はありませんでした)、クリスマスプレゼントを家族や親しい人に贈りあう習慣のフランスでは、とてもいいタイミング。

そしてそのまま、なんだかなし崩し的にお買い得品のセット売りが目立つようになりました。

この12月は、毎週末何かしらの割引きになっていたので、ソルドの存在感が薄くなった気がします。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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